スポーツのコーナー(廣島死闘篇)

2025.4.20

広島スポーツの現在地

前回、「今後は広島にこだわらず、俯瞰してスポーツを観たい」と書いた。
しかし、広島に住んでいる以上、スポーツに関して、たとえばテレビ放送にしても地元チームの中継が主になることは避けられない。
無論BSやCSは見られるので(DAZNは加入していない)、他チームの試合も観ようと思えば観られるが、他チームに関しての情報が殆ど手に入らないため、たとえば今マウンドに立っている投手がどういう投手なのかが分からない。

たとえば野球であれば、セリーグはある程度分かるがパリーグはほぼ無知である。
サッカーであれば、サンフレッチェ以外の、特に最近頭角を現した選手はほぼ分からない。
バスケやバレーに至っては、地元チームの選手さえほぼ分からない。

このような中で、どうしても地元の、しかもメジャースポーツについてしか語れないのが残念である。
本来なら他チームのこともしっかり勉強して知識を得た上でいろいろなスポーツのいろいろなチームを観て、地元チーム以外で心を動かされるような戦いぶりを見せるチームがあればそのチームに鞍替えを考えたいところだが、現状では非常に難しい。

さて、この項は一応「廣島死闘編」を銘打っている。
「死闘編」は「忖度なく斬りまくる」という意志表明であるが、「廣島」と名を付けている限りは一応広島に関わることを書くということにしている。
そういう訳で、今回は広島のチームの現在地を綴ってみたい。
前回12月に書いたことから、どのように変わっているかを中心に書きたいと思う。


○サッカー
サンフレッチェ広島はシーズン前、各識者から一様に「優勝候補」と持ち上げられ、非常に評価が高かった。
しかし現状一応上位争いはしているが、一言で言えば「勿体ない」という印象である。
まず、勝てる試合でチャンスを外しまくって勝ち点を落とすケースが目立つ。

その原因の一つとして、昨年同時期に比べて得点力が下がっているという。
そもそも、なぜサンフレッチェに来るとみんなシュートが下手になるのか。
昨年磐田で19ゴールを決めたジャーメイン良までああなってしまったということであれば、原因は属人的なことではなく、チーム戦術の問題である。
特にミラーゲームにされた際に非常に苦戦しており、どう対策するかということが喫緊の課題となっている。

もう一つ勿体ないと思ったのは、例のACL2の没収試合である。
本来なら控え主体で楽勝で突破できたところを、ベストメンバーを注ぎ込む羽目になり、そして負けた。
就任したばかりの雨野強化部長が早々に詰め腹を切らされたが、これが吉と出るか凶と出るか。
無論強化部は強化部長一人でやっている訳ではないからこれで強化方針がぶれることはないだろうが、懸念すべき点ではある。
逆を言えば、直近の外国人はアルスランを除いてスカばかりであったから、これをきっかけに改善されればまだ救いはあるのだが。

そして私が憂慮しているのが、2代目バカボンの久保新社長と、監督を僭称するスキッベなる人物のことである。
まあ久保社長がいかにバカボンであっても、親父の目が光っている限りは変なことはできないだろうから、その間に成長してもらうしかない。
スキッベに関して言えば、選手の状態をどれだけ把握しているのか疑わしい。
無論全てがスキッベの所為ではないのだが、アルスラン、ジェルマン、中島とけが人が続出しており、また今日の中国新聞を見ると、ディフェンスの要になっている塩谷も満身創痍の状態であるらしい。

これ以上けが人が増えることになればさすがに擁護できない。特にただでさえ人数の少ないDF陣なら尚更である。
「ぼくのしんらいするさいきょうの11人」しか使わず、少々状態が悪くても無理使いするスキッベが悪いのか、あるいは状態が悪いのに気付かない、あるいは気付いていても報告しないフィジカルコーチが悪いのかは要審議であるが、ここがきちんとしていないと長いシーズンは戦えない。

