4月例会のようす
2000年4月2日(土)しまね国際センター
参加者 5人

 アムネスティインターナショナル日本支部 2000年度総会のようす
1 期日 2000年4月15日(土)16日(日)
2 場所 大阪・ドーンセンター
  今年はアムネスティ日本支部創立30周年。はじめて東京を離れて地方で総会がおこ
 なわれました。
3 参加者 150人くらい。松江グループからは2名が参加。
4 内容
<1999年度の活動報告>→可決(松江グループも賛成)
○会計報告
 1999年度もかなりの危機的な状況だったけれども、匿名の会員から3000万円!
の寄付があり、赤字にならずにすんだ、ということです。この3000万円は、これから
5年間毎年400万円ずつ一般会計にくみいれ、1000万円は特別会計の基金にする、
ということでした。
 アムネスティには、特定の個人や団体から年間予算の5%以上の寄付を受けない、とい
う「5%条項」があるのですが、去年のトロイア会議で、国際執行委員会と協議して承認
された場合には25%までOKということになったそうです。
○会員数の減少
 この数年会員は減りつづけており、この一年間で7つのグループが閉鎖になったという
ことです。しかしネパールやアフリカ諸国、そして隣の韓国などでは会員はどんどん増え
ている、ということでした。
○トロイア行動計画
 報告の中で1999年8月にポルトガルのトロイアでひらかれたアムネスティインター
ナショナル国際評議員会議の報告がありました。例によって専門用語が多くて理解しにく
い内容でした。「ファンドレイジング」という言葉がわからないので質問したら、「資金
づくり」という意味だということでした。
 このトロイアで決まった「トロイア行動計画」は、最近のルワンダ、旧ユーゴ、東チモ
ールなどの大規模な人権侵害にうまく対応できなかった、という反省があって、アムネス
ティの活動対象を、今までよりもかなり拡大するものだ、ということです。その拡大の具
体的な内容の中には、例えば国際的な援助や企業活動が発展途上国の人々の人権にどんな
影響を与えるか調査する、といったこともふくまれています。
<法人化決議案>
 これが大モメにモメました。1日目の3時半から6時半までの話では決着がつかず、2
日目の最初にも1時間ほど話し合いました。1日目の夜の「オプショナルミーティン
グ」でも法人化問題の会に出たので、聞いた話を総合して紹介します。
○今までの経緯
 日本支部では非常に長いあいだかけて「法人化」の運動をしてきました。そして外務省
と法務省の間をたらいまわしにされた末に、ようやく今年、外務省と法務省の両方の管轄
のもとで、民法上の社団法人として認可される見通しがでてきました。
 最初は今回の総会を法人としての設立総会にする予定でしたが、準備が間に合わなかっ
たので、設立総会はまた別に開くことになります(今年9月ごろ?)
○社団法人化へのさまざまな疑問とそれに対する反論
・「政府に公益性を認めてもらう」社団法人よりも、政府の価値判断にしばられず、干渉
を受けるおそれもすくないNPO法人の方がいいじゃないか。
→かんたんになれるNPO法人ではなく、政府に公益性をみとめさせる社団法人だからこ
そ意味がある。いままでにわれわれのような団体を公益法人として政府が認可したことは
ない。外務省の基本姿勢は「人権は国内問題であり外交問題ではない」というものだ。し
かしアムネスティに公益性を認めるということは、人権に公益性があると外務省が認めた
ことになる。だからこそ外務省はなかなか社団法人として認可したがらなかったのだ。こ
こでNPO法人の方にしてしまったら外務省は大喜びするだろう。
・社団法人になっても税制上の利益はほとんどなく、さらに大蔵省から「公益増進法人」
と認めてもらわないと寄附金などが免税にならない。しかし「公益増進法人」と認められ
ることは非常にむずかしいので、社団法人になるだけでは意味がない。
→次のステップとして「公益増進法人」の認可をめざす。
・法律上、役所は管轄する社団法人に対していろいろ干渉する権限があるし、名簿を提出
しなければならないなど、活動情報を知られる不利益もある。そうした情報を公安調査庁
などに利用される可能性もある。
→法律上は干渉できることになっているが、実際にはよほどとんでもないことがないかぎ
り干渉されることはない。法人化によって変わるのは政府側であって、こちらではない。
名簿は各グループ1名でよいし、どうしても個人名を出したくないグループは他の者が名
前を貸す。そもそも個人名で手紙かきをしているアムネスティ会員が名前を知られること
を恐れることはないだろう。公安調査庁の調査自体が違法なもので、それに対してはとこ
とん闘うべきだ。人権団体が自分たちの人権を守れなくてどうする。
・政府のお墨付きをもらおうという考え自体が権威的だ。
→社団法人となることで、さらに社会的にも知名度が高まり、学校教育などの場面にも参
加しやすくなる。利用できる権威ならばどんどん利用するべきだ。
