■世界各国のCO2排出量と削減目標の不公平

 温室効果ガスとは大気中に存在して地球を温暖化させる気体で、二酸化炭素(CO2)・メタン・亜酸化窒素・フロンなどがあります。

 我が国で排出する温室効果ガスの約9割は二酸化炭素が占めており、CO2の削減が急務となっています。
 ●世界各国におけるCO2の排出量 −2005年−

 世界各国におけるCO2の排出量(温室効果ガスの排出量をCO2に換算した量)は2005年時点で次のようになっています。

世界各国のCO2排出量(2005年)
国 名排出量(%)人口(億人)排出量(/人)
米 国20 %3.24.3
中 国20 %13.51.0
ロシア6 %1.42.9
日 本4 %1.32.1
インド4 %12.00.2
その他46 %36.90.8
世界全体100 %68.31.0

 国別の排出量は米国、中国がほぼ同量でトップ、日本は第4位です。 しかし、人口1人あたりで考えると米国は中国の約4倍で断トツ、日本は第3位になります。 中国の温室効果ガスの排出量の多さがよくやり玉に上がりますが、人口1人あたりではほぼ世界全体の平均値(1.0)にほぼ等しくなっています。
 ●CO2削減目標の不公平

 先のイタリアでのサミットにおいて、温室効果ガス排出削減については2050年までに「世界全体」で少なくとも「50%」削減するという洞爺湖サミットでの合意を再確認した上で、「先進国全体が80%以上削減する」との新たな長期目標を確認しました。

 前記のように、世界各国のCO2排出量レベルが異なる現状のもとで、一律80%削減というのは非常に不公平と言わざるを得ません。 先進国と新興国とで目標を分けて設定しているとはいえ、現状に対して何%削減というやり方は適切ではありません。

 日本は高度な省エネ技術を駆使して今でもCO2排出量を低く抑えており、米国などと同様の一律80%の削減を目標とするのは不利であるとの考えもあるようですが、人口1人あたりの世界全体の平均値(1.0)のほぼ2倍に達しており、決して威張れるものではありません。

 単純明快に人口1人あたりのCO2の排出量の絶対値(kg-CO2/(年・人))あるいはGDPあたりのCO2の排出量の絶対値で目標設定すべきです。
 ●世界各国におけるCO2の排出量 −2007年− ['09.10.7追記]

 2007年に中国が米国を抜いて世界1になったと、国際エネルギー機関が発表しました。 日本は第6位。 但し、今回はEU各国を1つにまとめて比較しています。

世界各国のCO2排出量(2007年)
国 名排出量(%)
中 国21 %
米 国20 %
EU(旧15カ国)11 %
ロシア5 %
インド5 %
日 本4 %
その他34 %
世界全体100 %

 人口1人あたりで考えると依然米国は中国の約4倍で断トツです。
[参考文献]
 1.政府広報: あしたのニッポン「低炭素社会づくり」(2009年7月)
 2.Wikipedia: 温室効果ガス、 国の人口順リスト

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