令和元年によせて
2019年12月10日

 宮島の令和元年の幕開けは、怒涛のような来島者の襲来で、島中に人が溢れ、何をするのも長い長い行列、1時間、2時間待ちは当たり前、来島者の悲鳴があちこちで聞かれた。待ち合わせ場所「世界一の大しゃもじ」が消え、ITを使った混雑情報が出来、来島者500万人達成は容易であるかに思われた。しかし、時が経過すると共に、来島者の頭打ち、減少傾向が顕著になった。来島者の減少は潮が引くように始まり、1番底、2番底と進み最後はパニック。10月は対前年月比0.2%微増、11月になると15%減(速報値)。宮島のトップシーズンであるはずの「安芸の宮島」の来島者が、15%減。将来不安が島を覆い始めている

12月10日撮影

 宮島の来島者は三層構造からなっている。朝早くお越しになる宮島信仰の方々。厳島神社、大願寺、大聖院と巡り、焼きたてのもみじ饅頭とお茶を頂き、昼過ぎには帰られる。同じ時間帯に、周辺地域の住民が散策でお越しになる。今流のスタイルで島内を闊歩され、夕方までには島を出る人達である。来島者200万人を支える岩盤層。この岩盤の上に観光客層が加わる。商店街のオープンと共に、厳島神社へ向かう通りが賑わいはじめ、夕方、人通りが少なくなるに従い、店仕舞いになる。政治経済情勢に、敏感に反応する層である。この三者が織りなすハーモニーが、宿泊した外国人観光客に、宮島は「夢の島」だと思わせているようである。

 今年の秋の観光シーズン、参拝やお参り目的、紅葉狩りなど散策の来島者には大きな変化はなかった。商店街を避け、目的地に直行する人の流れに、変わりはなかったからである。変化は、商店街の人混みである。毎年トップシーズンの11月は、平日、土日関係なくごったがえす商店街が、22,23日を除き流れはスムーズ。混雑の注意喚起ををうながす、町内放送は一度もなかった。いつになく、売り子さんの声が大きかったのが気懸りだった。

 来年はオリンピックイヤー。関東、東北、北海道方面にお客さんが流れ、中国、九州方面は苦戦が予想される。広島の2つの世界遺産がタッグを組み、オリンピック選手や関係者の誘客ができないものか。今、全国の自治体は必死である。オリンピックは、我が町を世界に宣伝できる、最高の機会だからである。 来島者500万人の達成は、外国人観光客の集客が出来るかどうかにかかっている。

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