薪ストーブ導入奮闘記
はじめに

薪ストーブを設置するきっかけは、宮島の松枯れ対策で、現在切り倒され、打ち捨てられた枯れ松を有効活用するためです。宮島では、桜やもみじの保護活動はありますが、松に対して関心が薄く、県や国が少ない予算の中から細々と松枯れ対策をしているのが現状です。松枯れは、松に寄生し栄養分を吸収するザイセンチュウが引き起こします。この線虫をマダラカミキリが運搬して松枯れを拡大しているのです。以前マダラカミキリを駆除するために薬剤の空中散布が行われました。しかし結果は惨憺たる状態で、松枯れ防止どころか、貴重な野鳥を殺すことになり、一時期、「沈黙の森」に宮島を変えてしまいました。当時薬剤より肥料を散布すべきという意見もありましたが全く無視されました。豊かな山作りと元気な松を育てることが、ザイセンチュウ対策に有効だからです。伐採された枯れ松を山に放置したのでは、マダラカミキリ虫の温床になります。宮島の松枯れがいっこうに改善しないのはこのためです。伐採木を燃やし最終処分する絶対的必要性がそこにはあるのです。薪ストーブ年間薪消費量はトラック一台分です。島内に10台の薪ストーブが導入されれば効果絶大です。山をきれいにして、元気な山を取り戻し、松茸が沢山取れる昔の山に再生するのが夢です。エコリサイクルにも連なる薪ストーブがたくさん設置されることを願って、薪ストーブ導入奮戦記をはじめます。なお、この話の内容は独断と偏見に満ちて書かれています。読者の皆様の見識で真実を見抜き、楽しい薪ストーブライフに参加されるきっかけとなれば幸いです。

現代薪ストーブは豊かさの象徴です。薪ストーブ店に行くと、外国製の数十万もするおしゃれなストーブが並んでいます。店内はゴージャスそのものです。そこで聞かされるお話は、お金に糸目を付けない人達の世界です。驚かされるのは、本体のストーブよりはるかに煙突設置費がかかる事です。1mたらずの煙突が1本数万円です。ステンレスと言っても、磁石が付く鉄分の多い材質です。どうしてとつい聞きたくなります。
又工事方法で費用が変わります。壁抜く工事と屋根抜く工事では費用面で倍以上の差がでます。壁抜きだと「眼鏡石」代だけですみますが、屋根抜きとなると、フラッシングが必要になります。この部品は目が飛び出るほど高いのです。ざっと見積もっても小型軽自動車購入費用ぐらいはかかります。それに毎年、煙突のメンテナンス代、燃料の薪代、お金をかけ燃やすのが今日のストーブ事情のようです。
現代はネット社会です。薪ストーブ愛好会やストーブ設置の紹介ページなどを参考にして、自力でのストーブ設置に挑戦しましょう。但し、ストーブ業者が変装して「音をあげる貴方」に接近を図って来ます。十分注意してください。

まずストーブの選定ですが、ストーブは耐用年数が約10年です。あまり高価なものは控えましょう、ただし、二次燃焼機能があるもので空気が対流式の物がいいと思います。なぜなら、対流式はストーブの上から空気が入るので下から空気が入る物に比べて断然使いやすいからです。空気が下から入るストーブは取り入れ口の清掃が毎回必要になります。上からだと灰の様子を見て時々取り除くだけで済みます。ストーブの設置は、近隣とのトラブル防止が必須条件です。煙と匂い対策は十分にとる必要があります。二次燃焼機能付のストーブは200度を超えると殆ど煙は出なくなります。ターボエンジン車と同じ原理だそうです。煙突の設置場所と高さを勘案して下さい。匂いに対しては現状では対策がありません。木の燃える匂いが嫌いな人の感覚は全く理解できませんが、それでも、洗濯物に匂いがつくといった苦情を聞かないことに越したことはありません。
ストーブ購入で特に注意しなければならないのが、燃やす薪の種類です。乾燥させた落葉樹しか燃やせないストーブは敬遠することをお勧めします。日本は針葉樹林の国です。松や杉が燃やせない外国のストーブをどうして売るのでしょうか。しかも国がポイントを付けて販売促進をはかるのは、理解できません。針葉樹は、煙突を汚し、高温でストーブを痛めるからだからだそうですが、確かに乾燥不良の針葉樹は、樹液が煙突から漏れ出したりします。しかし、乾燥させればとにかくよく燃えます。ガンガン燃やして温度が300度超えないように調整すれば何の問題もはありません。針葉樹を燃やして壊れるようなストーブは初めから購入しないことです。

