屋内塵中のダニについてのトピック

タカラダニについて

今年（99年）の5月もタカラダニについての問い合わせが多いようです．
私のところにもタカラダニと思われるものがすでに10件近い問い合わせがきています．
そこで，ここではタカラダニについて解説してみたいと思います．

形態
ダニというのは一般に，卵，幼虫，若虫，成虫の４期があり，幼虫，若虫，成虫の形態はよく似ているのが通例なのですが，この種類のダニは幼虫と成虫では形態的に大きな差があります．幼虫は卵型で，0.5mm前後の大きさで，成虫は1〜1.5mmになり朱赤色です．胴体及び脚には多数の毛が密生しています．

生態
タカラダニ類は幼虫時代と若虫・成虫時代で生活型が大きく異なります．幼虫時にはほとんどが昆虫などに寄生しています．しかし，若虫・成虫時代には昆虫などから離れ，独立して生活しています．5月〜7月ごろよく成虫がコンクリート壁上を這い回ることがありますが，その原因は実のところよくわかっていないのです．

実害
タカラダニ類は人を刺すことはほとんどありません．どちらかいうと，赤くて小さな虫がウロウロしていて気味が悪いという，不快感のほうが問題のようです．

駆除
どこで発生して，なぜ，コンクリート壁上を這い回ったりするのかよくわかっていないので，抜本的な対策はとれないのが現状です．成虫はコケやカビの胞子や雑草の花粉なども食べており，交尾，産卵のために這い回るのではないかという説もあります．（参考文献(1)，参考文献(2)）

この種類のダニにもダニ用のエアゾールを直接噴霧すると死ぬことがわかっています．したがって，対象療法的になってしまいますが，ダニにこういったダニ用のエアゾールをかける，あるいはいつも這い回って困るような場所にダニ用のエアゾールをあらかじめ塗っておく等によって当面の駆除が可能なようです．（もっとも雨が降ったら終わりですが）
（望ましくは，有機リン系の殺虫剤の乳剤（園芸店で褐色のビンで売っている，スミチオン乳剤など）を撒くのがよいのですが．）

柴田光信/Mitsunobu Shibata/ shibata@enjoy.ne.jp/