スキッベに関して言えば、決して自分の非を認めずクラブや審判に責任転嫁するなど、あまり人格者とは思えない。
選手に対して直接批判はしないので受けが良いのかも知れないが、人望に関しては大いに疑問がある。
仮にこれ以上けが人を増やしてチームを混乱に陥れ、あまつさえ目の前の決定力不足の問題に対して有効な手立てを打てず、チームがずるずる落ちていくようなことがあれば、早めにお引き取り願うべきだと思っている。


○バスケットボール
先日、広島ドラゴンフライズは島根とのいわゆる「中国ダービー」に惨敗し、CS出場への道が閉ざされた。
連覇の可能性も消えたということになる。

私に言わせればこれは当たり前の話であり、仮にも優勝監督であるミリングを解雇してまで据えたのは実質新米(兼任監督経験はある)の朝山正悟であり、また戦力としても船生やマーフィーといったバリバリの戦力を放り出して安い若手を補充するだけで終わった。
明らかに前年に比べて弱体化した、言ってみれば「舐めた」面子で臨んだのであるから、この結果は自明である。

そして、CSへの最後の望みを賭けた、また隣県のライバルである島根との対戦はさぞかし盛り上がったのかと思いきや、ホーム・広島サンプラザに馳せ参じたブースターは3633人であった。(ちなみにサンプラザのキャパは6052人)
昨年「Bプレミア」とやらに参入するために血眼になって観客動員増に勤しんできた、その目標が「1試合平均4000人」だったので、その数字を大幅に下回ったことになる。
これでは仮に「Bプレミア」とやらが始まったとして、1試合平均4000人以上の観客が集まるか疑わしい。
途中で「お客が来ないから」という理由で「追放」されたりなどしたらこれ以上の大恥はない。

結局昨シーズンは「Bプレミア」参入の審査年にたまたま強かったから客が来て「4000人」に乗っただけであり、現実はこんなものである。
浦と岡崎は早めに目を覚まし、味噌汁で顔を洗って出直すべきである。
朝山HCには早々にお引き取りいただいて、一度在野からバスケを見てもらった方が良い。
今の彼からは「どんなバスケがやりたいのか」が見えない。
たとえばミリングであれば、「守り倒して競り勝つ」という方向性があった。そういったものがないからチームが安定しないのだと思う。
何ならアメリカにでも行って、コーチなどをしながらでも本場のバスケを勉強した方が良いのではないか。
そして、「自分の目指すべきバスケは何か」という方向性を見つけてもらわなければならない。

前回も書いたが、元々ドラゴンフライズは固定ファンを多く掴んでいた訳ではない。たまたま強かったから客が来ただけである。
この惨状では、前回書いたように、「こんなチームに新アリーナが必要だろうか」と疑問を呈さざるを得ない。
ただでさえカープやサンフレッチェがあるのだから、ドラゴンフライズはいい加減目を覚まさないと「別になくてもいいじゃん」と言われるだろう。

前回書いたことをまた繰り返す。
クラブ経営というのはそんなに甘いものではない。落ち始めたら一瞬である。
そのことを浦も岡崎も思い知ったことであろう。
ていうか、思い知ってもらわないと困る。
このようなファンを舐め腐り、裏切るような真似を二度としないのであれば良いが、そうでなければ見限らざるを得ない。
いや、私だけでなく、地元にも見限られることになるだろう。


○野球
意外に健闘しているのがカープである。
カープは昨オフ、実力もないくせに問題しか起こさない某ベテランをはじめとして明らかに「戦力外」と見なされる面々を放置し、支配下選手枠を意図的にパンパンにして補強をサボり、あまつさえ現役ドラフトでは上限ぎりぎりの年俸で更改していた矢崎を売って安い選手2名を獲得するという見え見えのコストカットを演じ、結果的にオリックスに脱北したK里の人的補償も獲らないという徹底したケチぶりでファンを呆れさせた。

