車は化石燃料であるガソリンをエネルギー源にして走ります。ガソリン1リットル当たりのCO2の排出量は約2.3kgと言われていますが、この値はどこから来ているのでしょうか。
・ガソリンは炭素、水素(およびその他の不純物)からなる有機化合物の混合物で、比重は0.7程度です。
・炭素(C)の原子量は12、酸素(O)の原子量は16です。
・また二酸化炭素(CO2)の分子量は 12+16x2 = 44です。
以上の数値をベースに、ガソリン1リットル当たりのCO2の排出量を概算してみましょう。
・水素の原子量は1で、炭素に比べてずっと小さいのでガソリンは重量的にはほぼ炭素だけからなっていると考えます。
・すると、ガソリン1リットルには 約 0.7 kgの炭素が含まれます。
・これが燃焼によりすべて二酸化炭素になると仮定すると、その重量は
0.7 x 44/12 ≒ 2.5 (kg)
実際の燃焼過程は非常に複雑であり、またガソリンには炭素以外の成分も含まれていますので、上の概算は非常に大雑把なものです。しかし、一般に言われている2.3kgに近い値が得られます。
・なお、二酸化炭素の比重は空気の約1.53倍で、単位体積当たりの質量は約1.8kg/m3です。
従って、ガソリン1リットル当たりのCO2の排出量(2.3kg)は体積に換算すると
2.3 / 1.8 ≒ 1.3 m3 = 1300 リットル
となり、1リットルの牛乳パック約1300本にもなります(驚くべき量です!)。
・車の走行距離1kmあたりのCO2の排出量は車の燃費性能(燃料消費率)に反比例しますが、
大略表のとおりです(2,300 を燃料消費率で割れば、求められます)。
マイバッグ持参で近所のスーパーへ車で買い物に行く・・・これって、エコライフでしょうか?
・車に積んでいる余分な荷物を降ろすとCO2が少なくなります。
運転者、同乗者の体重も同様です。ダイエットして余分な体重は落としましょう(?)。
車の排気量とCO2の排出量(概略値)
総排気量 ( L ) | 燃料消費率 ( km/L ) | CO2排出量(1km あたり) | 車両重量(参考) ( kg ) |
( g ) | 牛乳パック換算(本) |
0.66 L | 15 | 150 | 85 | 900 |
1.5 L | 12 | 200 | 110 | 1200 |
2.5 L | 8 | 300 | 160 | 1800 |
(注1)燃料消費率はカタログ値(10・15モード燃料消費率)ではなく、実際に近い値を使用しました。
(注2)燃料消費率は車の重量にほぼ反比例します。
(注3)最近の車のカタログには燃料消費率とCO2排出量が併記されています。
(注4)国土交通省「自動車燃費一覧について」では
ガソリン1リットル当たりのCO2の排出量
= 34.6 x 67.1 ÷ 1000
= 2.32166 (kg)
としています。