■車の数学(13): 車の燃費基準の不思議
エコカー減税やエコカー補助金の対象車の条件は大きく次の2つです。
(1)低排出ガス車: 平成17年(2005年)基準排出ガス75%低減レベル
(2)低燃費車: 平成22年(2010年)燃費基準を一定以上達成
例えば、車両重量 1,010kgで燃費が21.5km/Lの車は燃費基準+20%の低燃費車で、重量税などが50%減税されます。
この車にオプションを付加して車両重量が10kg増えて1,020kg、燃費が少し低下して20.0km/Lとします。 するとこの車は燃費基準+25%の低燃費車となり、減税幅は75%にアップします。
なぜこのような不思議な現象が起るのでしょうか。
●ガソリン車のエコカー減税(概要)
対象車の燃費によって減税の割合が次のようになっています。
排出ガス | 10・15モード燃費 | 自動車取得税/重量税 | 自動車税 |
75%低減レベル | 燃費基準+25%達成車 | 75%軽減 | 50%軽減 |
75%低減レベル | 燃費基準+15%達成車 | 50%軽減 | 25%軽減 |
いずれも新車購入時の1回のみ(但し、自動車税は翌年分)です。
●平成22年(2010年)燃費基準(ガソリン乗用車)
車両重量毎に次の表のように決められています(省エネ法)。
車両重量(kg) | 燃費基準(km/L) | +15% | +20% | +25% |
〜 702 | 21.2 | 24.4 | 25.4 | 26.5 |
703 〜 827 | 18.8 | 21.6 | 22.6 | 23.5 |
828 〜 1,015 | 17.9 | 20.6 | 21.5 | 22.4 |
1,016 〜1,265 | 16.0 | 18.4 | 19.2 | 20.0 |
1,266 〜 1,515 | 13.0 | 15.0 | 15.6 | 16.3 |
1,516 〜 1,765 | 10.5 | 12.1 | 12.6 | 13.1 |
1,766 〜 2,015 | 8.9 | 10.2 | 10.7 | 11.1 |
2,016 〜 2,265 | 7.8 | 9.0 | 9.4 | 9.8 |
2,266 〜 | 6.4 | 7.4 | 7.7 | 8.0 |
例えば、車両重量 1,010kgで燃費が21.5km/Lの車は燃費基準+20%の低燃費車です。
この車にオプションを付加して車両重量が1,020kg、燃費が少し低下して20.0km/Lとします。すると車両重量区分が1つ上がって 燃費基準が17.9km/L から16.0km/L に下がり、燃費20.0km/Lは燃費基準+25%の低燃費車となって、減税幅が50%から75%に上がる訳です。
(注)「車両重量」は正しくは「車両質量」とすべきでは?
国際単位系(SI)に沿って表記するならば、「質量」とすべきと思われますが、車関係では依然として「重量」が使われています。 「自動車重量税」や省エネ法(正式名称は「エネルギーの使用の合理化に関する法律」)における区分も「車両重量」となっている等々です。
[参考文献] 国土交通省: 自動車燃費一覧について
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