日本アルプス

蝶ヶ岳〜常念岳(平成12年7月28日〜30日)

  7月28日(金) 上高地〜長塀尾根〜蝶ヶ岳ヒュッテ 

 京都からの夜行バスで朝の5時半に上高地バスターミナルに着く。
雨がしとしとと降っている。アルプスにも20回近く来るが初日からの雨は初めてである。
 しかしバスターミナルは中高年登山者であふれかえっている。


 徳沢までは2時間の平坦な道なので傘をさして歩く。 

 穂高などの山は雨雲で見えない。


   梓川

 2時間で徳沢に着く。
   徳沢園

 「氷壁」の宿の「徳沢園」の横から長塀山の尾根に取り付く。樹林の中、いきなりの急登である。
 久しぶりの針葉樹の匂いが、日本アルプスに来たということを実感させてくれる。
 急登は1時間続き、平らになる。そしてまた前よりも緩やかな上りとなる。
 雨の中の上りは、風がない樹林帯は傘が良い。カッパだと蒸れて仕方ない。
   徳沢園の横からの長塀尾根への取付き

   

 1時間30分で樹林に囲まれた長塀山三角点。
ここらからは尾根の上を歩いているというのがハッキリしてくる。
 また高山植物が咲いてくる。ゴゼンタチバナ、マイズルソウ、カラマツソウなどの樹林帯に生える小さくて可憐な花が雨でみずみずしい。
   長塀山三角点

 また樹林を抜けるとシナノキンバイ、ミヤマキンポウゲなどのお花畑が点在してくる。
清楚な花が多い高山植物に会えるのもアルプスの山歩きの楽しみだ。
 40分で妖精池にくると池の周りがお花畑となっている。緑のキャンバスにシナノキンバイ、ミヤマキンポウゲの黄色、ハクサンイチゲの白色の群落があり、ハクサンチドリの紫色が点在する。
 ガスがかかり池の名前にふさわしい幻想的な雰囲気だ。

   妖精池

 森林限界を越え稜線上に出るとハイマツが出てくる。まだ雪渓が残っている。今年は残雪が多いということだから例年であればないだろう。
 ハイマツの中にはハクサンシャクナゲやキバナシャクナゲが見える。雪渓の上を歩き、ハイマツの中の登山路を登ると池から20分強で蝶ヶ岳の標柱が見えてくる。ガスで視界が効かない。
   稜線近い雪渓

  ここでどうも道を間違えたと思う。地図では稜線上に出てすぐ蝶ヶ岳ヒュッテがあってそれから30分で頂上になるはずである。
 ガスの中、見落としたのか、道を戻ることにする。こんな分かりやすい道でヒュッテを見落としたなんて、ガスで視界が効かない中、へたをすると遭難しかねない。

 10分ばかり降ったところでこどもを引率したグループに会う。蝶ヶ岳ヒュッテはなかったかと尋ねる。そうするとヒュッテはまだでこの先とのこと。何がなんだか分からなくなる。その人はここは初めてでない様子なので後を付いて行くことにする。

 また先程の蝶ヶ岳の標柱の所に来る。するとどうだろう、その50m先にレンガ色の蝶ヶ岳ヒュッテが見えるではないか。あ然とする。先程はガスで見えなかったようだ。
 ヒュッテに入って、地図を見てみてもヒュッテの先に頂上がある。相棒も自分の地図で確認する。
 しかしその地図ではヒュッテ辺りが頂上となっている。また私の地図での頂上は、蝶槍となっている。これで分かった。私の地図は10年以上前のものなので頂上の位置が変わっていたのである。

   迷いの元凶

 250人収容のヒュッテは満員で雨で濡れたカッパを乾かすためパブリックスペースも乾燥室がわりにされて足の踏み場もない。
 中高年登山者が9割以上で平均年齢も自分の年よりも高そうである。
 食事は3交替で、この日、メインはうなぎの蒲焼。これには驚いた。
 夜は2段ベッドに1畳2人で床に付く。夜中、強い風と雨が続いた。
    蝶ヶ岳ヒュッテ  

