大地の子を支えたもの

2001.6.27「中国に魅せられて」掲示板投稿。(投稿者:許してくれよんシンちゃん)

昨日,『大地の子』の制作を担当した河村正一氏(NHK放送研修センター事業本部部長)の表題の講演を聞きに行った。その中から興味深かった話を2〜3紹介しよう。
@このドラマ,制作から6年になるが未だに中国では放映されていない。原因は,文革の扱い方,貧困のシーン,政治の描写だろうということだ。
A中国側との交渉で脚本が4回くらいダメになったとき,原作者の山崎豊子さんが,「そんなに内容が変わるのなら,もう,ドラマを作らなくてもいい」と言い出したとき,考証の竹内実さんが,「原作とドラマの乖離はあとで学者が埋めるからとにかくドラマを作らせてあげなさい」と説得してくれたことでなんとか進み出したこと。
B上川隆也の天才的なせりふを覚える能力には日中双方のスタッフが感心したこと。彼は中国語が全然しゃべれないので丸暗記していたのだが,中国側スタッフは最初,彼は中国語がしゃべれるものと思い込んでいたそうだ。
C陸一心の妹の死ぬシーンの撮影許可がなかなか下りなかったこと。貧しい農村のシーンはダメということで,廃村で撮影しようとしたが,家の持ち主が縁起が悪いと言って許可しなかった。御払いをしてようやくOKがでたそうだ。
河村氏は,その,妹の死ぬシーンを見るといつも涙を流すそうだ。日本に帰れなかった人たちが演技の後押しをしてくれた気がして,本当に感動的なシーンが撮れたということだ。 そして,この共同制作で得たものは,中国側スタッフとお互いに理解しようとする柔らかい心「柔心」が大切ということらしい。 「大地の子」のビデオをもう一度見たくなったが,これを見出すと時間をとられ,他の映画のビデオが見れなくなるし,困るんだよなあ〜。