旅行記(4)

99年12月10日〜12月11日とまた九州に行ってきました.その旅行記です.


今回は青春18きっぷでの旅行です.
今回の目的地は湯前.温泉地であるのは承知していますが,日帰りの旅行.現地滞在時間はごくわずか.湯前町のまんが美術館の訪問が目的です.

予定

さて,計画は

大野浦23:24--岩国23:42 23:45--博多5:42 6:00 --大牟田731 7:40--八代9:24 9:37--人吉10:54 11:21--湯前12:05 12:30--人吉13:15 13:20--八代14:33 14:40--熊本15:17 15:20--玉名15:40 15:44--荒尾16:01 16:21--門司19:06 19:07--下関 19:13 19:44--小郡20:50 20:51--岩国22:45 22:53--大野浦23:07
(熊本--玉名間は有明38号に乗車)

である.岩国-博多間は新幹線のトンネル点検のために運行される,臨時の夜行快速列車である.ほぼ丸1日(24時間)フルの行程ではあるが,目的地である湯前の滞在時間がわずか25分.それ以外の約23時間はほとんど列車に乗っているか,そのための待ち時間という過酷な,バカバカしいスケジュールではある.


大野浦--岩国

新幹線のトンネル点検のため,12月15日まで,おおむね22時以降の広島--博多間の新幹線の運休がなされている.これに伴い,運休を補うために在来線に臨時の快速列車を運行している.新幹線代替とはいえ快速は快速.青春18きっぷで乗れないわけではない.本来の臨時快速の設定目的とはずれるが,利用させてもらうこととした.

23:24の時点ではすでに大野浦駅は駅員はいない.自動券売機で柳井(この臨時列車で最初に0:00を越えて停車する駅)までのきっぷを買い,23:24発の電車に乗り込む.忘年会シーズンのためか,金曜日の夜のためか,この時間帯にしてはたくさんの人が乗っている.


岩国--下関

岩国で降り,いよいよ臨時の快速列車に乗り換える.ついた列車は,客車の3両編成だった.「ふるさとライナー山陽」とおなじ列車だろう.いちおうリクライニングシートだ.

乗車率は50%ぐらいか.2人がけのシートにだいたい一人ずつ座っている.荷物棚には毛布が備えつけてあるようだ.空いていた2人がけのシートのひとつを占領し,座る.思っていた以上に長距離客が多そうだ.大きな鞄をもった人が結構いる.

岩国を出てしばらくすると,車掌が検札にきた.柳井までのきっぷと日付が未記入の18きっぷを見せて,日付の記入を請う.車掌も心得ているのか,すでに日付のかわった印を用意していた.思ったとおり,長距離客の多くは18きっぷユーザーのようである.私の他にも幾人かが(というより,私の見る限り客の過半数以上が)日付の記入を求めている.

0:14 柳井に停車.以外なほど降車客がいる.このあたりまで広島の通勤圏なのかもしれない.柳井を出てしばらくすると,中年のオジサンが車掌に対し,灯の減光を頼む.しかし,この列車はある意味普通の夜行列車ではない.このあと光,下松,徳山....と20分ぐらいの間隔で停車する予定になっている.「減光はしない」と車掌がいったようで,中年のオジサンが不服そうに車掌の顔をにらんだが,あきらめて寝ることにしたようである. 

光,下松,徳山と予定どおりに通過.夜間なのに以外と頻繁に停車する.うとうとしているうちに,2:28下関に着く.


下関--博多

この列車は下関に4:10まで停車する.1時間半強の待ち時間がある.さっそくコンビニに夜食でも買いに行こうと,改札を出ようとする.そこで駅員に呼び止められる.
「降りられるのですか?どちら側に出ます?」
「右のほうに出ます.途中下車で,また戻ります.コンビニに買い物に行くんです.」
と,改札を出て,歩きだすと,駅員がいっしょに郵便局側の出口に向かう.
「駅の入り口を閉めているんですか?」
「ええ,そうです.」
「すみません」頭を下げる.
駅入り口を開けてもらう.よく見ると駅の入り口には「深夜0時〜4時まで入り口を閉める」という意の文字がある.
「郵便局のところを入ったに店があります.一旦閉めて,15分後にまた開けにきます.」
「すみません.ご迷惑をかけて」再び頭を下げて,ローソンへ向かう.

