knock

                               柿姐            

 

目を開けると、そこは一面の闇。
ああ、ジーンが来てるんだ。

――この前はごめん。

ううん、そんなことない。また会えて嬉しかった。
ねぇジーン、ここはどこ? ジーンはいつもここにいるんでしょ?

――ここは…そうだね、生と死の狭間、みたいな場所かもしれない。

うーんと、生と死の狭間、って…三途の川みたいな所、なのかな。
その瞬間あたしたちは広い川の畔に立っていた。
…これってもしかして三途の川?

――すごいね。この場は麻衣のイメージで固定されてしまったよ。
麻衣の力が強くなって…いや、僕の存在が薄れているんだろうね。たぶん。

やだ。そんなこと言わないでよ。ひどいこと言ってるってわかってるけど。でも。


あたしはまだ一人前じゃない。あたしには本当に力があるの?
いつかはジーンが手伝ってくれなくてもナルの役に立てるようになる?
…ううん。今はジーンが来たことをナルに伝える役目だけでもいい。
だから。目が覚めたらあたしの所に来て。
利用でもいい。あたしとジーンの波長が少しでも近いのなら。


***

最近気付いたこと。
所長室の机の上に小さな鏡。
――ほら、ノックを待っているのは私だけじゃないよ。ジーン。

 


Fin. 1998.09.25
                                  
 

                               

 

 

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