・こんな問題よりもアムネスティの本来の活動に時間と労力を使いたい。
→「本来の活動」をきちんとできるようにするために、「こんな問題」に時間と労力を使
うことが必要なのだ。
・次回の総会に決定を先のばししては。
→これまで何回となく議論してきたことで、もう一回議論したところで話は変わらないだ
ろう。議員連盟を動かし、法務省、外務省とも交渉を煮詰めてきているので、ここで先の
ばしすることは政治的にもマズイ。他のNGOもアムネスティの公益法人化を突破口とし
て期待している。
○結果
 採決の結果、賛成239.4票、反対37.0票、保留21.1票で、法人化案は可決
されました。(松江グループも賛成)
<活動方針議案>→可決(松江グループも賛成)
「死刑廃止の実現のためにも、犯罪被害者の問題も積極的にとりあげるべきだ」という意見を述べました。
<活動関連方針議案1「支部30周年を飛躍の契機にしよう」>→修正可決(松江グループも賛成)
 1 スローガン「未来をみんなに」
 2 アムネスティサポーターの募集
 3 チャリティ・ウォークの開催
 4 国内人権問題(死刑制度、代用監獄制度の廃止、難民認定制度の改善)への新たな
  取り組み
 原案にあったこの4つの企画に、
 5 自由権規約選択議定書等の個人通報制度促進の取り組み
 を付け加えることになりました。
 他に、
・「『未来をみんなに』ではわけがわからんから『未来への責任』とするべきだ」という
案がでましたが、「これは去年、ボランティアの13歳の少女が発案したもので、その経
緯を大切にしたい」ということで否決されました。(松江グループも反対)
・「『チャリティ・ウォーク』のチャリティという言葉には上下関係があってよくない。
どうしてウォーカソンという言葉を使わないのか」という意見がありましたが、「ウォー
カソンでは意味がわからない、という人が多い」ということで、「チャリティ・ウォーク
(ウォーカソン)」とすることになりました。
・また「アムネスティサポーターの募集」についての説明がありました。これは会員外の
人でアムネスティの活動や行事に参加する人をサポーターとして登録してもらい、活動の
案内を送ったりするようにしたい、ということです。
<活動関連方針議案2「2000年度活動計画」>→可決(松江グループも賛成)
<活動関連方針議案3「支部の活動能力を高めるため、以下の点を強化しよう・・」>
 →可決(松江グループも賛成)
<活動関連方針議案4「日本における人権状況を改善するため、司法制度改革審議会に対
し積極的に働きかける」>→可決(松江グループも賛成)
 「司法制度改革審議会の審議結果がどれだけ実際の司法制度改革に生かされるのか」と
質問しましたが、「国会の議決により設置されているので、審議結果には有効性がある」
ということでした。
<活動関連方針議案5「海外のアムネスティのグループが行っている日本人を対象とした
活動につき・・内容を情報定期便に紹介する」>→議案取り下げ
 この議案は個別の事例について日本のアムネスティが外国のグループと連絡をとりあう
ようになれば、明らかに自国条項(国内の個別の人権侵害に対しては活動しない、という
アムネスティの原則のひとつ)に反する、ということで、取り下げられました。
<組織関連方針決議案2「個人会員の会費減額措置について」>→可決(松江グループも賛成)
 「会費の分割納入」について質問しましたが、「分割納入にすると事務局が大変なので
原則としてはできない、ただ個別の事情に応じてある程度は認めている」ということでし
た。
<日の丸君が代に関する良心の自由宣言>(豊中グループ、岡山グループなど提案)
 →可決(松江グループも賛成)
<アムネスティ人権教育を推進しよう>(人権教育チームなど提案)
 →可決(松江グループも賛成)
<寛容と和解のキャンペーンを>
 岡山グループの個人が提案されました。内容は「紛争地域の指導者あてにで
はなく、一般住民の人々に寛容と和解を求める手紙を送ろう」というものです。これは現
在のところアムネスティの活動とはちがうものなので、個人的な意見として議事録に記録
しておくだけ、ということになりました。
<懇親会>
 1日目の夜の懇親会は、アムネスティ日本支部創立30周年、はじめての大阪での総会
開催ということで、関西のさまざまな人権団体の人々が招かれていました。中でも韓国の
もと良心の囚人、李哲さん、呉完鎬さんの話が印象に残りました。
<全体を通して>
・「法人化」問題に多くの時間をとられたために、他の議案についての討論の時間が少な
くて、グループの意見を全部は言うことができなくて残念でした。
・特に「もっと議案をわかりやすくするように本気で努力しろ」「国際事務局はもっとわ
かりやすい英語を使え。くわしい情報とは別に要点だけをまとめたものも送れ」という意
見はぜひ言っておきたかったのですが、そうしたことを言う時間も設定されておらず、残
念でした。また総会に参加する機会があったらぜひ言いたいと思います。

このホームページの表紙にもどる