健康保険がきかない医療

健康保険が適用されない医療行為を自由診療(自費診療)といいます。健康診断や予防接種(一部は適用)、美容整形、歯列矯正などが自由診療の対象です。
200床以上の病院に紹介状なしで受診した場合に、この部分のみの差額が請求されますが、現在の制度ではこちらが特別で、このように請求してよい差額を、保険外併用療養費(旧特定療養費)といいます。(後述します)

通常1つの診療の中で保険診療と自由診療を同時に行なうことは、「混合診療」といってできません。
「基本診療+オプション」という考え方は違法であり、仮に1つでも保険適用外があれば、その診療自体が自由診療になってしまいます。その結果患者さんは、すべての医療費を全額自費負担することになります。
(例)診察は健康保険で、薬は保険のきかない薬を。→診察も薬もすべて自費に。
   薬50ミリグラムまで保険、あと30ミリグラムを自費。→診察も薬80ミリグラムも、すべて自費。
   未承認の抗がん剤を使いたい。→すべての医療行為が自費。
   3回目からのエコー検査は実費で。→すべての医療行為が自費。

健康保険の制度として保険が利かないものには、次のようなものがあります。
○本人の犯罪行為が原因の場合 ○故意に起こした傷病 ○闘争・泥酔 ○療養上の支持に従わない場合 ○不正受給 ○届けのない第三者による行為 
通常の妊娠に関する検査・健診・薬を紛失したときの再投薬など、いろいろなケースがあります。

では、治療と関係のないサービスやものには、どのようなものがあるでしょう。
実費請求が認められるサービス等
(1)日常生活上のサービスに係る費用
 ア おむつ代、尿とりパット代、腹帯代、T字帯代
 イ 病衣貸与代(手術、検査等を行う場合の病衣貸与を除く。)
 ウ テレビ代
 工 理髪代
 オ クリーニング代
 カ ゲーム機、パソコン(インターネットの利用等)の貸出し
 キ MD、CD、DVD各プレイヤーの貸出し及びそのソフトの貸出し
 ク 患者図書館の利用料等
(2)公的保険給付とは関係のない文書の発行に係る費用
 ア 証明書代
  (例)産業医が主治医に依頼する職場復帰等に関する意見書、生命保険等に必要な診断書等の作成代等
 イ 診療録の開示手数料(閲覧、写しの交付等に係る手数料)
 ウ 外国人患者が自国の保険請求等に必要な診断書等の翻訳料等
(3)診療報酬点数表上実費徴収が可能なものとして明記されている費用
 ア 在宅医療に係る交通費
 イ 薬剤の容器代(ただし、原則として保険医療機関等から患者へ貸与するものとする。)等
(4)医療行為ではあるが治療中の疾病又は負傷に対するものではないものに係る費用
 ア インフルエンザ等の予防接種
 イ 美容形成(しみとり等)
 ウ ニコチン貼付剤の処方等
(5)その他
 ア 保険薬局における患家への調剤した医薬品の持参料
 イ 日本語を理解できない患者に対する通訳料
 ウ 他院より借りたフィルムの返却時の郵送代
 工 院内併設プールで行なうマタニティースイミングに係る費用
 オ 患者の自己利用目的によるレントゲンのコピー代等

実費請求が認められないサービス等
(療養の給付と直接関係ないサービス等とはいえないもの)

(1)手技料等に包括されている材料やサービスに係る費用
 ア 入院環境等に係るもの(例)シーツ代、冷暖房代、電気代(ヘッドホンステレオ等を使用した際の充電に係るもの等)、清拭用タオル代、おむつの処理費用、電気アンカ・電気毛布の使用料、在宅療養者の電話診療、医療相談、血液検査など検査結果の印刷費用代等
 イ 材料に係るもの
   (例)衛生材料代(ガーゼ代、絆創膏代等)、おむつ交換や吸引などの処置時に使用する手袋代、手術に通常使用する材料代(縫合糸代等)、ウロバッグ代、皮膚過敏症に対するカブレ防止テープの提供、骨折や捻挫などの際に使用するサポーターや三角巾、医療機関が提供する在宅医療で使用する衛生材料等、医師の指示によるスポイト代、散剤のカプセル充填のカプセル代、一包化した場合の分包紙代及びユニパック代等
 ウ サービスに係るもの
   (例)手術前の剃毛代、医療法等において設置が義務付けられている相談窓口での相談、車椅子用座布団等の消毒洗浄費用、インターネット等より取得した診療情報の提供、食事時のとろみ剤やフレーバーの費用等
(2) 診療報酬の算定上、回数翻限のある検査等を規定回数以上に行った場合の費用
(3) 新薬、新医療機器、先進医療等に係る費用
 ア 薬事法上の承認前の医薬品・医療機器(治験に係るものを除く。)
 イ 適応外使用の医薬品(選定療養を除く。)
 ウ 保険適用となっていない治療方法(高度先進医療及び先進医療を除く.)等
私のページに質問の多い項目です。もし自費(実費)請求をされたら、内容や料金を納得がいくまで説明してもらってください。徴収は同意が原則です。
これらのきまりは、厚生労働省、保医発第0901002号 (平成17年9月1日)「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」で、通知されています。