ローソンで雑誌とエビの押寿司,ミネラルウォーターを買って,再び駅に戻る.入り口を開けにきた駅員に再び礼を言い,列車に戻る.下関駅は岡山駅などと違い,夜間は駅を閉鎖することは,今後覚えておこう.そういえば,上りふるさとライナー九州に乗りにきた時はいつも0時前だったから駅が閉鎖されてなかったのだ.

4:10少し前,列車の中にいた人の幾人かが下車しはじめる.4:00まで駅が閉ざされるのを知っていたようである.車内では特段アナウンスなどはなかったが,車内の検札時に車掌は言ったのだろうか.

4:10列車は下関を出発し,トンネルを抜けて門司へ.門司で再び停車するが,こちらでは客扱いはしない.機関車を交換したのか,ドンという音がして,しばらくして発車する.

小倉停車後,5:42定刻どおりに博多着


博多--大牟田

臨時の夜行快速から博多で荒尾行に乗り換える.トイレに行って,自動販売機でコーヒーを買い,列車を待つ.やってきた列車は各駅停車の列車だが,方向の転換できるシートだ.だが,あの赤地に黒の豹柄のシートではない.

6:00定時に博多発.本を読みながらいると,前のシートから広島弁のような話声が聞こえる.チラリと覗き込むと,広島発の臨時快速で,私の前のシートに座っていた人のようだ.学生たちのようである.どこに行くのかと思っていたところ,どうも特に行き先も考えていなかったようである.日帰りでいけるところまで,帰れなくなったらそのときなんとかすればいいみたいなことを言っている.とりあえずの目標は鹿児島に絞ったらしい.18きっぷのみでの日帰りは確実に無理だろうけど.


大牟田--八代--人吉

7:31大牟田着.ここで八代行きに乗り換える.降りると,すでに八代行きがホームで待っている.ロングシート車だが2両編成.う〜む.土曜日でなければ通勤時間帯なはずなのだが,それでも2両編成か...ローカル線ならいざしらず,幹線の,しかも都市近郊の列車なのに..しかもワンマンらしい.

熊本は九州第3の都市だったはずだと絶句しつつ,KIOSKで朝刊を買って列車に乗り込む.トイレはあるようだ.

例の学生たちも乗り込んだようだ.

定刻どおりに列車は発車.うとうとしてる間に列車は9:24八代に着く.

八代で鹿児島本線から離れ肥薩線に乗り換える.見渡すと例の学生たちの姿は見えない.目的を熊本に変更したのか.

八代で10数分の待ち合わせ.KIOSKを覗くとなぜかサザエさんのお菓子がある.そのお菓子の表書きによれば,サザエさんの先祖は九州出身なんだそうだ.

KIOSKで雑誌を買い込み,すでに入線している人吉行の列車に乗る.2両編成の列車だ.9:37定刻どおりに発車する.

球磨川沿いに列車は向かう.定刻どおりに人吉に着く.


人吉--湯前

人吉で25分ほどの待ち時間.用を足しにトイレに行く.そして,ここで昼食を買っておくことにする.湯前駅前にはコンビニ等がないはずだ.

KIOSKで「あゆ寿司」と500ml入ミネラルウォーターを買って,くま川鉄道にホームへ向かう.トイレ左の跨線橋を越えるとそこがくま川鉄道のホームらしい.らしいのだが,改札らしいものはない.それどころか,券売機もない(駅構内にあったのを見落としたのかもしれない).ホームにいくと,ホーム上に事務室があり,そこできっぷを売っている.懐かしい硬券のきっぷだ.

1両のワンマンカーに乗って,さっそく「あゆ寿司」を開く.頭のついたままのアユが入っている.小骨が多いのが少しうっとおしいが,それなりにうまい.

11:21 予定どおりに列車は出発.人吉の市街地をぬけて列車は山間部に向かう.

うとうとしているうちに目的地湯前に到着.ここは一応有人駅だ.とはいえ,改札口できっぷを受け取るのは正規の駅員らしくなく,地元の婦人会のオバサンみたいだ.きっと業務を委託しているに違いない.

この湯前が終点で,そこから先には線路はない.線路の先には右の写真のようなアーチのようなオブジェがある.(右の写真は逆側から駅方向を見たもの)

しかし,どういう意味のオブジェなのか考えている暇は,残念ながらない.滞在時間はわずか25分.この間に湯前まんが美術館によっていかねばならない.幸いこの美術館は駅から徒歩数分のところにあり,展示室も2つしかない小さい美術館である.

