デルタ関数は次の条件を満たす“関数”δ(x)で、ディラック(Dirac 英国、1902-1984)が量子力学の理論体系を整備するために導入しました。
(1)δ(x) = 0 (x≠0), δ(0) = ∞
(2)∫-∞+∞δ(x)dx = 1
定義の第2の条件は次のようにも書かれます。 任意の実連続関数f(x)に対して、
(2')∫-∞+∞f(x)δ(x)dx = f(0)
デルタ関数は通常の意味での関数ではなく、超関数と呼ばれるものの1種です。 ここでは、デルタ関数を通常の関数の極限として定式化する幾つかの方法について紹介します。
次に示す関数はいずれもデルタ関数の満たすべき第2の条件(-∞〜+∞までの定積分が1)を満たします。
・矩形波による定義(a → 0 )
f (x) = 0 (x ≦ -a) 1/(2a) (-a < x < a) 0 (a ≦ x) ・3角波による定義(b → 0 )
f (x) = 0 (x ≦ -b) x/b2 + 1/b (-b < x ≦ 0) -x/b2 + 1/b (0 < x < b) 0 (b ≦ x) ・正規分布の密度関数による定義(σ → 0 )
f (x) = exp[-x2/(2σ2)]/[sqrt(2π)σ] σ: 標準偏差 ・Sinc関数による定義(k → ∞ )
f (x) = sinkx/(πx)
下図はこれらの関数による定義で、各パラメータを小さく(または、大きく)するに従って、デルタ関数に近づく様子を示すものです。
上の4つのボタン(矩形波、3角波、正規分布、Sinc関数)を押すと、各関数においてパラメータ(a, b, σ, k)を変化させたときの曲線形状を知ることができます。 また、各関数に特定のパラメータを指定して曲線を表示することもできます。
ディラックは1933年に31歳の若さで、ノーベル物理学賞を受賞しています。
(注)Sinc(シンク)関数は標本化関数、カーディナル・サインなどともいわれ、矩形波のフーリエ変換がSinc関数になることもよく知られています。
[参考文献]Wikipedia:ディラックのデルタ関数、 Sinc関数
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