加茂岩倉遺跡を訪ねる!!

荒神谷遺跡に引き続き加茂岩倉で銅鐸画発見されて以来、出雲は歴史的に重要な地として再認識されるようになった。その意味でも今年、古代出雲文化展が東京、大阪、出雲の3会場で開かれたのはタイミングとしては絶妙であったといえよう。神話の世界が現実に目の前に提示されたかのような青銅器群は多くの人に深い感銘を与えた。その一つである加茂岩倉遺跡を今回は訪ねることにした。

国道54号線を車で走ると加茂岩倉遺跡という看板が目に入ってくる。
私などは良く思うのだがこの看板は本当に親切である。今では国の重要文化財など観光名所は全国全て、この看板を目指してたどり着くことができるのである。よく子供の頃、車に乗る人はどうして遠いところまで道に迷わずに行けるのかなと思ったものであるが今になって思えばこの看板(標識)のおかげである。

54号線をちょいと曲がって少しばかり車を走らせると3分ばかしで加茂岩倉遺跡の駐車場につく。

言い忘れたが、今時分の中国山脈の紅葉は絶景である。左右に紅葉を眺めつつ、秋の豊穣さを感じることができるのはえもいわれぬ喜びである。

さて、車を降りて100m程行くとお土産屋がある。観光地とは思えぬくらいの手作りさがかえって慎み深く好ましい。
緩やかな坂道を400mばかし登っていくと右斜面に鉄パイプで簡易的に組んだ階段が見えてくる。ここが加茂岩倉遺跡の現場である。現在は残念ながら出土部分はビニールシートで覆われており、階段も進入禁止である。その代わりとして左斜面に見学台がこさえてある。その台に登ると全景が見渡せる。
これまでの調査によってここで祭りが行われていたことが明かになった。ある説によると埋められた場所と銅鐸の方向に風水学の思想が入っているという。このことについては「青銅器文化」 にて私見を述べた。もし想像が許されるなら、酸化しやすい塩水を避けるために山間を青銅器埋納の地に選んだのではと私は考える。もちろんこれは何の根拠もない話ではあるが・・・。

秋はいい。
このような山間だと、なおいっそう風流がある。一時は観光客で賑わいかえったこの場所も今では丁度良い具合の客数に落ち着いたようでもある。それもこの地にはあっているように思える。勿論、入り口のお土産屋さんにとっては不満もあろうが・・・。

帰り道を進むと山肌右斜面は笹の葉が生い茂っており、左手には区画整理されていない田んぼが目に付く。こんな所にまで田んぼを作ってしまう人間の努力にはいつもながら感心させられる。銅鐸を埋納した当時の人々もよくやってるなと誉めてくれることだと思う。そんなことを思いながらこの里を後にした。