2月例会のようす

 場所   しまね国際センター(くにびきメッセ2階)
 日時   2月26日(土)1時半から
 参加者  15人(例会としては最高記録でしょうか?)

 在日韓国朝鮮人問題について(学習)

 今回は、在日朝鮮人の金相逢(キンサンボン)さんをお招きして、お話を聞きました。
 金さんは在日本朝鮮人総連合会島根県本部常任委員会委員長をつとめておられます。
 たくさん話された内容のすべてを紹介することはできませんので、とくに印象に残った
部分を書いておきます。

・在日韓国朝鮮人が他の在日外国人とおおきくちがう点は、観光や留学、就職などを目的
として自分の意思で日本にやってきたのではなく、日本の植民地支配のために本国で生活
できなくなってしかたなく日本にやってきたり、強制的に連れてこられた(強制連行)人
たちとその子孫であるということである(一部の中国系・台湾系の人々も同じ)。だから
日本政府には在日韓国朝鮮人の権利を保障しなければならない道義的責任があるはずだ。
・同和問題は現在法的、制度的に差別があるわけではないが、心理的、社会的な差別が残
っており、その解決のために国をあげてのとりくみが行われている。一方、在日韓国朝鮮
人問題は現在も法的、制度的な差別が実際にあり、その上に心理的、社会的な差別も続い
ている。同和問題の解決のために政府が努力するのは当然のことだが、同じように在日韓
国朝鮮人問題の解決にも努力するべきではないか。
・自分たちは決して特権を要求しているわけではなく、国際法と国際慣習によって公認さ
れている権利を求めているだけだ。
・日本政府は大韓民国(韓国)は国籍として認めているが、朝鮮民主主義人民共和国(北
朝鮮)は国籍として認めておらず、外国人登録証の「朝鮮」は単なる符号とされている。
そのため朝鮮民主主義人民共和国国籍の人々はさまざまな不利益を受けている。また外国
人登録証の国名を「朝鮮」から「韓国」へ変更することはすぐにできるのに、その逆はで
きなくなっており、国籍選択の自由が保障されていない。
・外国人登録法は治安立法的性格を持っており、常に外国人登録証を携帯することが義務
づけられている。そのため以前にはちょっとしたことでも登録証不携帯として警察ざたに
なることがあった。
・民族教育をするための朝鮮学校が各地にあるが、日本政府から学校として認められてお
らず、大学入学資格なども一部の私立大学をのぞいて認められていない。財政的な支援も
一部の自治体をのぞいておこなわれていない。
・国民年金法は1982年から国籍条項がなくなり、国民年金に加入できるようになった
が、それまで加入していなかったために高齢者には年金がなく、救済措置もない。一部の
市町村である程度の補助があるだけだ(島根県内の14市町村で月1〜2万円、鳥取県内
の16市町村で月2〜3万円)。しかし小笠原、沖縄などが日本に返還された時や中国残
留孤児には救済措置があり、それまで加入していた人々と同じように年金を受け取ってい
る。これはあきらかな差別政策だ。
・日常生活でも就職、アパートなどへの入居、ゴルフ会員券の購入など、さまざまな面で
差別がある。
・現在、「定住外国人の地方参政権」が法律で認められようとしているが、自分たちは反
対である。その理由は(1)現在の法案では韓国籍の人には参政権が認められるが、朝鮮
籍の人には認められない(2)おなじく現在の法案では、選挙で投票する権利(選挙権)
は認められるが、立候補する権利(被選挙権)は認められない(3)日本人どうしの選挙
をめぐる対立にまきこまれて新たな差別を生み出すおそれがある(4)そもそも日本の政
治は日本人が決めるべきことで、外国人が参加するべきではない(内政不干渉)。

 この話に対して、他の参加者からの意見や質問もいろいろ出ましたが、特に最後の「定
住外国人の地方参政権には反対」という話には、「参政権こそ基本的人権のひとつではな
いか」「外国人であっても日本の政治によっておおきな利害を受けるのだから、その政治
に参加するのは当然ではないか」「内政不干渉は絶対的な原則とはいえない」などの疑問
や意見があいつぎました。
 在日韓国朝鮮人問題には日本と韓国、北朝鮮両国との歴史的関係とともに、韓国と北朝
鮮との対立が複雑にからみあっているようです。今後も、さらにいろいろな立場の人の話
を聞いて、学習を深めていきたいと思いました。
 また冤罪被害者の免田栄さんの話を聞いた時に「死刑囚として刑務所に入っていた間年
金の保険料をはらっていなかったために、年金をうけとることができない、裁判で訴えた
けれども認められなかった」という話がありました。同じような不合理が在日韓国朝鮮人
の場合にもあるようです。

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