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ビタミンB1によるアナフィラキシー様ショックのメカニズム

  1. 一過性の副腎機能不全がベースにある
  2. ビタミンB1欠乏症がベースにある
  3. 急性上気道炎により上気道が過敏になり咳が強い

1.2.3.の状況で急速に多量のビタミンB1を静脈注射すると、アナフィラキシー様ショックが起こり得る。


1.副腎機能不全の状況では血管平滑筋がノルアドレナリンやアドレナリンに反応しなくなってくる。
わずかな有害刺激によって虚脱または死を招く。

(医科生理学展望より)

2.日本人のビタミンB1摂取量は、食事からではすべての世代で不足している。

(平成20年国民健康・栄養調査)

3.迷走神経が過敏になり、緊張状態にある。

ビタミンB1欠乏症の状況で急速に多量のビタミンB1を静脈注射すると、一気にクエン酸回路が働き大量のATPが生産される。
このATPが緊張状態にある迷走神経領域に供給され、喉頭痙攣を来し窒息する。

ビタミンB1によるアナフィラキシーショックは、IgEが関与する免疫反応によるものではなく、一定の状況下における、ビタミンB1そのものによる作用であると考えられる。