医療機関で、請求してよい差額は、保険外併用療養費(平成18年9月までは特定療養費)と呼ばれています。

保険外併用療養費

 健康保険では、保険が適用されない保険外診療があると保険が適用される診療も含めて、医療費の全額が自己負担となります。
 ただし、保険外診療を受ける場合でも、厚生労働大臣の定める「評価療養」と「選定医療」については、保険診療との併用が認められており、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は、一般の保険診療と同様に扱われ、その部分については一部負担金を支払うこととなり、残りの額は「保険外併用療養費」として健康保険から給付が行われます。
 また、被扶養者の保険外併用療養費にかかる給付は、家族療養費として給付が行われます。
 これは、従前の「特定療養費制度」が見直しされ、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な「評価療養」と、特別の病室の提供など被保険者の選定に係る「選定療養」とに再編成されたものです。 
【評価療養】
先進医療
医薬品の治験に係る診療
医療機器の治験に係る診療
薬価基準収載前の承認医薬品の投与
保険適用前の承認医療機器の使用
薬価基準に収載されている医薬品の適応外使用

【選定療養】
特別の療養環境の提供
予約診療
時間外診療
200床以上の病院の未紹介患者の初診
200床以上の病院の再診
制限回数を超える医療行為
180日を超える入院
前歯部の材料差額
金属床総義歯
小児う触の治療後の継続管理

 医療機関によって、注射の翼状針(よくじょうしん)や、ガーゼを売店などで購入させるような所があると聞きますが、すべて違反で、医療機関の請求する行為に含まれています。

保険外併用療養費の内容は、次の通りです。

保険外併用療養費
の種類
患者負担の内容
高度先進医療の提供 高度先進医療部分以外は保険給付
高度先進医療部分は、病院が表示した金額が患者負担となる
特別の療養環境の提供
(特別室)

(差額病床)
入院基本料に包括されている室料等相当部分は保険給付され、室料差額が患者負担となる
全病床数の13.4%、うち個室58.8%、2人部屋32.4%、3〜4人部屋8.8%の病床の差額徴収があると言われています
薬事法で定める治験に係る療養 医薬品の治験に係る検査、画像診断、投薬および注射を除く部分が保険給付される。保険給付されない部分は、治験を依頼した製薬会社が負担するので、患者負担はない。
予約診療 保険医療機関の表示した予約料が患者負担となる。時間外加算、休日加算などをのぞいた部分は保険給付される。
6.2%の病院が請求しています
診療時間外診療 時間外加算相当額が患者負担となる。
時間外加算を除いた部分は保険給付される。
15.5%の病院が請求しているようです
200床以上病院の紹介なし患者の初診 200床以上の病院で、他の医療機関からの紹介状を持たずに受診を望む場合は、保険外併用療養に基づき、患者負担金が必要になります。
200床以上病院の紹介なし患者の再診 ※ 平成17年より再診も対象となりました。
前歯部の材料差額 金銀パラジウムによる場合の点数相当文が保険給付され、金合金、白金加金の材料代が患者負担となる。
金属床総義歯 スルホン樹脂床総義歯相当分が保険給付され、その他は患者負担となる。
むし歯治療後の継続管理
(13歳未満)床
フッ化物局所応用及び小窩裂溝填塞の費用は患者負担となる。
入院期間が180日を超える入院 平成14年10月から、難病や急性期など一部の患者をのぞき、社会的入院の負担として、入院基本料の一部(5%から15%)を負担することになりました。
薬事法に基づく承認を受けた医薬品の授与
医薬品の適応外投与
薬事承認後、保険収載前の医療機器に係る診療
制限回数を超える医療行為※

下記にかぎり、医療上必要性がほんど無いことを前提に患者の要望に従い、患者自身が自由に選択した、制限回数を超える医療行為について、保険診療の併用を認める。

検査 腫瘍マーカーAFP・CEA 患者の不安を軽減させる必要がある場合
リハビリ 個別・理学療法 患者の治療に対する意欲を高める必要がある場合
個別・作業療法
個別・言語聴覚療法
精神科専門療法 精神科デイケア 家族の負担を軽減する必要がある場合
精神科ナイトケア
精神科デイ・ナイトケア
一定の要件を満たした医療機関における先進医療※ 医療技術ごとの、一定の施設基準を満たす医療機関からの届け出により保険診療との併用ができることとしたもの。
 また、将来的な保健導入のための評価をおこなうと言う前提で認めているため、実施医療機関は定期的な報告を求められます。

※17年度に新しく付け加えられた項目

また、保険外併用療養費については、概略次のような取扱が定められています。
1.取扱医療機関の掲示

特別サービスのアメニティ部分などを自費負担することで、患者の選択の幅を広げようというものであり、この制度を取り扱う医療機関は、院内の患者の見やすい場所に特別サービスの内容と費用等について掲示をして、患者が選択しやすいようにする。

2.患者の同意

保険外併用療養費による特別料金方式は、患者の自由な選択によるものであり、医療機関は、事前に治療内容や負担金額等を患者に説明をし、同意を得ることになっている。患者サイドでも、特別サービスについての院内掲示をよく見たり説明を聞くなどして納得したうえで同意することが必要となる。

3.領収書の発行

保険外併用療養に係る特別料金部分については、領収書を発行する。


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