11).  新しい局所麻酔注射器の有用性と問題点

          ラジオたんぱ ”歯科医の時間”

                  平成12年8月27日 放送  (要旨)

                      門前 弘美   広島市 開業


局所麻酔として浸潤麻酔法は日常臨床において欠かせない手法で、麻酔時の疼痛

を 減らすために、如何に施行するかが大切である。

疼痛を与えない、しかも効果的な麻酔―無痛的な治療を行うことは、患者さんにとっ

て大きな願いである。

浸潤麻酔法の疼痛は注射針の刺入、そしてそのあとの注射薬の注入によるもので

その軽減のため、鋭利な針や細い針の使用、刺入部位の粘膜を緊張させたり、注

射薬の温度を体温に近いものにするなど、また表面麻酔や笑気吸入鎮静法併用な

どの方法も用いられている。

また、できるだけ疼痛を起こさせないためには、注入速度を緩除にし、また注入圧を

弱める操作上のテクニックも考慮に入れる必要がある。

注入速度については1分間で2ml/分以下にするものから、1分間で1ml/分以下とす

るものがあり、一定した基準値は見当たらない。注射器の加圧も経験的な感触(目安)

で施行しているにすぎないものである。

近年、注射器や注射針などの付属器具の進歩、改良で、従来にない新しい局所麻酔

注射器が登場してきた。

今回、コンピューター制御局所麻酔装置"Wand"の使用経験により、その有用性と問

題点をとりあげた。


カートリッジ
Wand
  注射器のイメージ

  刺入時の疼痛

  注入力

  注入時間

  麻酔効果量

  針刺し事故

  コスト

  1.0mLカートリッジ

  ある

  あり

  強い

  短い

  1量として

  起こりうる

  針購入価のみ

  できる

  ない

  軽減される

  軽い

  やや長い

  1/3 〜 2/3 量

  起こりにくい

  高い

  使用できない


The Wand:ハンドピース

  


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