サッカーのコーナー

2025.5.24

テレビ観戦記~名古屋vs.浦和

私は広島に住んでいるということもあり、地元であるサンフレッチェ広島の試合を観戦することが多い。
逆に言うと、それ以外のチームの試合はあまり見る機会がない。
ただ、NHK-BSにおいては、時々他チーム同士の試合を中継してくれることがあり、今日はたまたまそうであった。
ということで、今日は名古屋グランパス対浦和レッズの試合を途中からではあるが観戦した。

この両チームは、過去と現在進行形の違いこそあれ、サンフレッチェ広島から多くの選手をふんだくったという共通点がある。
よって私はこの両チームを、「名古屋サロンパス対サンフレッズ浦島」と呼んでいる。
名古屋には稲垣・森島・野上・浅野雄也の4名が、浦和には西川・松本泰志・長沼の3名が登録メンバーに名を連ねている。
登録メンバーはスタメン11名とリザーブ9名の計20名であるから、名古屋は20%を、浦和は15%を広島に依存していると言える。

驚くべきことに、名古屋の稲垣はこの試合前までに6ゴールを挙げており、得点王争いの4位タイに名を連ねている。
広島時代はそんなにゴールを挙げた印象は勿論ないので、その変貌ぶりに驚くとともに、「他にストライカーはおらんのか」と思う。
今日はその「本来ゴールを決めるべきストライカー」であるユンカーがスタメン入りしており、サポーターの期待を集めているところだろう。

浦和は序盤4戦未勝利と低迷し、「残留争い不可避」と思っていたのだが、その後5連勝を挙げて一時は2位に踊り出て、現状4位である。
あの逆噴射とも言えるスタートダッシュ失敗から優勝争いまで持ってくる辺りはさすが名将スコルジャである。
前も書いたが、監督というものは厳しい状況に置かれた時ほど真価が問われるものである。
イケイケの時だけ威勢良く、不調の際に立て直す引き出しがなく、審判やクラブの所為にするどこぞの監督とは器が違う。

さて、私は野球に比べてあまりサッカーを見る目を持っていない。
野球はもう40年以上見ているし、シーズン中は殆ど毎日試合があるから見る機会が多い。
サッカー観戦歴はまだ20年程度であるし、大体は週1、多くとも週2回しか試合がないので見る機会そのものも少ない。

加えて、野球は各プレーごとに間があり、その間に「ここでどう動くのか」を考える暇がある。
サッカーは戦術やフォーメーションについては考えを巡らせるものであるが、それはほぼ試合前に決まっているものである。
始まってしまえば、その多くが選手の個々の能力とその時点での瞬間的な判断に委ねられる。
強いて挙げれば、選手交代をいつどのように行うかということが議論の対象になるくらいだろうか。

なので、私はどちらかと言うとサッカーよりは野球を見る方が得意である。(好き、という意味ではない。)
サンフレッチェ広島についてはある程度情報を持っているからああだこうだ言えるのだが、他チームについてはそれもない。
ただ単純に個々のプレーを鑑賞し、勝った負けたと騒ぐのみである。

さて、前置きが長くなったが、名古屋対浦和戦である。
前半の途中から見始めたのだが、とにかく一方的に名古屋が攻めていた。
前半だけで10本以上のシュートを放って浦和を圧倒していた。

要因はと言うと、前線に「気の利いたプレイのできる存在」として、マテウス=カストロがいたことだろう。
マテウスは以前名古屋に在籍していたが一旦移籍し、今シーズン戻って来た選手である。
かつての在籍時には絶対的な司令塔であり、2023年夏に移籍した際にはこの世の終わりの如き絶望感をサポーターに与えた。
で、彼に代わる存在として広島からやって来たのが森島であったが、実力が遠く及ばなかったが故に結構叩かれたと記憶している。
そのマテウスが今シーズンから復帰しており、この試合でも気の利いたプレイで攻撃にアクセントを加えたということが言える。

前線はマテウスだけでなく、アイデアのあるプレイで再三チャンスを作っていると思ったのだが、どうしてもゴールが決まらない。
スポーツナビの速報によれば、マテウスと稲垣の2人だけで計10本以上シュートを放ったが、全部空砲である。
一度ネットを揺らすシーンがあったが、オフサイドであった。
大体こういう時は相手のたった一本のシュートが入ってしまい、そのまま負けてしまうものである。
私はそういう試合をよく見てきた。
そう言えば稲垣はサンフレッチェに在籍していたのだが、「シュートが入らないサンフレッチェの呪い」がかかっているのかも知れない。

なので、後半早々に浦和が先制した時には「ああ、やっぱりね」としか思わなかった。
サッカーの試合の流れというものは得てしてこういうものである。
これは20年しかサッカーを見ていない私でも分かる。
NHK曰く、今季名古屋は逆転勝利がなく、浦和は逆転負けがないらしい。
試合の趨勢は定まったように思われた。

浦和の先制ゴールを決めたのは後半から入った渡邊凌磨であり、アシストをしたのはやはり後半から入った金子であった。
強いチーム、良い監督というのはこうやって交代選手がきちんと結果を出して見せるものである。
どこぞの監督にも爪の垢を煎じて飲ませてやりたいものである。