  7月29日(土) 蝶ヶ岳ヒュッテ〜蝶ヶ岳〜蝶槍〜常念岳〜常念小屋

 翌朝も雨が残り、朝食の後、天候の回復を待って停滞する。8時過ぎに雨もあがる。
しかし、雲が覆い、晴れれば穂高〜槍の大パノラマがすぐ左手に展開するのだが、ガスの切れ間に涸沢カールや屏風岩、槍沢の登山ルートが垣間見れるだけである。30分外で待ったがガスは切れなかった。

   (拡大写真)

 

 蝶ヶ岳ヒュッテ前からの穂高方面の眺め

 すぐの所に頂上の方位盤がある。
   蝶ヶ岳頂上

 これから30分は蝶槍まで平坦な稜線歩きである。晴れているのだがガスがかかり展望が効かない。
 横尾山荘への分岐を過ぎ、少し登った所が旧蝶ヶ岳頂上でガスの切れ間から蝶槍が望めた。

  (拡大写真)

  (穂高方面)

  旧 蝶ヶ岳頂上からの蝶槍  

  (コバイケソウと蝶槍)

 蝶槍をトラバースして常念に向かう。森林限界内に戻り、樹林帯の中の2時間のコースを休憩をはさみながら、3回ダウン、アップを繰り返す。山の斜面にはニッコウキスゲ、モミジカラマツ、コバイケソウ、タカネグンナイフウロなどの花が見られる。

  (お花畑を行く登山者)

   常念岳への縦走路からの蝶槍

 最後の下りを終え、常念岳に向けて登る。岩稜の道を1時間で頂上に着く。

   (拡大写真)

   常念岳への最後の上り

  頂上は大きな岩が重なり、狭い。小さな社と方位盤がある。
少し待ったが、ガスで穂高〜槍は全然見えない。登ってきた稜線がガスの切れ間に見えるだけである。
 常念乗越の常念小屋へ下る。

   (登ってきた稜線)

   常念岳頂上

 小屋は土曜日とあって部屋だけでは足りず、パブリックスペースも布団が敷かれた。翌日が晴れて穂高〜槍のパノラマを見れることを期待して就寝する。
   常念岳小屋  
   

    (高山植物)  


  7月30日(日) 常念小屋〜常念岳〜一ノ沢

  

 朝早く出て常念岳にもう一度登ろうと、先着順の5時からの朝食を早く済ませるため、翌朝は4時から一番乗りで並ぶ。食堂に入り、外を眺めるとガスで覆われている。小屋の天気アナンスは今日は快晴でガスもやがて上がると言っている。
 食事を済ませ、身支度をして外に出る。ガスは晴れてない。常念岳にまた登っても無駄足になるかもしれないと思うと少し躊躇する。しかしここまで来て、穂高〜槍のパノラマを全然見ずに降るのもくやしいので最後のチャンスにかけてみることとする。5時45分、ガスの中、頂上に向けて昨日、降ったガラ場の道を登っていく。気温は18℃で風も強く、吹き飛ばされそうになる。
 風の強い所では気温は15℃になり寒い。

 10分ほど登った辺りからガスが切れ始める。だんだんと視界が開け、朝日のまばゆい中、槍ヶ岳が姿を現わす。待ちに待った感動的な瞬間だ。

  (拡大写真)             

   ガスが切れてきた

 快晴の青空を背景に北穂高岳から槍ヶ岳の岩稜が展開する。
 美しい。また北西には鷲羽岳、野口五郎岳、大天井岳の右手には特徴のある鹿島槍ヶ岳の双耳峰も見える。

   (拡大写真)

 

 

   槍ヶ岳の眺め 

 槍ヶ岳(大キレット〜南岳〜槍ヶ岳)

   (拡大写真)

  頂上に着くと前穂高岳から奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳、大キレット、南岳、槍ヶ岳への大パノラマが展開する。これが山歩きの醍醐味で、ゴージャスな至福の時間である。
夜行バスで眠られず、また小屋でもほとんど眠られないなか、しんどい思いをして登ってきたことが報われる時である。

 

 

   常念岳頂上からの眺め 1

  

 穂高連峰 (前穂高〜奥穂高〜涸沢〜北穂高)

   (拡大写真)

