本--今月の一冊(3)
最終変更日(1996年6月5日)
このページでは,私がここ最近読んだ本についてのコメントを載せています.今月の一冊と題しながら,更新は1ケ月に1回というわけではなく,気の向いた時(コメントを書きたい本を読んだ時)に随時更新していく予定です.したがって,1ケ月の間に複数の本の紹介をすることもあると思います.
ジャンルは,小説,エッセイ,実用書,マンガ,ノンフィクション等,一切ゴチャマゼの中から選択していきます.なるべく新刊についてコメントを載せるように心がけますが,私の読書速度からすると,発行から数ヵ月おくれにはなってしまうでしょう.
「すべてがFになる」
- ジャンル:フィクション/ミステリー
- 出版社:株式会社 講談社
- 出版形態:新書 (講談社ノベルス)
- 著者:森博嗣
- 定価:880円(1996年4月5日発行の第1刷)
- コメント:背表紙に「本格の精髄」とある,本格ミステリー.裏表紙のコメントで法月氏が「本格の精髄」と,綾辻氏が「傑作パズラー」と絶賛しています.
たしかに,度肝をぬく死体登場シーンや,事件を解決していく状況など,いい意味でも悪い意味でも本格ミステリーだと思います.
しかし,これだけでは「ただの」本格ミステリーですが,そこをあえて私がここで紹介する理由は,本格ミステリーとしての面白さからではなくて,むしろ綾辻氏が「冷ややかな知性」と評した文章のためです.たとえば
英文タイトルの"THE PERFECT INSIDER"
あるいは,
「先生……,現実って何でしょう?」(中略)
「現実とは何か,と考える瞬間にだけ人間の思考に現われる幻想だ」(中略)「普段はそんなものは存在しない」
などというセリフと,そのセリフがサマになる文体,雰囲気がとても気に入ってます(こういったことをもって綾辻氏が「冷ややかな知性」としたと思っているのは,私だけかもしれませんが).作者は新人だそうですが,これからも期待できそうです.
(1996.6.5)
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柴田光信/Mitsunobu Shibata/ shibata@enjoy.ne.jp/