天駆ける鳥のはばたきにめざめ
熱い追想の風に誘われ
荒れ止まぬ嵐の海をさすらった
色づく蕾の割れる音を聞き
いとおしい花の匂いに惹かれ
苛立つ棘の地をさまよった

さすらいの指は海を引き裂き
さまよいの爪は地を掻きむしり
赤い涙と蒼ざめた血はとめどなく
叫びとともに流れ尽くした

光は闇を刺し
闇は光を噛み
求めて気付けば傷だらけの
休みない苦しみの旅
狂わねば進めぬおののきの足
深く長い虚無のうめきとうねりのなかで…
やさしい貌
甘い調べ
陶酔の言葉
すべてが燃え落ち
割れてくだけて裂けて散った

さらば 古き夢よ
懐かしい幻影よ
ふたつは禁じられた伴侶であった
鳥よ おまえはおまえの進化をたどれ
花よ 落ちるなら落ちて土に眠れ
もう 崇めることもない
果てしなく純みわたる青空
もう ひれ伏すこともない
穏やかなおとめの海
ただ 星の幼い祈りだけが
寒い夜空に光り輝く
神殿が崩れ
偶像が朽ちても
土が銅になり
銅が鉄になり
鉄が錆滅びても
星はひとり寂しく光るだろう

さらば かけがえのないふるさとの夢よ
純白のいのちの幻影よ
星の光を呑みほし
遠い神話を膚に刻み
ひとりきりの部族として
おれは荒れ地に生きる