 せっかくの眺望なので強風で寒い中、我慢をして20分楽しむ。だんだん雲が出てきて、前穂高は雲が切れない。

   常念岳頂上からの眺め 2

  降りはじめてから少しでガスがかかり、視界が効かなくなる。1時間ばかりのパノラマ上演だった。
 この時間帯に居合わせなかった者は見られない。今日のこの後の上演はどうだったか知る由もないが、昨日の様子からするとこれが最期であったかもしれない。山では少しの時間の差で違いが出る。
 小屋まで戻ると槍ヶ岳の稜線上には雲がかかり、時たま槍の穂先が見える。

  (拡大写真)

   常念小屋前からの眺め 

 常念乗越から一ノ沢を降る。上部の沢には雪渓が残っている。その辺りは花も多く、水場もある。
 1ヶ所 30mくらい切り立った沢の側を通る難所があるが、道はだんだんと緩やかになる。
 少ない経験のなかでアルプスでは他にこれほど楽な登降路を知らない。
  一ノ沢の下り  
 今日の昼食は安曇野でグルメをしようと思い、体調が良いので飛ばして2時間余りで林道終点に着く。
 予約のタクシーを繰り上げてもらう。
  一ノ沢の登山口  
    この日は燕岳登山口の 温泉 中房温泉に泊まる。


 安 曇 野 グ ル メ

 「あずみの餃子」 

インターネットで安曇野関連サイトでたまたま見つけた店でこれは旨そうな店だと勘が働いた店。  開店時間前に店の前に行ってみると県外ナンバー車の中で人がすでに待っていた。やはり有名な店らしい。
 昼の12時に開店。開店15分で10席くらいテーブルが埋まった。
 「スープ餃子鍋」(1人前 8個 800円)1人前 と「焼き餃子」(1人前 10個 500円)を頼む。今日は日曜日なのでいったん注文すると追加注文ができないという。人気店なので長居をして欲しくないらしい。奢っている。
 「スープ餃子鍋」は昆布だしでとったスープだということだ。これは旨い。
 「焼き餃子」は三ヶ月型でない四角っぽい風呂敷包みの形で金沢市の餃子の有名店「ホワイト餃子」そっくりである。しかし、皮が破れて中身が焦げていたりして雑で、味も落ちる。たれの味も良くない。しかしボリュ―ムがあるので地元でも人気があるらしい。


  Tel 0263-82-9932
  定休日 月・火  営業時間 12:00〜13:30  17:00〜20:00

 そば処「常念」  

 これも今年雑誌「サライ」のそば特集だったか立ち読みで記憶に残っていた店でインターネットの信州そばのサイトで場所を探し出した店。「あずみの餃子」の前の道をそのまま西へ500m行く。
 江戸時代の豪農の家を店にしている。安曇野の畑の中にポツンとあるような店でなかなか雰囲気のある店である。
 いつも食べている出雲そばと違い、色白のしなやかなそばである。味は素朴な味わいの出雲そばと比べ、淡白で上品な味?。そばには詳しくないので・・・
ここもすでに午後の1時半を回っているのに客が絶えず、地元でも人気店らしい。


  Tel 0263-82-4113
  定休日 火  営業時間 11:00〜14:00  17:00〜19:30

   

  7月31日(月) After Climbing

    「堀 辰雄 文学記念館

  軽井沢町信濃追分にある。

    

  庭からは浅間山が見える。
   堀 辰雄 文学記念館  
 温泉 「あぐりの湯こもろ」 小諸市

 昨年オープンした温泉。山の中腹にあるので露天風呂から眺める広々とした小諸の丘陵の背後に広がる浅間連山のパノラマには感動する。これほでの広々とした展望の楽しめる露天風呂も他にあまりないのではないか。


  休館日  第2・第4火  営業時間 10:00〜19:00 入浴料 500円

「くるまやラーメン」塩尻店  

 東京のラーメンチェーンで昔、北陸を旅行した時にたまたま金沢の近くの店に入って「ねぎみそラーメン」を食べて感動したことがあった。
 長野県にもチェーン店があちこちにある。やはり「ねぎみそラーメン」が絶品で今回、1年ぶりの味の再会に、夕食と昼食に2食を食した。辛味で和えた白ネギがトッピングしてあり、ニンニクとごま油の効いたみそ味のスープと絶妙なマッチングをしている。関西以西に店がないのが残念である。


  塩尻市大字広丘野村1526−1
  Tel 0263-54-1051
  定休日 なし   営業時間 11:00〜23:00   「ねぎみそラーメン」 700円