■エコブーム と 低周波音による悩み

 最近のエコブーム(省エネで環境に優しい)を追い風に太陽光発電風力発電エコキュートなどの普及に拍車がかかっていますが、このうち風力発電エコキュートが発する低周波音による被害が深刻化しています。

 低周波音とは周波数が100Hz以下の音で、ピアノの中央のド(262Hz)より1オクターブ下のド(131Hz)から左に3つ目の白鍵(ソ:98Hz)以下の領域の音に相当します。

 風力発電は特に住宅地の近くに設置する場合に騒音や景観が問題となり、 環境省は各地の住民から寄せられた健康被害等の訴えに基づき、今年度(2009年度)から愛媛、愛知両県の風車の周辺で、低周波音と住民の健康状態の因果関係を調べることを決めました。

 エコキュートは空気中の熱を利用してお湯を沸かす省エネタイプの「家庭用給湯器」で、主に深夜に稼働し、構成要素であるコンプレッサー(圧縮機)の稼働音は静かになったとはいえ、低周波音被害の可能性は残り、設置に際しては隣家などへの配慮が必要とされています。

 それでは実際にこれらの低周波音とそれ以外の音を疑似体験してみてください。
 下の表で、Hz(周波数)、note#(MIDI ノートナンバー)、または音名の一覧の中から聞きたい音をクリックしてください。



 note#(MIDIノートナンバー)とは、ピアノの中央の"ド(C4)"を60として、鍵盤に順番に割り当てられた番号で、88鍵ピアノの左端の白鍵(ラ)は note#= 21、右端の白鍵(ド)は note#= 108 (= 21 + 88 - 1)です。
 note#自体は 0〜127 の範囲で定義されています。

 物理学者で随筆家、俳人でもあった寺田寅彦(1878−1935)は「耳と目」の中で、次のように述べています。

  目はまぶたによって任意に開閉され、
   また頭を動かすことなしにある程度までは自由に左右上下に動かされる。
  しかし耳は耳だけではそういう自由をもたない。


 住民の声に真摯に耳を傾け、真に環境に優しい機器への技術革新が望まれます。
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