■レンズの度数(ディオプトリー)と焦点距離の関係

 レンズの度数すなわち屈折力はディオプトリー(独:Dioptrie、 英:diopter)で表されます。

 ディオプトリーはレンズの焦点距離(m単位)の逆数で、例えば焦点距離20cm=0.2m のレンズは5Dとなります。

 凸レンズは正値、凹レンズは負値で示されますので、近視用のメガネレンズ(凹レンズ)は−5Dのような表記となります。

 因みに、ディオプトリー(Dioptrie)の語源はギリシャ語の dia(通過する)+ opteuo(見る)です。


  ●自分の眼のディオプトリー(度数)を知るには

 自分の眼の概略のディオプトリーは次の方法で知ることができます。

・辞書など、細かい活字の本を用意します。
・片眼ずつ、文字がぼやけずにはっきり見える最大距離(遠点)を調べます。
・その距離(m単位)の逆数が概略のディオプトリー値です。

 この方法で眼の概略のディオプトリー値が算出できるのは、下記の理由からです。

複合レンズの焦点距離: 1/f = 1/f1 + 1/f2 - d/(f1・f2) ・・・(式1)
   ここで、
       f1, f2: 2枚の各レンズの焦点距離 (凸レンズ:正、凹レンズ:負)
       d  : 2枚のレンズの距離
   2枚のレンズが接近している時は: 1/f ≒ 1/f1 + 1/f2 ・・・(式1’)

レンズの公式: 1/a + 1/b = 1/f ・・・(式2)
   ここで、
       a: 物体からレンズまでの距離
       b: レンズから像までの距離
       f: レンズの焦点距離

・眼(水晶体)をレンズ1:凸レンズ(f1>0、可変)、近視用メガネをレンズ2:凹レンズ(f2<0)とし、
 両者は接近しているので(式1’)が成り立つものとします。

・水晶体から網膜位置までの距離(≒眼球直径)をb、遠点距離をaとすると、
  (式2)より裸眼に対して次式が成り立ちます(但し、f1:調節可能な最大焦点距離)。
    1/a + 1/b = 1/f1 ・・・(式2’)

・「眼+メガネ」で無限遠点が網膜上に結像するので
    1/f = 1/f1 - 1/f2 = 1/∞ + 1/b = 1/b ・・・(式3)

・(式2’)、(式3)より
    1/a + 1/b - 1/f2 = 1/b

 ∴  a = f2

となり、遠点距離aがメガネの焦点距離、その逆数がディオプトリー値となります。
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