春先にチケットを一斉発売したらしいが、今回はあまりニュースに上ることがなかった。
多分売れ行きが芳しくなかったのだろう。
マツダスタジアムでの中継を見ると、スタンドには空席が目立つ。
サンフレッチェの新スタジアムが立錐の余地もないほどぎっしり埋まっているのと比べると雲泥の差がある。

皮肉にも、この現状を見て危機感を抱いたのはフロントではなく選手だったということであろうか。
特に得点力が改善したということで、四球が増えたことも取り上げられた。
先日は二俣が阪神戦で村上に一人で14球投げさせたのをはじめ、イニングで54球を投げさせて攻略につなげた。
何でも朝山コーチが「追い込まれたら無理をせずに逆方向を狙おう」というアドバイスをしたという話が新聞に載っていたが、長年コーチをやっていてその種のことにようやっと気付いたのか、と感心するやら呆れるやら。

新井監督の采配も、1年目は機動力を使って非常に面白かったのに時を追うにつれて無難な、つまらないものになっていた印象だったのだが、最近は適度に機動力を織り交ぜているし、投手で言えば守護神の栗林といえども調子が悪ければ替える、ということもするようになってきたので、良い意味で「普通」になってきた感がある。
元々一昨年が2位、昨年は9月にペナントレースを全試合放棄するまでは首位だったので、実力はあると言えなくもない。

私は先日、「このチームはもういないものと見なす」と言ったが、同様に呆れて見放したファンも少なくはないだろう。
彼らの耳目をもう一度引き戻せるのかどうか、精々奮励努力をしてもらえれば何よりである。
松田元にはもはや何も期待しないが、選手たちにはまだ期待が出来るのかも知れない。

…と珍しく褒めたら途端に7連敗である。ありとあらゆる方法でもって、終わってみれば負けている。
敢えて「どれだけ美しく負けるか」を追求しているようにさえ見える。
やはりこの素人集団(プロのチームとは呼べない)は無視した方が良さそうだ。
視界に入るだけでストレスである。


○バレーボール
これを書いている前日、CS準々決勝が行われた。
シーズン6位でCSに進んだ広島サンダーズは、3位の名古屋WDにストレートで敗れ、上位進出はならなかった。
2試合やって1セットしか取れなかった。完敗である。

と言うか、このチームに関しては書けることが何もない。
「ああ、弱いのね」ということだけである。
中国新聞を読めば試合の内容くらいは入って来るが、中継もめったにないし、注目度はゼロに等しい。
選手たちは何を求めてバレーボールをやっているのだろうか。
日本代表に選ばれる可能性はほぼないし、スターダムにのし上がる可能性もない。

広島には他にメジャースポーツがいくつもあるので、失礼ながらこのチームが広島において存在する価値は何もない。
ここ最近は特に中心選手の流出や退部が後を絶たないようだが、この流れは今後も続くだろう。
現状降格制度がなくなったのでぬくぬくとぬるま湯に浸かり続けることはできるが、逆に言えば「残留争い」で盛り上がることもない。
優勝争いなど夢の夢なので、このまま存在感皆無のまま漂い続けるしかない。

この状況を打破しようと思えば、何か大きな話題をぶち上げるほかはない。
たとえば、代表クラスの大物選手を引っ張って来るとか、あるいは世界的な名将を連れて来るとか。
それができないのであれば、最大級の話題性を孕み、かつすぐにでもできることがある。

廃部である。

「専売公社からの流れを汲み、名セッター猫田勝敏をはじめ数多の名選手を生み出した名門・広島サンダーズが廃部!」ということになれば、大きな話題になるだろうし、地元の注目も集まるだろう。惜しむ声が集まり、客も増えるかも知れない。
どうせ煙草産業など縮小することはあっても拡大することはないのだから、今こそ良い潮時なのではないだろうか。

別に私自身が「こんなチーム廃部になってしまえ!」と望んでいる訳ではない。
極端なものの例えだと思ってもらえば良いのだが、それ以外にこのチームを盛り上げる術を思いつかないのも事実である。
チーム関係者はいい加減に危機感を持って事に当たった方が良い。


 

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