野球のコーナー

2025.7.13

クソチームの立て直し方

これを書いているのは7月13日であるが、広島東洋バカープはめでたく6連敗を達成した。
これで5位の中日と1.5ゲーム差となった。引っ繰り返るのは時間の問題であろう。
さすがに最下位のヤクルトとは5位とさえ9.5ゲーム差あるから、そう簡単には入れ替わらないと思うが、この調子なら分からない。
一応ついこの間までは首位の阪神タイガースを追って2位につけていたのだが、どうしてこうなった。
そのヒントとなる試合が、高校野球の島根県予選であった。

私の親父の母校である大東高校が、優勝候補の一角である立正大淞南高校と対戦したのである。
大東高校はエースピッチャーの踏ん張りで3回まで0−0であり、4回表の攻撃で相手の守備の乱れに乗じて先制した。
しかし、その裏の攻撃で立正大淞南の猛攻に遭って6失点し、結局1−7で敗戦した。

この試合はいわゆる「強いチーム」と「弱いチーム」、「勝つチーム」と「負けるチーム」の差を残酷なまでに示したと言える。
残念ながら所詮「弱いチーム」「負けるチーム」である大東は、強いチームと当たった時に健闘はするものの最後には押し切られてしまう。
まず、戦力の厚みが違う。少なくとも、監督はそう思い込んでいる。
だから、せっかく先制したのにその裏にエースピッチャーが攻略されると為すすべを失う。心中するしかなくなる。

実際には大東は6失点した後で投手交代し、この後は5回の1点しか取られておらず、ちゃんと9回まで(コールドにならずに)試合をしている。
私自身、何故もっと早くピッチャーを替えなかったのか、大東の監督はこの試合が負けたら終わりのトーナメントだと理解しているのか、と思った。
何せ立正大淞南は4回に先制されると何の躊躇もなくとっととピッチャーを替えたのである。
これが出来るチームと出来ないチームの差が、これ即ち「強いチーム」と「弱いチーム」の差なのである。

図らずもこれは広島東洋バカープにも当てはまる。
バカープは昨オフに、本来しておくべき戦力の整理、新戦力の獲得を怠った。
結局昨年の戦力に外国人を入れ替えただけのペラペラの戦力でシーズンに入った。
6月まではそれでも現有戦力がそれなりに働いて2位につけた。大東高校の4回表までと同じである。
しかし、一つ歯車が狂うと為すすべなく転がり落ちるしかなくなる。
監督は自軍の戦力に自信がないから、今いる中で「信頼出来る者」しか使わない。いや、使えない。大東高校の4回裏と同じである。

もしかしたら、実際には使ってみれば意外に何とかなる選手もいるのかも知れない。
大東高校が5回以降1失点のみにとどめ、9回まで(コールドにならずに)試合が出来たように。
しかし、ほぼ負けが決まって5回以降イニングを消化するだけとなった大東高校と違い、バカープにはまだ60試合以上残っている。
新井(敬称略)にはそれを試すだけの度胸はないだろう。
とっとと最下位に落ちて消化試合になった方がその点では良いのかも知れない。

よって、今のバカープの惨状は、決して新井(+ヘッドの藤井)のみによってもたらされたものではないと言える。
無論指導力のないコーチ陣や、能力のない選手にも責任の一端はあるだろうが、最も責任が重いのはオーナーをはじめとするフロントである。
以前編成部長の山根雅仁を実名で批判したことがあるが、それは彼にチーム編成の権限が健全に移譲されているのであればの話である。
しかし、彼がもし「名ばかり編成部長」であり、実権が松田元と鈴木清明にあるのであれば話は別である。実はこちらの方が性質が悪い。
山根雅仁が交代するのは比較的容易だが、松田元と鈴木清明、殊に松田元がその職を辞する可能性は、彼が召されでもしない限りまずない。

現状新井の手腕にはファンの間から疑問が噴出し、辞任休養を求める声が後を絶たない。
私もこれには賛成である。ここまで負け続けると、もはや何をどうして良いか分からないだろうし、まともな判断力が失われている可能性がある。
新井自身の心身の健康を考えても、ここらで少なくとも休まないと、冗談抜きでメンタルを病む危険性がある。
(「辛いです」会見でボロカス叩かれたことを思えばこのくらいは大した事はない、と考えている可能性もあるが)

