野球のコーナー

2026.3.15

心躍らぬ球春

現在、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が開催されている。
個人的には興味はあるものの、あまり盛り上がっていない印象がある。
原因はやはり、ネットフリックスが放映権を独占していることであろう。

こういうことを書くと、「タダで観ようと思うなよ、貧乏人が」という反論を受ける。
しかし、私が貧乏人であるという事実はさておいて、今回のこの独占は少なくとも野球界にとっては不幸であったと感じる。

何故なら、ネットフリックスを契約してまでWBCを観ようと思うのは、ある程度熱量のある野球ファンだけである。
ということは、今回のWBCを通じて新しく「野球ファン」になる人はまずいない、ということになる。
あれだけメディアで騒いで、それでもって地上波で誰でも目に触れる状態にしておけば、たまたま見て野球ファンになる人もいるだろう。
今回「ネットフリックス入会」という壁を拵えてしまったことによって、この可能性を完全に潰してしまったことは非常に痛いことなのである。

裏ワザとして、「ラジオで聴く」というものがある。
ニッポン放送と、後日文化放送も加わって中継をしてくれることになった。
しかし、今日行われているベネズエラ戦に関して言えば、全国ネットはしていない。
ニッポン放送と文化放送を聴こうと思ったら東京に住むか、あるいは雑音に耐えながら我慢して聴くしかない。
一次ラウンドの時は全国ネットで中継があり、「ラジオで聴くのもいいものだ」と言う人も少なからずいたのだが、残念である。
「ラジオの復権」に関して言えば今回は絶好のチャンスだったはずだが、これまたその可能性を完全に潰したのは惜しいことである。

本当に熱量のあるファンであれば、ネットフリックスに契約してWBCを観るはずである。
それをしない理由は、私から見ると以下のとおりである。

1 ネットフリックスを契約するのが面倒くさい。
2 ネットフリックスのやり方が気に食わず、金を払う気になれない。
3 ネットフリックスに契約する金がない。


実は一番多いのは1ではないかと思う。
野球ファンには年配者が多く、彼らにとっては「ネットフリックス」という得体の知れない会社と、「インターネット」という得体の知れない方法を使って契約手続きをするのは何となく薄気味の悪いものである。
契約手続そのものも煩雑なものであろうから、「そんな面倒なことしてまで別にWBC観んでもええわ」になるのは自明である。

ネットフリックスをWBC期間中だけ契約すれば、精々かかる金は千円かそこららしい。
これを払えないという人は、いくら極貧ニッポンといえどもそんなに多くはいないだろう。
しかし、上述の手間に加え、「WBCを私物化した」というネットフリックスへの私怨も込みで、契約する気になれないという人は少なくないだろう。
そこまでの価値がWBCという一過性の野球イベントにあるのかどうか、結果さえ分かればいいやという人も多いはずである。
同じ千円でも、趣味や美味しいものにかけるのは惜しくなくとも、ネットフリックスにくれてやるのは惜しい、という天秤もあるだろう。

それにしてもネットフリックスは大きな博打に出たものである。
果たして今回の「WBC独占」が自社の利益につながるのかどうか。
日本は現在ベネズエラと対戦しており、5−2でリードしているが、まだまだ予断を許さない。
首尾よく決勝まで進んで国民が熱狂すればさらなる契約者数増が見込めるが、間違って今日負けてしまえば全てパーである。

さらに言えば、仮に優勝したとしても、大会が終われば多くの野球ファンは解約するだろう。
仮にそうなったとしても、巨額であろう放映権料をペイできるのだろうか。
スポンサー料も巨額なものが入るであろうとはいえ、である。

もし自身のコンテンツに自信があるなら、「WBCが終わっても契約を続けてもらえる」という思惑もあるだろうが、どうだろうか。
あるいは、「一定数の間抜けが解約手続きを忘れるor諦めてくれれば」という邪な思惑があるのかも知れない。
そのために解約のハードルを思い切り上げることも可能性として有り得る。
まあ万一そんなことをすれば消費生活センターに苦情が殺到して社会問題になり、会社の信用は地に堕ちるのだろうが。

…と書いている間に、ベネズエラが2ランホームランで1点差に追い上げた。
さて、試合の行方が分からなくなってきた。現在まだ5回裏である。
日本もかつての讀賣のように四番打者をずらりと並べる大艦巨砲主義によるホームラン攻勢で点を獲っているが、ベネズエラも負けてはいない。
試合としては面白いが、この後の継投次第によっては早期敗退が十分有り得る展開になってきた。
一番日本の勝利を願っているのは、多分ネットフリックスの経営陣だろう。

