■広島から富士山は見えるか: 地球は丸い

 地球は赤道半径 6,378km、極半径 6,356kmの回転楕円体に近い形をしていますが、ここでは近似的に半径6,370kmの球と考えます。途中に何も障害がないものとしたとき、広島から富士山(標高3,776m)は見えるのでしょうか。
図のように、地上の任意の点Aから富士山B(高さ:h)までの距離をa、中心角をθ、地球の半径をrとすると、
    θ = a/r
    h  = r/cosθ - r  ---> cosθ = r/(r+h)
より、富士山が見える限界距離 a は
    a = rθ
で求められます。 r = 6,370、h = 3.776 を代入すると
    cosθ = 6370/(6370+3.776) = 0.999408
    θ = 0.034423 (rad)
    a  = 6370 x 0.034423 = 219.3 (km)
広島市から富士山までは約600kmですから、残念ながら途中に何も遮るものがなくても富士山は見えません。

図の右側には地上から富士山が見える概略範囲を示しました。富山市、伊勢市、犬吠埼あたりが限界です。
なお、山の上からはもっと離れた場所からでも富士山が見えます。紀伊半島の先端に近い和歌山県那智勝浦町の
妙法山(標高749m、富士山からの距離約320km)からは実際に富士山が見えるそうです。
   
   富士山最遠地 那智勝浦町公式サイト 
MtFuji.jpg

(参考1)標高h0の山の上から富士山を眺める場合の限界距離
  この場合の限界距離は地上(標高0)から眺める時の限界距離(上記)に次の値を加えたものです。
    兮 = rθ1   ここで、cosθ1 = r/(r+h0)

(参考2)直進しない光
  ここでは光は直進するとしていますが、実際にはわずかに曲がります。
 (a)大気の屈折による曲がり(気差): 高低による大気の密度の差(屈折率の違い)による曲がり
 (b)重力による曲がり(重力レンズ): アインシュタインの一般相対性理論による曲がり
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