■ハープのネック形状(ハーモニックカーブ)

harp0.jpg  ハープ(harp)は指で弦をはじいて演奏する撥弦楽器の一つで、現在ソロやオーケストラで活躍している「ハープ」は、正式には「ダブル・アクション・ペダルハープ」と呼ばれ、47 本の弦が並べられています。
 ピアノの中央のド(ミドルC)をC4とした時、最低音はそれより3オクターブ下のド(C1)、最高音は3オクターブ半高いソ(G7)です。 各弦はペダル操作によりそれぞれ半音上げたり、下げたりできるようになっています。

  C1DEFGAB C2DEFGAB C3DEFGAB C4DEFGAB C5DEFGAB C6DEFGAB C7DEFG

 ハープの奏でる音の振動数 f(Hz)は次に示す弦の振動数の計算式に即しています。
   f = sqrt(T/σ)/(2L) ・・・(式1)
    ここで、T:弦の張力、 σ:弦の線密度、 L:弦の長さ、 sqrt:平方根

 また、各音の振動数はC4の振動数(≒ 261.62Hz)をf0とすると、平均律により
   f = f0 x 2(i/12) ・・・・・・(式2)
    ここで、i:C4に対する音程(半音単位の)、47弦ハープでは i = -36 〜 43

 (式1)、(式2)より、振動数 f の音 i に対する弦の長さ L は
   L = sqrt(T/σ)/(2f0) x 2-(i/12) ・・・(式3)

 ハープの各弦はピアノの白鍵(より半音低い音、下記注)に相当するため、隣り合う弦と弦の音程は全音と半音が混在していますが、その弦長は(式3)に従って低音部から高音部に向かってほぼ滑らかに減少していきます(下のグラフ)。 しかし多くの実際のハープでは低音部での弦の長さの増加を抑えているためS字型の優美なネックをしています。 なぜこのようなフォルムなのでしょうか?。
 (式3)で、弦の張力Tと線密度(線の太さの2乗に比例)σが一定であれば確かに弦の長さLは下図のように音程の変化に対してきれいな関係になりますが、実際のハープでは音域によって弦の太さと張力を変えているため、よく目にする滑らかなネックライン(ハーモニックラインと呼ばれている)になるのです。 harp1.jpg

(注)実際のハープは上記より半音低く調律されており、音域は C1b〜G7bです。
   ペダル操作により半音上げたり、全音上げたりします。
ホーム