と書いていると、今度はベネズエラが3ランホームランで逆転。
8回には「タネ魔神」「メジャーに見つかった」などと持て囃されていた種市が自身のミスで失点して5−8となり、結局そのまま試合終了。
ご丁寧にも最後の打者は大谷翔平その人であったという。

さあ、解約祭りの始まりです。

ネットフリックス社の社運を賭けた博打は大失敗に終わった。
これは2〜3人クビが飛ぶレベルですよ。
個人的にはそっちの方が興味深い。

あと、こんな試合で脚を負傷した鈴木誠也は気の毒であった。
ただの打撲であれば良いのだが。
とにかく軽傷であること、そして今シーズン息災で活躍できることを祈っている。


さて前回、春の選抜高校野球にも触れた。
こちらの本番は3月19日からなのでもう少し先だが、とりあえず組み合わせは決まった。
中国勢は崇徳(広島)が初日の第3試合で八戸学院光星(青森)と、高川学園(山口)は5日目の第2試合で英明(香川)との対戦となった。

私の見立てからすると、両校とも苦戦必至である。
八戸学院光星は東北大会決勝で花巻東(岩手)と1−2と大接戦を繰り広げたチームであり、実力はほぼ同等と見ていいだろう。
崇徳はその花巻東に神宮大会で全く歯が立たずに負けているので、勝ち目は薄いと言わざるを得ない。
高川学園はその崇徳に中国大会で完敗したチームであり、四国王者である英明には敵わないだろう。
恐らく両軍とも、試合前の寸評では「投手力を中心とした守りのチーム」と評され、「持ち前の粘りで接戦に持ち込みたい」と書かれるだろう。
この表現を本音に直すと、「エースが頼りであり、エースが崩れたら惨敗する。まず勝ち目はない」ということである。


さて、3月19日、選抜高校野球の開幕である。
崇徳(広島)は八戸学院光星(青森)と対戦し、タイブレークの末壮絶に負けた。
光星がせっかく序盤に4点をプレゼントしてくれたのに、バッテリーの無能無策でそれを全て吐き出した。

率直に言って、序盤は「光星よっわwwこれで花巻東に善戦出来た訳?」と思った。
エラー絡みでの失点といい、エース北口のコントロールの悪さといい、「勝つチーム」のそれとは到底思えなかった。

しかし、中盤以降北口が立ち直ると、試合の流れは徐々に光星に傾いていく。
はっきりと敗因を言うが、上述したようにバッテリー、殊にキャッチャー新村の配球の単調さにある。
序盤はインコースのストレート一本鎗、最初はそれで通用したが、バカの一つ覚えがいつまでも通用するほど光星もバカではない。
徐々に狙い打ちされるようになり、4点差を追い付かれる流れとなった。
追い付かれてようやっとカウントを取る変化球を混ぜるようになったと思ったら、今度はそれしか投げない。そして逆転を許した。
このバッテリーに誰か「緩急」の二文字を教えてやってくれないか。

そんな崇徳バッテリーの頭の悪さを嘲笑うかのように尻上がりに調子を上げる北口は、「ピッチングってのはこうやるんだ!」と言わんばかりの緩急を駆使したバッターのタイミングを外す「巧投」で崇徳打線を手玉に取った。
さすが全国区の野球名門校である。
崇徳の徳丸は地元では「ナンバーワン左腕」「プロ注」と持て囃されているが、全国に目を向ければ北口を含めてこの程度の投手などいくらでもいる。
現実を見るいい機会になったことだろう。

無論所詮は高校野球であるから、プロがやるような素晴らしいプレイを求めている訳でもなければ、ミスを一切するなと言っている訳でもない。
しかし、頭を使えば何とかなることであれば何とかしてほしい。
野球を一切プレイしたことがないこの私でさえ分かることが、何で彼らには分からないのか。
これは監督も同罪である。ていうか、監督が一番罪が重い。何故彼らにそれを指摘してやらないのか。

それにしても光星も酷い野球をしたものである。
8回にせっかく2点を取って逆転したのに、その裏にエラー連発で一時同点に追い付かれてしまった。
「このチームは勝ちたくないのか?」と思ったものである。
いくら高校生がやるスポーツとはいえ、まがりなりにも全国大会で1試合に6つもエラーをするチームは見たことがない。
そしてそんなチームに負ける崇徳がいかにレベルが低いかという証左でもある。

光星は「2勝する」という目標を掲げているようだが、初戦は相手に恵まれただけであり、多分次で虐殺されるだろう。
こんなレベルの低い試合はあまり見たことがない。
以前某巨大掲示板に「今大会最弱チームはどこだ?」というスレッドが毎回上がっていたが、今大会のそれは崇徳で決まりである。

