■木管楽器のリードは植物のアシ(Reed)から作る

 オーボエ(oboe)、クラリネット(clarinet)、ファゴット(bassoon)などの木管楽器のリード(舌、簧=した)は水辺に生えるイネ科の植物であるアシ(葦、芦)の茎を加工して作られます。
 既製品もありますが、ほとんどのプロ奏者は自分で作っているとか。

 実はリード(reed)とはもともとは「アシ」の意味を持つ英語なのです。

 なお、「あし」が「悪し」に通ずるのを忌んで、「よし」とも呼ばれます。 関東では「アシ」、関西では「ヨシ」が一般的なようです。

 西洋のパンフルートは、長さの異なる芦の茎から作った芦笛を並べたものです。

 雅楽用の楽器である「笙(しょう)」や「篳篥(ひちりき)」のリードもアシでできており、このためのアシは大阪・高槻市の淀川のある地区に生育したものでないと良くないという話を過日NHKラジオで耳にしたことがります(確か、元宮内庁楽部首席楽長をされた東儀俊美(としはる)さん談)。

 この地区(鵜殿 = うどの)には現在高速道路計画が進捗中で、これがなされたらアシは全滅と国土交通大臣に対して請願活動をしていると言うのです。

 また、鵜殿では毎年2月末から3月初め頃に「葦焼き」が行われますが、対岸住民からの苦情などで中止されたこともあったようです。

 東儀家は奈良時代から今日まで1300年以上の間、雅楽を世襲してきた楽家の家系であり、雅楽演奏家でNHK大河ドラマ『篤姫』で孝明天皇役で出演された東儀秀樹さんは母親が東儀家出身です。

 広島県福山市にある ふくやま芸術文化ホール(約2000席の大ホールあり)の愛称:リーデンローズ(Reed & Rose)は市内を流れる芦田川の「芦(葦)」(Reed)と市の花であるバラ(Rose)を合成して命名されたものです。
リーデンローズ ふくやま芸術文化ホール

ホーム