しかし、今日の名古屋はここで消沈しなかった。
後半も変わらず攻撃を仕掛け続けるのであるが、やはりゴールが決まらない。
バーやポストを叩く惜しいシュートや、オフサイドによるノーゴールが続くが、それでも攻め続ける姿勢はあった。
後半36分のPKは、そんなチームに対するサッカーの神様からのプレゼントだったのかも知れない。
今日の名古屋だとPKも外すのではないかと思ったが、さすがにこれは稲垣が決めた。これで同点である。

完全に息を吹き返した名古屋は、後半アディショナルタイムに途中出場の永井が決めて勝負あり。
降格圏である18位から、暫定15位に浮上した。
今季初の逆転負けを食らった浦和は暫定4位のままである。(明日の他チームの勝敗次第で下降するかも知れない。)

感想としては、名古屋の攻撃が素晴らしかったということである。
やはり、前線でアイデア溢れるプレイのできる「攻撃の司令塔」マテウスの存在は大きい。
私は「サンフレッチェは何故点が取れないのか」ということを訝って来たのだが、彼のような存在がいないことが原因だろう。
サイドからクロスを上げるだけのワンパターンの攻撃では、特にブロックを作って固められたら何も出来なくなってしまう。
少なくとも今日の試合で彼我を比較する限りでは、名古屋の方が攻撃力は上のように思えた。

浦和はというと、名古屋の攻撃の前に防戦一方であった。
これで3試合連続2失点であり、今日の試合が中2日であったことを割引いても少々今後に不安の残る負けとなった。
とはいえ、上述したように交代選手が早速結果を出すなどチームの流れとしては悪くない。
守備の修正が図れれば(補強しろという声もあるようだが)、そうそう落ちることはないだろう。
無論優勝を目指すのであれば不安を覚える向きも多かろうが、名将・スコルジャを信じて戦う他はない。

今日の試合はなかなか面白かった。
私は大変失礼ながら、つまらない試合だと退屈で寝落ちしてしまうことがあるのだが、今日は最後まで楽しんで見させていただいた。
名古屋や浦和のサポーターに転向する気はないが、また見てみたいチームだと思った。
また今後も、いろいろなチームの試合を見て発見を重ねていきたいと思っている。


追記(2025.5.31)
今日はサンフレッチェ広島対川崎フロンターレの試合を観戦した。
フィジカル、テクニック、パスワーク全て川崎が上回っており、苦戦はしたものの2-1勝利は妥当と言えるだろう。
サンフレッチェは優勝候補と言われていたが、今日の内容ではその看板を下ろさなければならない。
セカンドボールは全く拾えないし、細かいパスミスも多かった。そして何よりゴールが遠い。

このチームがゴールを獲るためには、
1 ペナルティエリア内で複数名がボールを持つ味方を追い越す動きをし、数の暴力でゴールに押し込む。
2 ゴール前で気の利いたプレイが出来る選手を配置する(上述の名古屋のマテウスのような)。
3 スピードあるドリブラーがぶっちぎってゴールに叩き込む。
この3つが考えられる。

本来は1を積極的にやらないといけないが、出来ていない。これが苦戦の原因であろう。
強かったときは1も出来ていたし、2としてゴール前で相手の予測を超える動きの出来る佐藤寿人というストライカーがいた。
さらに、3として後半からスーパーサブで出てくる浅野拓磨までいたので、そりゃ強いのは当たり前である。

1はチームの中で徹底するしかなく、現有戦力で2が出来そうなのは今日復帰したマルコスジュニオールのみである。
3が出来そうなのは中村草太くらいだろうが、今日の出来を見るとまだまだ時間がかかりそうである。
スキッベの手腕で1が出来るとも思えず、現在の中村では3も苦しいため、マルコスジュニオールの稼働率が今後の戦績を左右することになるだろう。

ネット上では「強力なストライカーの補強を」という声があるが、現状ではいくら獲ったところで結果は同じであろう。
昨シーズンジュビロ磐田で19ゴールを挙げたジャーメインが現状PK以外のゴールがたった1つであるという現実と向き合わなければならない。

なお、逆に広島は3をやられると滅法弱い。
3バックのうち佐々木おじいさんと塩谷おじいさんは肉弾戦には滅法強いものの、スピード勝負になるともはや何も出来ない。
広島は「最強の盾」と言われてきたが、ディフェンス面でもこのように明白な弱点がある。こちらの対策も急務であると言える。

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上記を書いた直後に、柏レイソルの木下康介を獲得するらしいとの記事を見かけた。
現状報じているのはスポニチのみなので話半分にしか聞いていないが、仮に彼が来たとしてもサッカーそのものを変えないと何も変わらない。
そう予言しておきたい。


追記(2025.6.14)
今日は天王山と言える鹿島アントラーズ対サンフレッチェ広島の対戦があった。
サンフレッチェが後半ATまでリードしていたが、終了間際にアントラーズが追い付いて引き分けた。
実際に見ていないので分からないが、ネット記事を見る限りまるで成長していないことは分かる。
上述のとおり、せっかく獲得した木下も活用できず、木偶の棒状態だったとのことである。

そんな中で、サンフレッチェサポーターにとって朗報と言える話がある。
まだ噂レベルであるが、もし今年ノンタイトルで終わったらスキッベは更迭される可能性が高いそうである。
クラブ側が補強に余念がないのは、「これだけ補強しているんだから…分かっているだろうね?」ということのようである。

さらばスキッベ。グッバイフォーエバー。

しかしもしこれが本当ならば、強化部は次期監督の算段は立てているのであろうね。
スキッベよりマシならばOKなのだから、そんなに難しいミッションではないはずだが。





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