監督は多分試合後のインタビューで「あんなに悪い徳丸は見たことがなかった」と言い訳をするだろう。
しかし、エース一人で勝とうという考えこそが甘々であり、昭和の古臭い野球観である。
前も書いたが、首脳陣を総とっかえしてこのアナクロな考え方を一掃しない限り崇徳の野球に未来はない。
まあ崇徳がどうなろうがよそが頑張ってくれればいいから、私にとっては別にどうでもいいのだが。

ちなみに試合後のヤフコメをいくつか抜粋する。
「崇徳の監督は9回裏に1点取ったら勝ちなのを知らない采配だったな」
「全てをぶち壊したのは崇徳の監督の采配。もはや笑いしか出なかった。あれだけ試合を読めないとどうしようもない」
「序盤の良い流れをスクイズに拘りすぎた結果自ら手放して、完全に采配ミスでしかない」
「光星の打力はさすがだったけど監督の采配にも助けてもらった感が否めない」
「打って4点先制してたのにその後の謎のスクイズ連発 挙句失敗して負けるって、本当に監督の采配ミスだよ」

上記は試合後わずか10分、コメント8件の段階でのものである。
たったこれだけの間にこれだけの監督采配批判が集まっていることからも、崇徳の監督が如何にアレだったかが分かるだろう。
広島の高校野球に必要なのは、まともに采配できる監督なのかも知れない。

(おまけ)
せっかくなのでいろいろと調べてみた。

問)1試合において最もエラーをして勝ったチームは?
答)昔を除けば、1978年夏の東筑(福岡)、1979年夏の豊浦(山口)、1996年夏の東海大菅生(西東京)で、それぞれ6失策で勝利。

問)タイブレークでの最多得点は?
答)今回を除けば、昨春の浦和実(埼玉)の8点。

つまり今回の崇徳は、

「6失策したチームに負けた(戦後最多タイ)」

「タイブレークで9点取られた(史上最多)」

めでたいチームとなった訳である。
私は今、機嫌が悪い。とても「健闘を称える」などという気にはなれない。
もう走って帰ってこい、と言いたい。

ちなみに崇徳が神宮大会で敗れた花巻東(岩手)は、初戦で智弁学園(奈良)に手も足も出ず敗退した。
中国地方のレベルは全国のレベルとあまりにも乖離がある。
中国勢は今回の大会に出るべきではなかった。
他地区の実力上位の学校に席を譲るべきであったと痛感する。


追記(2026.3.27)
今日は春の選抜の準々決勝であった。
「高校野球はベスト8が一番面白い」と言われるが、そのとおりの好試合ばかりであった。
まあ私は仕事が一番忙しい年度末だったから見られなかったけれど。

まず4試合中3試合が1点差という実力拮抗の対戦であった。
唯一そうでなかった智弁学園(奈良)と花咲徳栄(埼玉)の試合は0−8からの大逆転で智弁学園が勝利した。
タイブレークの表の回で9点取られて試合を投げだした某広島の高校に爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。

これが全国大会に出て良い学校のレベルである。
このレベルに達しないのならば、全国大会への出場など初めから辞退するべきである。

ついでに言っておくと、今日はプロ野球の開幕の日であった。

反社指定暴力団・元(はじめ)組は開幕戦で中日と対戦し、相手が勝手に自滅したおかげで奇跡的に勝利した。

ただ、そんなことは個人的にはどうでも良い。
逮捕者を出したこと、その原因にチームに蔓延る緩み切った、澱んだ雰囲気があること、それらがあるから素直に応援しようという気になれない。
新井はそれらを一掃すべく、従前のチームの雰囲気に毒されていない若い選手を中心としたチームを作ろうとしている。
その試みは理解するが、それでも「堕ろすしかないじゃん男」を2番に、「漢気じゃんけん強要男」を6番に置かざるを得ないことは事実である。

もう広島のメディアもいい加減にこんな馬鹿どもの球遊びなど報じるのはやめて、サンフレッチェ広島レジーナでも取り上げてやったらどうか。
有働由美子が「何故広島OBはいつも広島を優勝予想するのか」と文句を言っていたらしいが、そう言わないと干されるから仕方がない。
理由を知りたかったら一度広島で番組の一つでも持ってみれば良い。すぐに事情を察することが出来るだろう。
あそこのメディアは民主主義国家・日本のものとは到底思えない言論統制が敷かれている。

て言うか、当のご本人はついこないだまで阪神が暗黒時代にあった時に無理をして「阪神優勝」を叫んだことが本当にないと言えるだろうか。
広島も大概だが、関西も大概だったはずである。
大学時代の4年間を関西(神戸)で過ごした私が言うのだから間違いない。

人の振り見て我が振り直せ。

この言葉を有働さんに捧げたい。
私のように「ダメなものはダメ」とちゃんと言えるような大人のファンになりましょうね。


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