雨の日の憂鬱...


明日は釣りに行こうと思っていました。
外は雨です。
「明日の広島県南部地方は雨で、ところにより一時雷を伴い強く降るところがあるでしょう....1mm以上の降水確率は...90%....沿岸の海域の波の高さは1.5m....」
ちょっと可愛い声のお姐さんが電話の向こうで、その絶望的とも言える宣告を実に淡々と告げます。

「ふぅ〜っ...」また一つ溜息です。

女房からは、「こんな時くらい、さっと諦めて普段しない家族サービスの計画でも考えたら?」などと責められます。
釣りに人生の一部を賭けてる人間の気持ちはなかなか解らないだろうなぁ。明日は明日の釣りがあり、海があり、そして明日しか出逢えないかも知れないチヌがいる。来週行けばいい、とか、いつも行っているんだからいいだろう、とかっていうのは、違うんですよねぇ。心は既に昨日くらいから磯へ行っているのに...ふぅ〜っ...毎日でも釣りをしていたいのに、それを我慢して毎日働いているのになぁ...まぁ女房も働いているので大きなことは言えませんけど。

瀬戸内海、とくに広島の辺りでは波の高さ2mなんてことは台風でも来ない限りありません。波の高さ1.5mというのは、瀬戸内海ではもっとも海が荒れた状態を表す無情な言葉なのです。
おまけに雷なんて話になると、命にも係わってくる。

諦めるしか無いんですが、やっぱり「ふぅ〜っ...」です。

こんな日を何度過ごしたことでしょう。
何度も何度も電話の天気予報を聞いたり、インターネットの天気予報を見たり...何度聞いても見ても変わりはしないのに、なかなか諦めきれない。
せめて雷なんぞという予報が無ければ、それと朝出掛ける時間の一時でも止んでたら、隙をついて出掛けてしまうのに...

小さな冷蔵庫を釣り用に持っていまして、常にオキアミ生3kgが冷凍庫に入っています。
出して解凍しようか、止めておこうか、いつも悩みます。


思い返してみると、もう10年近くチヌ釣りをしているだけあって、何度も雨の中釣りをした記憶があります。
暖かい雨はさほど釣果には影響しなかったような気がします。
でも、竿が濡れて道糸が竿に張り付いて仕掛けが流せないし、撒き餌はすぐにビチョビチョになってしまうし、小道具は濡れて後始末が大変だし、団子なんてやった日には団子の水分調整ができなくて始末におえない...そんな目に何度もあっているのに、やっぱり雨が降っても出掛けたい。

ここ最近だと、去年高橋さん(広島湾のチヌ釣り)と大雨の中団子をやりに行って、あの時は結構辛かったなぁ。団子がベチャベチャになって、全く握れない。とにかく半端な雨ではなかったもので。おまけに寒くて手の感覚が無くなるし、全くアタリがない(ベラは釣れたけど)状態でした。あれが雨がもっとも苦痛だった釣りですね。

それと、本編「いつも海を見ていた」に時々登場して貰っている深瀬戸誘海氏と2回目くらいに一緒に竿を出したときも雨だった。あの日も前の日から高い確率で雨だと解っていて、朝外に出ると既にちょっと降っていた。
現地で待ち合わせていたので、「どう考えても来るわけ無いよなぁ」などと考えつつも我慢できなくて、大島へ。
磯に行ってみると、既に深瀬戸誘海氏は荷物を磯に降ろしている。「好きですねぇ。この雨の中。」などと自分のことを棚に上げて言ったりして。あの日は、流石に回りのポイントには誰も人が居なかった。
雨でもフカセは大丈夫、なんてことを再確認した日だった。あれから少しくらいの雨なら余り気にしないようになって、女房に「この頃雨でも行くようになったね」などとイヤミとも取れるようなことを言われた。


雨を恨んでも仕方ない。釣りは自然相手のものだから。
雨と友達になって釣りをするしかない。
でも自然相手のものだからこそ、雨も舐めてはいけない。
避雷針を振り回しているようなものなんだから、雷は竿を目がけて落ちてくるはず。
濡れて風邪を引くのも拙いし。
濡れると体温を奪われて疲れが倍増するから、帰りの車も気を付けないといけない。

危ない、と思ったら、止める勇気はやっぱり必要ですね。
自分一人なら海で自然に帰るのも本望だけど、私も誰かの宇宙(人生かな)を構成する大事な存在であるはずだから。特に子供ができてからは無責任なことはやっぱりできませんね。


・・・・・・・なんてことをいっつも考えながら、イライラしている私。
なんだかんだ言っても、結局 釣りに行きてぇよぉ  これだけが真実なのでしょう。


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