そもそも新井は、一年目は機動力を駆使してとても見応えのある、面白い野球をやっていた。
しかし二年目、三年目と経験を重ねるにつれて思い切ったことが出来なくなり、采配が劣化している。
このような例はあまり見ないのだが、何か思い切ったことが出来ない事情があるのだろうか。
今や彼は普通のスタメンを決めることや、中継ぎ・抑えの投手起用の判断に支障を来たすまでに至っている。
そこで、私ならどうするか、を一応書いておく。これは一野球ファンの考えに過ぎず、100人いれば100通りの考え方があるだろうが。

まず、今のチームの最大のストロングポイントは守備力である。
新井もファンもこのことに関する認識がなさすぎる。
少なくともセンターラインはきちんと守れる布陣を敷かないと、そりゃあピッチャーは辛いだろう。

捕手は当面石原で固定すべきである。
坂倉は現状、盗塁は刺せないしリードも下手糞、キャッチングもポロポロで捕手としての強みがどこにもない。
今日は會澤がマスクを被ったが、初回に早速二盗・三盗を許す体たらくで失点のきっかけを作った。
解説は先発の佐藤柳之介がランナーをケアしていなかったことを指摘していたが、新人投手がそこに気が向かないのはある意味仕方がない面があり、ここは會澤が指摘してやらなければならなかったと思う。それが出来ないようではベテランとしての存在価値がないと言わざるを得ない。
ただでさえ他に類を見ない弱肩というハンデがあるのだから、そこは経験でカバーしなければならなかった。

無論、石原がディフェンスで醜態を晒し続けるようなことがあれば、他の選択肢も考えなければならない。
そうなると、さらに若い持丸や清水、高木といったメンバーも選択肢の中に入ってくるだろう。
早すぎる、と思われる向きもあるだろうが、ロッテなどは19歳の寺地を正捕手として抜擢しているし、その前には当時高卒ルーキーだった松川を開幕スタメンで起用したりもしている。どうせ誰がやっても知れているのだから、将来を見据えてそのくらいやっても罰は当たらないだろう。

二遊間は、まず矢野は常時起用すべきである。前も言ったが、このチームにとっては1点を取るよりも1点を守る方が容易である。
矢野不在の試合も最近はあるようだが、今までどれだけ彼のおかげで失点を防いで来たかを思い知ることが出来たろう。
将来を考えると、相方は小園一択であるが、その場合菊池をどうするかという問題は確かにある。
現状「サード小園」が増えることはやむを得ないと個人的には思う。
そんなことをしたら小園が拗ねてFAで出て行ってしまう、という者がいるが、その程度のことで出て行くならどうしたって出て行くだろう。

そしてセンターである。
ここは中村奨成、大盛と候補が出てきており、秋山や野間も出来ないことはない。
選択肢が多いのは良いことだ。残りの外野二議席も含めて大いに競争をしてもらいたいところである。

次いでセンターライン以外のポジションであるが、一塁のモンテロは坂倉との競争で良いだろう。
現状は坂倉の方が打つし、モンテロは長打力が意外になく、クラッチヒッターぶりも陰を潜めてきており、無理に使う理由はない。
サードは菊池起用時の小園に加え、坂倉も守れるし、二俣や林、怪我が治れば佐々木も考えられる。
これらの中から調子を見極めて良さそうな者を起用することになる。問題は調子の見極めが出来る指導者がいないことだが。

あとは外野の両翼である。
外野については上述の4名のうちセンターの選から漏れた者の他、ファビアンや末包、田村らが候補になるだろうか。
これも本来なら彼らの中から調子の良さそうな者を起用することになるのだが、哀しいかな見極めが出来る指導者がいない。

