血がとまらない


私はけがをしたとき血が止まりにくい。前にも学生の頃カッターで手を切って血が止まらなくて困った話を書いたが、今回もとても困った。友人と買い物に行こうと11時にうちに迎えに来る約束になっていた。朝、お風呂に入って、顔でもそっておこうと思った。私は放っておくと眉毛がつながって、口の上にヒゲが出る。そのため子供の頃からずーっと顔を剃っている。学生の頃も剃っていたが、先生も友達も剃ったあとの顔しか知らないので、他の子は眉を剃ってしかられていたが、私は一度も注意されることはなかった。

それで、いつもは脱衣所か居間(湯気のない明るい場所)で棒カミソリで剃るのに、その日に限って風呂でTカミソリで口の周りを剃った。棒でも結構失敗はあるのだが、でき物や傷はよけて剃れる。風呂の湯気で曇った鏡を手で拭きながら「Tだから大丈夫だろう」と安心していた。ところがとんでもなかった。出っ張ったホクロの上を切ってしまった。血が出る血が出る。とりあえず風呂から出られる状態になるまで血は出っぱなし。上がるときタオルで押さえて、とりあえずバンドエイドを貼ったが、タオルは血だらけ。即洗濯である。私は呑気にも「こんなとき、何か事件に巻き込まれて風呂場を調べられたらルミノール反応が出るなあ。」とバカな事を考えていた。

バンドエイドも気休めである。何度も取り替えなれば血だらけなのだ。それに11時には迎えに来るそれまでにバンドエイドをはがなきゃ。鼻の下にこんなもの貼って買い物にはいかれない。友達が迎えにくるまでに何とか血は止まってバンドエイドを剥がすことができた。はみ出た血を拭き取って完了。

友人の車に乗って出かけたのだが、車の中でうっかり顔を触ってしまい、また血が止まらなくなった。ティッシュで押さえていたがらちがあかない。いろんな面で拭いていたが、きれいな面がなくなった。それで免許入れにバンドエイドがあったので貼っておいた。有り合わせなので、小さいのなんて持ってない。普通の大きさなので結構目立つし邪魔。「店に着くまでには剥げるようにしなければ」。その日、上り車線がものすごく混んでいて2時間走っても目的地までの半分の距離も進んでいない。よかったのか悪かったのか、私たちは目的の店にいくのをやめ、反対方向の店にいくことにした。鼻の下にバンドエイド貼ったまま…。

さすがに反対方向の店に着くころには剥げたが、かなりマヌケな顔で外を歩き回った。まあ、地元でないのでよしとしよう。私は血が止まらない女。

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