煙突には、シングル煙突、2重煙突。2重断熱煙突の3種類が売られています。シングル煙突は熱が直接伝わるために、設置には十分な注意が必要です。昔、煙突の過熱が原因で屋根裏からの出火が絶えなかったからです。煙突は、可燃物から20cm以上離すことが法で義務づけられています。
2重煙突は、シングル煙突に空間を作ったり、断熱材を巻いた改良型煙突です。煙道火災の危険性を軽減します。結露によるタールの付着を少なくして、排煙機能低下を防ぎます。ただ価格が大変高いのが難点です。自力で2重断熱煙突を作成したつわものがいますが、断熱材はボロボロと壊れるのでとてもシングル煙突に巻き付けることが出来ませんでした。
どの煙突を使用するか、煙突設置条件を吟味する必要があります。やみくもに断熱2重煙突を進めるストーブ業者の云うことを聞く必要はありません。設置環境でシングル煙突でも十分な場合が有るからです。

煙突は全て簡単なはめ込み式です。誰にでも施工可能だと思います。正確な測量に基づく図面を引いて部品の注文リストを作りましょう。又解らないことは、メーカーに問い合わせれば親切に教えてくれます。リストの点検もしていただけますし、接続可能かどうかの問い合わせにも答えてくれます。
 いよいよストーブや煙突の購入です。ネット上でも沢山の購入先があります。しかしほとんどが定価販売です。中には仲介マージンをふっかけて高額販売を決め込むサイトもあります。直接製造販売業者や輸入代理店に問い合わせをしましょう。しかし業者でない者には定価販売しかしてくれません。そこで近所のホームセンターにお願いに行きました。同じメーカーでストーブと煙突と部材を一括購入するからと相談しました。なんと20%から30%の価格ダウンに成功しました。いつも頼りになるのがホームセンターです。もちろんメーカーの代理店をしている設置業者も紹介してくれました。しかし設置業者曰く、ホームセンターのお客さんは旨味がないのでやりたくない。見積も有料で数万円を要求されました。もちろん即座にお断りしましたが。後日談ですが、その業者から大変失礼を申し上げましたとのお詫びの連絡があったそうです。

煙突設置工事で、自力屋根抜き方法の紹介ページはありますが、とても素人には無理です。傾斜角度とか屋根裏の測量方法がわかりません。感を便りに工事をする事だけは止めたほうがいいと思います。
壁抜き方法となると話は別です。やる気さえあれば、誰でも可能だと思います。眼鏡石をはめ込む穴開けさえ出来れば、煙突の設営はパズルと同じだからです。
まずストーブの設置場所を決めます。壁や可燃物から40cm以上離れた場所に設置するのが絶対要件です。ストーブの高さに敷物レンガの高さを加え、煙突の中心を計算して、眼鏡石のはめ込む穴の位置を確定します。床から何cm、天井から何cm正確に計測して下さい。絶対に目測はダメです。眼鏡石の大きさに合わせた、図を壁に書き込みます。カッターでクロス表面を切ります。続いて、糸鋸でボードを切ります。割と簡単な作業です。切り取ったボードは穴開けが完了するまで、穴蓋として利用します。ボードを取り払うと、断熱材が現れます。ハサミで切り取ると壁板が現れます。ここで筋交いや梁が出たら位置を変ねばなりませんから要注意です。壁板を取り払うと黒い紙が現れます。これからが最大の難所です。外壁のモルタルを切り取らなければならないからです。まず部屋内から攻めて、ある程度穴が開いたら外壁から攻めます。仕事がしやすいからと言って外壁から攻めるのだけは止めたほうが良いです。穴開けの位置がくるうと大変だからです。道具としてはダイヤモンドカッターが必要です。いっぺんに切り取ろうとしないで少しずつ切り刻むようにするといいようです。ただ猛烈なほこりが発生します。防塵マスクに眼鏡が必需品です。穴開けが完了すると眼鏡石をはめ込みます。眼鏡石は石とは名ばかりで、大変壊れやすい断熱材の塊です。無理に押し込めたりしないことです。簡単に壊れるからです。
上記の話は自宅に自力で壁抜き薪ストーブを設置した時の話です。しかし今回は鉄骨コンクリート造りの建物で、壁にはブロックが使われていました。ドリルで穴を沢山あけて取り除こうとしましたが・・・・。ここでギブアップ。近所の業者にお願いしました。ダイヤモンドカッターで切り刻み、ハンマーとノミを使って1時間ほどで穴開けが完了しました。


