■ドント方式による比例代表選挙の当選者決定の例(2009年衆議院選挙)

 ドント方式比例代表選挙において各政党別得票数から当選者を決定する方式の1つで、ベルギーの数学者ヴィクトル・ドント(Victor d'Hondt)が考案したものです。

 1から順に整数 1, 2, 3, ・・で割ってゆき、その商の大きい順に政党に議席を割り当てます。日本では1983年(昭和58)の参議院選挙から採用されました。

 先の衆議院選挙(2009年8月30日投票)における比例区中国ブロック(定員11)の政党別確定投票数をもとに、ドント方式で各政党の議席数を算出すると次のようになります。

ドント方式による議席数決定
(2009.8.30 衆議院選挙 比例区中国ブロック)
政党民主自民公明共産社民国民幸福
得票率(%)39.7 32.4 13.0 5.7 3.6 4.9 0.8
得票数1,704,2421,388,451555,552244,761156,291208,20832,319
得票数÷1(1)1,704,242(2)1,388,451(6)555,552244,761156,291208,20832,319
÷2(3) 852,121(4) 694,225277,776122,38078,145104,10416,159
÷3(5) 568,080(7) 462,817185,18481,58752,09769,40210,773
÷4(8) 426,060(9) 347,112138,88861,19039,07252,0528,079
÷5(10) 340,848277,690111,11048,95231,258 41,6416,463
÷6(11) 284,040231,40892,59240,79326,04834,7015,386
÷7243,463198,35079,36434,96522,32729,7444,617
議席数6410000
定員 x 得票率4.373.561.420.620.400.530.08

 上表の(1)〜(11)の11人が当選で、民主6、自民4、公明1となります。 単純に「定員x得票率」から計算される値(端数付き議席数)とは微妙に異なることがわかります。 自民+公明の得票率は45.4%で、民主の39.7%を上回りますが、議席数は 4+1=5 : 6 で民主より少なくなっています。

 ドント方式では定員が少ない時、小政党に議席が配分されない欠点があります。 上記得票数で定員を 5、8、11、15、20としたときの議席数を計算すると次のようになります。 定員15では共産にも1議席が与えられ、更に定員20では国民(新党)にも1議席が与えられます。

定員を変更した場合の各党の議席数
政 党民主自民公明共産社民国民幸福
定員 53200000
定員 84310000
定員 11(現状)6410000
定員 157521000
定員 209721010

 現在、衆議院比例区の定数削減が話題になっていますが、そうなると小政党が比例区で議席を得ることがますます困難になると思われます。
[参考文献]1.Wikipedia: ドント方式

ドント方式による比例代表選挙の当選者決定(商が同一の数値のとき)
ドント方式による比例代表選挙の当選者決定(Java アプレット)

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