あと、メンバーは出来るだけ固定し、あまり左右にこだわらない方が良いだろう。
たとえば対左要員の中村奨成の場合、対右投手には.283打っているのに対し、対左は.232である。
大盛は対右が.280で対左が.250だから確かに対右の方が高打率だが、左が全く打てないということはない。
末包のように対左が.280なのに対右が.226となれば少々考える余地があるかも知れないが、それ以外の選手は左右で大した差はない。
むしろ坂倉のように、対右が.254なのに対左が.303という左打者もいるのである。
逆に菊池は右打者でありながら、対右が.273なのに対左が.170と左投手に対して全く役に立っていない。
このような例もあるのだから、いわゆる「左右病」に陥ることは避けなければならない。

あとは打順の組み方だが、もうあまり深く考えない方が良い。
ジグザグ打線を組みたいとかそういう考えもあろうが、そのような贅沢が言える状況ではない。
もうシンプルに、1〜3番は出塁率(打率ではない)、4〜6番は長打力、7〜8番は上位への繋ぎ、とこの3つに分けて組めば良い。
…まあ言うまでもなく長打力がネックになりそうではあるが。

そう言えば、昨シーズンの最終戦で出てきて一欠けらの希望を持たせてくれた内田や仲田はどこに行ったのだろうか。
この他にも佐藤啓介や中村貴浩など、それなりに期待されて使われた選手もいたはずなのだが。
こうなると、二軍の打撃コーチの手腕にも疑問を持たざるを得ない。

次いで、投手陣である。
先発は今のところまあ何とかなっているので、問題は中継ぎ・抑えである。
ここはチームのストロングポイントであったはずだが、新井(敬称略)の運用によって焼け野原になってしまった。
こちらを立て直すのは非常に難しいが、まず一つ考えなければならないのは、ビハインド時のロング要員を置くことである。
現状では勝ち試合でも負け試合でも同じようなメンバーが投げることになり、中継ぎ陣の消耗が激しい。
ついには今日(7月13日)には栗林が先発降板後の5回に投げたらしいが、こんなことをすればそりゃ持たないだろう。

中継ぎと抑えについては、ある程度役割をしっかりと決めるべきであろう。
栗林が現状抑え失格ならそれで良いが、それならば一度落として再調整させた方が良いだろう。
9回を抑えるというのは非常に特殊かつ特別な役割であり、明日からやれと言われて簡単に出来る役目ではない。
それを経験したことのある投手は貴重なのだから、もっと丁寧に扱う必要があるだろう。

抑えは現状ハーンと栗林ということになっているが、栗林が現状抑え失格なのであれば、代役は中崎一択である。
中崎は中継ぎ陣の中では最も安定している投手の一人であり、かつ「9回」を任された経験を持つ稀有な人材である。
3連覇の時を100としたら、一時30くらいまで調子を落としていたが、現状は80〜90くらいには戻っているだろう。
時に打たれたり劇場をすることもあるかも知れないが、誰に任せたところで同じなのだから、そこは大目に見るしかあるまい。

中継ぎ・抑えのベンチ入りメンバーを8名とすると、残りの中継ぎは6名である。
今日ベンチ入りしたメンバーのうち、いないと困るのは島内と森浦のみであり、これで残り4名。
4名の人選は流動的であるが、上述のようにビハインド時のロング要員を1名置きたい。
候補は遠藤、アドゥワ、場合によっては玉村あたりである。
彼らはいざという時の先発候補として考えたいので、比較的長いイニングを食ってもらうことが主な役目となる。

で、残り3名の中継ぎ要員であるが、これがいないのが痛い。
本来なら黒原と塹江は当然入らないといけないが怪我や不調でいないため、高橋昂也が入り、不調の栗林を落とす事もできず、滝田やら益田やらを使っては失敗し、今に至っている。
個人的には高橋昂也は先発として一本立ちしてもらいたいが、難しいだろうか。

で、私の記憶が確かならば、補強or育成の支配下登録が出来るのは7月31日までだったはずである。
ぼくらのバカープは支配下枠を確か2枠残していて、育成選手のモチベーションのためと称して補強もせずにこの2枠を空けたままにしている。
しかし、あと2週間ちょいでどうにかしないと、このまま座して死を待つことになる。

