■デジカメ at Random(4): 有効口径 と 開放F値

 デジカメのカタログには例えば、
  ・焦点距離 f = 5.0(W) - 20.0mm(T) [ 28(W) - 112mm(T) ]
  ・開放F値 F2.8(W) - F5.8(T)
  ・光学ズーム倍率 4倍
のように記載されています。

 F値(F ナンバー)とは、レンズの焦点距離(f)を有効口径(De)で割った値であり、レンズの明るさを示す指標として用いられています。
  F値 = f / De

 解放F値はレンズの絞りを開放(全開)したときのF値です。

 またF値の逆数は口径比と呼ばれます。
  口径比 = 1 / F値 = De / f

 有効口径とは、「レンズの光軸上無限遠の位置にある点光源を想定したときに、その点光源からレンズへ入射する平行光線の光束の直径のことである」と、Wikipediaにありますが、この値はカメラに対して一定ではなく、焦点距離によって変化します。

 上記の仕様のデジカメで有効口径を逆算すると、広角側(ワイド側:Wide)では f = 5.0、 F2.8 であるので
  De = 5.0 / 2.8 ≒ 1.8
望遠側(Telephoto)では f = 20.0、 F5.8 であるので
  De = 20.0 / 5.8 ≒ 3.4
となります。
 ●F値と画像の明るさの関係

 F値はレンズの明るさを示す指標であると述べましたが、その理由は下記のとおりです。

 レンズの公式
  ・1/a + 1/b = 1/f
  ・倍率 z = b/a
    ここで、
     a : レンズ中心から物体までの距離
     b : レンズ中心から像までの距離
     f : レンズの焦点距離

において、一般に焦点距離(f)に比べて物体までの距離(a)が圧倒的に大きいので
  b = 1/(1/f - 1/a) = af/(a - f) ≒ af/a = f
  z = b/a ≒ f/a
となります。

 露光時間(シャッタースピード)を一定とすると、CCD全体が受ける光の量は有効口径(De)の2乗に比例します。 また、物体(撮影対象範囲)の面積をSとすると、倍率zが(f/a)であるので、像の面積は
  S・z2 = S (f/a)2
となり、これがCCD全体の面積となります。

 従って、CCDの単位面積が受ける光の量は
  De2 / [S (f/a)2] = (De/f)2・a2/S
に比例することがわかります。

 撮影対象の範囲(S)と位置(a)を固定すると、CCDの単位面積が受ける光の量、すなわち画像の明るさは(De/f)2に比例 ―> F値に反比例することがわかります。
[参考文献] Wikipedia:デジタルカメラ、 F値

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