煙突の設置工事は、煙突を眼鏡石に通し固定することから始めます。一度明けた穴は動かすことが出来ませんのでストーブを動かして微調整をします。後ははめ込み接続するだけです。地震対策のためにしっかり固定する必要があります。天井から60cm以上、軒から20cm以上煙突は離れていなければなりません。低温火災を引き起こさないために必要なのです。これで煙突設置工事は完了です。
実際は、近所の業者の協力を得ました。この度は10mを超える煙突設営です。まず2重煙突を2本つなぎロープで釣り上げ接続してまた釣り上げて接続するを繰り返しました。最後はかなりの重量になりましたが、約2時間で作業は終了しました。

いよいよ火入れ式です。神の島の樹木を燃やすのですから、2礼2拍手1礼して、お神酒をふりかけ安全祈願をした後、火入れをしました。
ストーブ内に砂を敷き枕石を置き、最初に新聞紙をまるめていれ、その上に松葉をのせ、乾燥した松の小枝を乗せてから、何ケ所かに火をつけます。扉は締め切らないで 燃え上がるのを待ちます。よく燃え上がり煙突から煙が上がるのを確認してからストーブの扉をしめます。早く閉めると火が消えて煙の渦ができます。こうなると大変です。煙突から煙が抜けるには、熱による上昇気流の発生が必要だからです。松の小枝がよく燃え始めたらその上に薪をのせます。空気口は全開にしておきます。温度計が200度を超えれば、追加の薪を入れても瞬時に着火して燃え上がるようになります。温度計を見ながら薪の量を調整します。

宮島の山には、あふれるばかりの、薪が転がっています、4,5日天気が続いたら、薪拾いの吉日です。着火用に、松葉やポキンと折れる小枝を集めます。松枯れで伐採された松も適度の大きさに切られ、積み上げられています。ものの1時間もすると車は薪で一杯、少しきれいにした山を後にするのが楽しみです。

薪ストーブの燃える火を見てると時間が経つのを忘れます。心も体もなごみます。火には人の命を守る力があるのです。寒さや猛獣から人を守ってきました。人間の遺伝子に、火は掛替えのないものとして植えつけられているのです。ストレスの解消、免疫力のアップ、きっと健康にも良い筈です。
薪ストーブライフには、色々な楽しみ方があります。お芋やピザを焼くと至高の味に変ります。おそらく、燃える薪のエキスが食べ物に移るのでしょう。薪によって味も変化するのです。燃える薪の香りを楽しむことは、捨てがたい喜びです。木によって香りが違います。ダイナミックな、体中で感じる香道だと思っています。不思議なことに、この香り、時間が経つと自然に消えます。煙には脱臭効果が有るのかも知れません。


あとがき
宮島の山は全て国有林です。国の委託を受けて広島県が管理しています。薪拾いについて相談してみました。良いことなので黙認ということで今のところ落着しています。宮島の山には入会権が有ったやに記憶していますが、調べてないので解りません。
日本の森林資源を再利用する「割り箸リサイクル」を始めて、15年になります。大河の一滴となるための活動が今回は薪ストーブになりました。ネット社会はバーチャルだといいますが、新しい社会の有り方を予言しています。個人と世界をつなぐ交通手段ができ、世界が一つの国になる時代の到来を告げているからです。
薪ストーブに関するお問い合わせに、お答えすることは出来ません。あくまでも自己責任でお願いします。
読者の皆様が、薪ストーブ愛好者になられることを祈念いたします。

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