■静止衛星の軌道半径はなぜ約42,000kmか

 気象観測用衛星"ひまわり"などの静止衛星(Geostationary Satellite)は赤道上空の高度約35,786kmの円軌道(軌道半径 約42,000km)を、地球の自転と同じ周期(角速度)で公転しています。
 この軌道半径は"ひまわり"以外の静止衛星(放送衛星BSや通信衛星CSなど)も同じです。なぜ軌道半径は約42,000km(地表からの高度は約36,000km)なのでしょうか。
 これは地球の周りを回っている物体(衛星)に働く力のバランスを考えれば理解できます。
地球(半径:R)の周りを軌道半径:rで回っている物体に働く力には
(1)遠心力:Fc
    Fc = mrω2
      ここで、m :物体の質量
          ω:角速度
(2)地球との間の引力(重力):Fa
   ニュートンの万有引力の法則より
    Fa = GMm/r2
      ここで、G:万有引力定数
          M:地球の質量
の2つがあります。
一定半径上を運動するためにはこの2つの力は釣りあっていなければなりません。従って
    mrω2 = GMm/r2
  ∴ r3 = GM/ω2     ・・・(式1)
ところで、物体mが地上にあるときの重力の大きさ(重さ)は
    mg = GMm/R2
      ここで、g:重力加速度
で表されますので、これから
    GM = gR2      ・・・(式2)
となり、これを(式1)に代入すると
    r3 = gR22 
  ∴ r = ( gR22 )1/3 ・・・(式3)
これが静止衛星の軌道半径:rを求める計算式です。

さて、実際の数値を当てはめてみましょう。
・重力加速度g = 9.8 m/s2
・地球の半径(赤道上)R = 6,378,000 m
・角速度 ω = 1周 / 約23時間56分4秒
      = 2π/(23x60x60 + 56x60 + 4)
      = 7.292x10-5 /s(秒)
これらの値を(式3)に代入すると
    r = 42,166 km
が得られます。
冒頭に記した値とわずかに異なりますが、これは重力加速度、地球の半径としてどのような値を使用するか
によるものと思われます(あるいは別の原因があるかもしれません)。

尚、上記rは地球の中心からの距離ですから、高度すなわち地上からの高さは
    42,166 - 6,378 = 35,788km 
となります。
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