「ポイント開拓」考


できるだけ多く釣りに行きたい。でも財布の中身も気になる。

沖磯は確かに魅力一杯ですね。でもそんなに毎週でかけるのはちょっとシンドイ。

という訳で釣行の大半が地磯になっています。
幸い山口県の瀬戸内海に浮かぶ周防大島には魅力的な地磯が沢山あります。

そうは言いつつも、ワンパターンになりがちですね。特に一度釣れた場所には繰り返し出掛けてしまいます。

他のポイントを探して竿を出すというのはサラリーマン釣り師の私としては大変なリスクです。
なにせ貴重な休日です。来週の休みにまた釣りに行けるという保証はどこにもありません。
釣りに行くからには、やっぱり魚を釣りあげたいというのが人情。お決まりのポイントに流されてしまいがちです。


ところが今年。毎年のっこみ期に主に竿を出していたポイント(H地磯)が雑誌の取材記事覧に載ってしまいました。
「こりゃ、今年は人が多いだろうなぁ。」
H地磯を敬遠すると、更にポイントが限られてきます。
「これだと思うように竿が出せない。おまけに釣り方がワンパターンになって自分の釣技の幅を狭めてしまう。」
こんな思いから新ポイントの開拓を目指すことにしたのです。

当然未開拓のポイントなんてそんなにあるものではありません。色々な情報からチヌがあがりそうな磯を割り出していきます。
最初に目を付けたのがA地磯。
ここは大変なポイントでした。
崎の付け根からひたすら磯伝いに歩く、歩く、歩く。
遠目にあそこだ!と決めたポイント目指してひたすらです。

後少しで到着...と思ったら磯際が水没して歩けない。

途方に暮れて、ふと山側の崖に目をやると、釣り人道がありました。
誰かが崖の上に登るためのロープを掛けてくれています。

「よし!」と思って登ろうとするものの、ポイント探しで歩き回った後です。足が思うようにあがりません。仕方なく、荷物を半分だけ持って崖を登り、また下に降りて荷物を持って登る。重いですからねぇ。荷物。
目的の岩の上についたときにはクタクタで、15分くらいは動けなかった。
でも、ここはアタリでした。竿を出してすぐに1枚目を手にしました。湾内向きで潮の動きが緩やか。加えてガラ藻が群生している。適度な沈み岩が散在している。のっこみに最適なポイントで、最初からコンスタントに結果を出すことが出来ました。

のっこみポイントはこれで一つ開拓成功したわけです。

次の課題は夏から秋にかけてのポイント開拓です。A地磯はグレやスズメダイが多くて夏場は苦労しそうです。
夏にフカセをやるとなると不向きと言わざるを得ません。

比較的コッパグレやスズメダイの少ないポイントの開拓を目指すことにしました。
のっこみの終盤に入った頃です。
ここ何年か実績の高いM地磯の近くの大きな磯、T地磯に目を付けました。

ところが...ここも大変。駐車スペースから磯伝いに...やっぱり歩く、歩く、歩く。

辿り着いたポイント。T地磯1番です。

見るからに釣れそうな雰囲気です。

ここは水温の上昇が遅かったようで、未だのっこみが続いているようでした。
そのお陰もあって竿出しから少ししてすぐに1枚目を手にしました。


こうもポイント開拓が的中すると、気分良くなってきますね。
勢いをかって、翌週T地磯2番。ここはちょっと外れでした。見た目より潮が動かず苦戦。でもなんとか2枚を手にしました。

そして、1週挟んでT地磯4番。ここはのっこみや晩秋に狙えばかなり有望そうなポイントでした。

潮通しが良い上に、ガラ藻が群生。沈み岩も散在。のっこみの終わりのこの時でも5枚あがりました。

但し、ここもやっぱり....磯伝いに...歩く、歩く、歩く。




車から降りて5分で竿が出せる...そんなポイントはいつも人がいますが、15〜20分も歩かないといけないようなポイントは結構空いてます。釣り荒れもしていません。


いいと思いませんか?
自然のままの磯、海岸をありのままに歩く。眼前には海が広がり、人工建造物なんか目に入らない。気持ちいい!

普段運動不足になりがちな生活をしていますので、体力維持にもなります。

だんだん新ポイント開拓に伴うリスクなんてどうでもよくなってきました。「いいじゃない。そこで釣れようが釣れまいが、釣るための努力が自分を向上させるんだし。それにこれだけ気持ちいいんだから。一枚でもそこで上げることができれば、こんなに嬉しいことはないんだから。」
釣れると解っているポイントで釣る。これは逆に釣れるはずなのに釣れない、ってことになって、結構気が焦ることもあります。その点、気分が楽。そんな風に思うようになってきたのです。

こんなポイントはまだまだ沢山あるはずです。
ワクワクしてきます。
もっともっと沢山の海と磯、そしてチヌに出逢うために、もっともっと歩くぞぉ!!!


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