新外国人補強の噂もなくはないが、あるとしたら大砲候補1名と、中継ぎ・抑え投手1名が望ましい。
あるいは育成選手の支配下登録も考えられるが、二軍でもインパクトのある活躍をする者は少ないのが現実である。
トレードの可能性も指摘しておきたい。
今は燻っていても、環境が変わればポテンシャルを発揮できる選手がいるはずである。
ぼくらのバカープだって、誰も期待していなかった中村奨成が今年これだけやれているのである。
こちらにもあちらにも、何かのきっかけでどうにかなる選手がいるかも知れない。
なお、具体的に誰を出して誰をもらう、という話はやめておく。他球団のファンから「トレードはゴミ捨て場ではありません」と誹られるからである。

いかがだっただろうか。
奇をてらうようなことは書いていないし、はっきり言えば当たり前のことしか書いていないと思う。
期待して読まれた方(いるかどうか分からないが)は期待外れだと思ったかも知れない。
しかし、その当たり前のことも出来ていないのがぼくらのバカープの現状である。

誰か一人の責任ではない。
そのことだけは指摘しておきたい。



追記(2025.7.21)
昨日の対東京ヤクルト戦において、坂倉が序盤で早々に途中交代させられた。
ついにあのクソリードに断が下ったかと思ったが、理由は怠慢走塁だそうである。

新井の今回の措置は至極正当なものだと思ったが、一部の「ただ打ち勝つ野球が見たいだけの素人ファンもどき」は、
「阿部(讀賣監督)の真似をしてどうする」
「癇癪起こして打てる選手を引っ込めるのはどうかしている」
「坂倉がFAで出て行ってしまう」

などと愚にもつかぬコメントを寄せたようである。

選手に出来もしない要求をしてそれが出来なかったから癇癪を起こした阿部とは違い、今回は怠慢を責めているのみである。
打てると言ってもたかが2割6分3本塁打であり、よその捕手と比較しても阪神の坂本、讀賣の甲斐、ベイスの戸柱と大差ない。
しかも捕手としては全く役に立っておらず、また怠慢プレーの常連であるのなら出て行ってもらったところで何も困らない。

新井のことを甘いとかぬるま湯とか愛人起用とか言うが、特定の選手を依怙贔屓して甘やかすのはファンも同じである。
ファンももう少し野球をしっかり見て勉強してから戯言をほざいてもらいたい。

カープをダメにしたのはあるいはファンなのかも知れない。



追記(2025.7.28)
本日、育成選手の前川誠太と辻大雅が支配下登録された旨の発表があった。
これで支配下枠はめでたく70枠いっぱいとなり、補強は不可能となった。
前川と辻は喜んでいると思うが、一言申し上げておきたい。

あなた方は松田元のコストカットの道具に使われただけである。

もしもこのことを潔しとしないのであれば、今からうんと活躍して高給取りになり、松田元から億の金をせしめてやりなさい。
そして松田元に頭を抱えさせ、来るべきFA又はポスティングで堂々と金満球団又はメジャーへと旅立っていただきたい。
性格の悪いいち野球好きからの祝辞である。



追記(2025.7.31)
今日はカード10連敗中、首位驀進の獣王無敵・阪神タイガース様と対戦させていただいたぼくらのバカープであるが、何とかプロの意地を見せた。
途中から見ていたが、坂倉のリードが今日は良かったと思う。逃げ切ることが出来た殊勲甲と言って良いだろう。
私は坂倉の悪口ばかり言っているが、誰も褒めないからここでは称えておこうと思う。
ただ、今日は阪神が足を使って来なかったという幸運があったことは差し引いて考えないといけないが。

今日は相手が正捕手・坂本の休養日であったらしいが、捕手が変わるとこうも変わるものかと思う。
やはり捕手の存在というのは大きなものだと思い知らされた。
まあ相手先発の伊原も珍しく悪かったからなのだろうが。

あと、栗林とハーンを抑え失格にして9回に送ったのは森浦だった。
安定感を考えると理解は出来るが、やはり少々気負いがあったようで、無失点ではあったがコントロールを乱す場面が多々見られた。
今日は3点差だったからまだ良かったのだが、僅少差で登板した時にどうなるかが今後の焦点であろう。


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