コンピューターによる術前値決定の
試案
Monitoring System(VOLMS)と付属のプ リインティングシステムについては第22回
本学会で発表したが、本モニタシステ ムは術前値を対象値とした種々の情報処
理の結果を表示する。そこで可及的正確 な術前値を得る目的で、術前値を測定
する思考過程に似た以下の処理システムを 加えた。
1.モニタの測定間隔を毎分1回とし、VOLMSのコンピューターにより収縮
期血 圧、平均血圧、脈拍数および経皮的動脈血酸素飽和度について現在の値と
直前の 値とを逐次比較した。
2.論理積により、そのいずれもが3回連続してほぼ一致したときの値を、そ
の環境下での術前値として表示した。
3.表示値の妥当性は術者が判断するが、参考情報として各パラメーターに
つ いて比較回数、直前の値との差、通算一致回数などを毎回表示した。 イン
プラントの施術にあたり表示された術前値をVOLMSに自動入力したところ、 多
くは再現性をみ、術中の基準値となったが、健常者であっても異常値を示す
ものであった。しかしいずれにせよ、術前値を表示するまでの間、VOLMSで
テレメ トリすることで患者は精神的安静が与えられ、術者はその挙動、表情等
を含めた 多面的情報を得、収録も可能である。今後は臨床例を重ね、思考過程
と数値処理 の方法を検討すると共に各条件の設定をより適切にしていくことが
課題である。
(質問) 門前弘美(広島市開業)
1.問診も十分行い、術前検査もされ、また歯科治療も行っておられるケー
ス で、術前値を推定するシステムも使用されて、表示値が異常を示すケースは
あっ たのでしょうか。その割合をお教えください。異常に対する対策はどのよ
うにさ れたのでしょうか。
2.数値表示になっておりますが、わかりやすい、例えば波形描記、グラフ
表 示にできないものでしょうか。
(回答) 入江靖雄(茨城県開業)
異常値を表示した割合は約20%、ただし対象が40〜60代、過去1年間のインプ
ラ ント施術者40例に限る。
その時の対策は主として精神的な要因であれば、鎮静をはかり、肉体的なも
の では投薬または中止。
波形描記に関しては、ソフトウェア上の技法なのでどのようにも可能である。
現在アナログの表示のソフトウェアも完成しているので比較使用中である。本
講 演では比較した差や通算一致回数等、術前値として収束していく過程を数値
で示 したかったのでデジタル表示とした。