すちゃらかエッセイ

2025.11.16

第79回 嗚呼、青春の文化祭


先日、長女の学校で文化祭が行われた。
例年、家族揃って見に行くことにしている。
身バレしてはいけないので詳細は書かないが、所属している部活動の出し物と、別に参加している課外活動の模擬店の手伝いを掛け持ちしてなかなかに大変だったようである。
何せ土日も含めて一週間毎日学校に行っていたのである。
私が土日も含めて一週間毎日職場に行けと言われたら耐えられない。まず労基に駆けこむだろう。

長女の学校は女子校である。
私は中・高・大と女性と縁がなかったので、この年齢になって初めて女子校の文化祭なるものに行くようになった。
これを読んでいる人の中には「それはそれは。JKやJCに囲まれてさぞ楽しかろう」と思う向きもあるかも知れない。
しかし、さすがにこの年齢でJKやJCにどうこうということはない。(あったらまずいだろう。)
本当ならば学生時代に行きたかった、と言いたいが、実際には当時行ったところで大して楽しくなかっただろうなあ、と思う。

というのも、文化祭で初対面の異性と仲良くなれる可能性など、天文学的な確率でしかない。
文化祭で楽しいのは、昔の知り合いと久しぶりに会える、いわゆる「同窓会」的な意味合いが大きいのではないだろうか。
この日も明らかに違う学校の制服を着ている友達と「久しぶり〜!!」なんて喜び合う姿がそこかしこで見られた。

女子校の文化祭に行くと、どういうつながりで来たのか全く理解できないチャラ男の集団がそこかしこにいるが、恐らく彼らは「小学校時代の知り合いの伝手」とか「姉か妹が通っている」あたりのつながりなのではないかと思われる。
仮にそういう友達がいたら、頼み込んで連れてきてもらったという者もいるかも知れない。
しかし、上述のように文化祭で初対面の異性と仲良くなれるはずもなく、何の収穫も得ることもなく午前中一杯くらいで居心地が悪くなって撤退を余儀なくされることになる。これが現実である。

私に関して言えば、上記のような「同窓会」的な楽しみなどとは無縁であった。
私は岡山の小学校を卒業した後、中学受験で広島の中学に入学した。
その際に岡山の連中とはきれいさっぱり絶縁したので、小学校の知り合いと再会することは金輪際決してない。
しかも私は女性に対して全くと言っていいほど免疫がなかったので、文化祭で女の子と話す機会がたまにあってもまともに挨拶すらできなかった。
仕方ないので男の友達と展示物を馬鹿にして回り、それを聞かれて追いかけ回されたというしょうもない思い出しかない。

長女は地元の小学校を卒業している。
なので、昔の友達と会うこともあったかも知れない。
もしかしたらその中には男の子もいたのかも知れないが、幸か不幸かそういう場面は見なかった。
別に私はその種のことを気にすることはないのだが、帰りに昼飯を食いに寄った某飲食店で見かけた文化祭帰りと思しきチャラ男連中のような奴らは出来ることなら勘弁してもらいたい。それが父親としてのせめてもの願いである。

さて、長女の学校の文化祭に来たのはこれで4度目である。
最初に来たのは長女が受験生だった時に、学校の雰囲気を味わってもらうために訪れたのだが、その時はまだコロナ禍だった。
当時は入場できたのは受験を考えている小学生とその親(一人だけ)だったと記憶している。
その時は静かで落ち着いていた…ということは全くなく、当時から賑やかだったのだが、4年後の今回はその種の入場制限がなくなったので賑やかさとテンションの高さにターボが掛かり、御年51の私には少々付いて行くのがつらくなってきた。
ましてや、文化祭の出し物など毎年そうそう変わるものではない。
4回も同じものを見ていれば、さすがに飽きるのは致し方のないことである。
長女の出し物を見て、模擬店で幾ばくかの食べ物を購入し、最低限の展示だけ見て撤収することにした。

ちなみにこの日は妻と次女と3人で来たのだが、次女は早々に帰りたがっていた。
どうやら知り合いがいるらしく、その知り合いとあまり会いたくないらしい。
人には様々な事情というものがあるようである。

その数週間後、今度は次女の学校の文化祭である。
次女の学校は男女共学なので、JK目当ての男の集団はあまり目立たなかった。
ただ、私の後輩に当たる連中のグループがいて、自分の学校と比べてああだこうだ言っている。
まあ私立の学校で設備はどこもそんなに変わりはしないだろう。生徒の質は知らんが。

身バレを避けるために詳細は書かないが、長女の学校と比べても一段と輪をかけて賑やかである。
何せステージがあって、いくつかのグループが歌やら踊りやらを披露している。
その横っちょにテーブルがいくつか用意されているので腰を下ろしたが、騒々しくて仕方ない。

大きな声では言えないが、率直に言って女子校よりこちらの共学校の方が可愛らしいJKが多いように思えた。
やはり男子の目があると違うのか、あるいはもしかすると当該校においては容姿端麗な子を優先的に合格させている可能性がある。
次女も私に似て容姿端麗である(黙ってさえいれば)。疑惑は尽きない。

閑話休題。
女子校は共学校と比較して、「男性に頼らない自立性が育つ」ということが言われる。
しかし私の目から見ると、共学校においては男性に頼るどころか男性を顎で使う女子が散見される。
結局何処も女権は強し、ということである。

次女の姿がなかなか見えなかったのだが、一人でぶらぶらしている時に女の子の友達と二人でいるところをようやっと発見した。
友達連れなので遠慮して話しかけなかったのだが、いつの間にかいなくなっていた。
さらにぶらぶらしていると、共学ならではでカップルと思しき二人連れも所々に見かける。
少々複雑な気分になる。

この日は前売りの食券を買っていたので、カレーとパンケーキを食ってジュースを飲んで、あと合唱部の男声合唱を聴きに行った。
中学生が数人でやっていたのだが、細かいところの上手い下手はともかくとしてあれだけの人数でそれなり以上に響かせていたことに感心した。
是非卒業した暁には我が母校である神戸大学に進学していただいて、コロナ禍以降瀕死のグリークラブを救ってもらいたいものである。

あとは幾らかの展示物を見て回り、最後に催し物を見て帰った。
本当は実際に体験してみるつもりだったのだが、人気だったらしく早々に締め切られていた。
この日は妻と長女が一緒だったのだが、今度は早々に長女が帰りたがっている。
理由を聞くと、長女の学校の生徒指導の先生が来ているのだと言う。
これでは妹のことを笑えない。

なお、長女の文化祭には最大であと3回、次女の文化祭にはあと5回行く可能性がある。
上述したように、文化祭の出し物などそうそう変わるものではない。
また来年以降じっくりと見させてもらうつもりである。

ところで、唯一残念だったのが、インフルエンザの流行で一部学級閉鎖が発生したことである。
せっかく長い時間をかけて頑張って準備したのにそれが丸々無駄になったのでは泣くに泣けない。
何より大切なのは健康である。
来年以降、そのことを十分に肝に銘じて感染症予防に万全の注意をしていただきたいと心から思う。

ということで娘二人の文化祭を見てきたが、娘たちを含めて生徒たちがこのイベントをとても楽しんでいることが強く印象に残った。
私は娘たちにはとにかく学園生活を楽しんでもらいたいと願っているので、今回の文化祭が一つの思い出となればと思う。
私自身は上述のとおり文化祭にはろくな思い出がなく、大して楽しいと思ったこともない。
是非親の仇を討ってもらえればこれに勝る喜びはない。




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