 

急いで美術館にゆき,あわてて展示作品を見る.ふたたび急いで駅に戻り,窓口できっぷを買う.改札口できっぷを受け取ったオバサンが発券してくれる.硬券のきっぷだ.

 

 


湯前--人吉--八代--熊本

乗ってきた列車の折り返しの便に乗る.時計を見ると12:25.余裕で間に合ってしまった.ボックス席を占領して,人吉に戻る.

人吉では5分の乗り継ぎ.着いた時点ですでに八代ゆきの列車が待っている.すかさず乗り込み八代へ向かう.

八代でも7分の乗り継ぎ.八代始発の列車なので,これもまた到着した時点でホームに入線している.すかさず乗り込む.

15:17 定刻に熊本駅に着.ここでもあわただしく,3分の乗り継ぎで有明38号に乗る.熊本始発の特急はすでに入線している.陸橋を渡って乗り継ぎ,自由席に飛び乗る.飛び乗って席を見つけたところで列車が発車する.


熊本--鳥栖--門司

上熊本を過ぎたところで車掌が検札にくる.18きっぷを見せ,玉名までの乗車券と特急券を買おうとすると,上熊本からかと問う.上熊本からなら安いのかもしれないが,正直に熊本から乗車したことを言い,乗車券と特急券を購入する.

わずか20分の乗車とはいえ,やはり特急利用は楽だ.15:40 予定どおりに有明38号は玉名に着.降りたホームで銀水ゆきの普通を待つことにする.

4分の接続で銀水ゆきに乗る.荒尾で降り,荒尾始発の快速「三井グリーンランド号」に乗ることとなる.ここでは20分の待ち時間がある.一旦改札の外へ出てKIOSKでジュースを買う.そこでふと見ると,荒尾の風景を描いたTシャツを売っている.おもしろそうだと思いつつも,購入はせずに,すでに入線している三井グリーンランド号に乗る.

16:21 定刻どおりに発車.同じ車両に親子づれが乗っている.この親子,前に乗ってきた銀水ゆきの列車にも乗っていたはずだ.このままどこへ帰るのだろうか.

そんなことを思ううちに,16:58 列車は鳥栖に到着.この列車,鳥栖で車両を増結するため,13分停車する.やや時間が早いが,あとの乗り継ぎ時間上,夕食を調達するのは鳥栖か博多しかない.さっそく降りて,焼売弁当を購入する.混雑しないうちにと早速ひろげて食べることとした.人気駅弁らしく,やはりうまい.

ハラがいっぱいになったところでうとうとしているうちに博多を過ぎ,いつのまにか香椎に.本をひろげて読んでいるうちに19:06 門司に着く.


門司--下関--小郡--岩国--大野浦

門司で,ホーム対面で待っている接続列車に飛び乗る.あいかわらず門司--下関間は混雑する.下関で接続の宇部新川ゆきを見送り,次の小郡ゆきに乗る.さすがにここまでくると疲れてきた.周囲の観察もする気力もなく,ボーっとして本を眺める.本を読んでいるうちに着き,小郡で対面で待つ岩国ゆきに乗る.

岩国ゆきは2両編成.すぐ対面で待っているものと思っていたら,すこし移動しなかればならない.あわてて飛び乗った.

22:45 岩国に到着.ホームを移動し,6番ホームの上り最終に乗る.乗り込むと,幾人かの外国人が乗っている.しゃべっているのはUS Englishのようだ.岩国の米軍基地の兵士に違いない.ビール片手に大声で歌っている.周囲の迷惑かえりみずだ.あげくの果てには列車のドアから立ち小便をする奴もいる.米軍基地とは無関係な人にはわからないだろうが,彼等は軍隊という組織の中で抑圧されたモノを,日本という異国であることをいいことに(その立場を意識的に利用してかどうかは定かではないが),(日本的には)非常識に発散させているのである.

やかましいと思いつつも,乗車は短時間だからと思いつつ,22:53に岩国を出て,定刻(23:07)大野浦に着く.

さすがに23:24発で翌日23:07着,実際の乗車時間1146分(下関駅での待ち時間102分を除いて計算)というのはキツかった,.もう歳なのは了解しているが...

 


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柴田光信/Mitsunobu Shibata/ shibata@enjoy.ne.jp/(shibata@enjoy.ne.jp)