中国で見た映画と旧満映撮影所
今回の中国旅行では、まず大連で映画をみました。映画館の看板を見ると「暗黒帝
国」(「マトリクス」のこと)「人猿泰山」(これはもちろんディズニーアニメの
「ターザン」)と、ここでもハリウッド映画の人気は高いようです。以前は外国映画
は何年かしないと中国には輸入されない、ということでしたが、現在ではそういうこ
とはなくなっているようです。CD、LD売り場には外国作品がたくさん並んでいま
す。香港でもそうでしたが、中国でもビデオよりはレーザーディスクが中心になって
いるようです。中には「8MM」もありましたが、あんな退廃倒錯性表現満載の映画
が中国の映倫を通過したとは、ちょっと驚くべきことだと思いました。
さてこの映画 館ではハリウッド映画と並んで「紅番区」という映画をやっていて、ジャッキー・
チェンの写真がついていました。この切符を20元=約260円で買い、上映が
始まると、いきなりニューヨークの風景が出てきて、これは「レッド・ブロンクス」
だとわかりました。1995年の映画ですから5年遅れということになります。香港
映画なので当然セリフは広東語だと思うのですが、字幕なしで上映していました。北
京語にふきかえられていたのでしょうか。私は広東語と北京語を聞き分けることはで
きないので、ちょっとわかりません。テレビで見る香港映画にはほとんど字幕がつい
ていました。
ハリウッドや香港の映画以外にも、中国国産の映画を上映している映画館ももちろん
あり、中華人民共和国建国50周年を記念した歴史大作の看板や、恋愛ものらしい看
板などがかかっていました。ビデオ上映館もあり、番組案内を見ると「性教育」とい
う項目もありました。
旅の後半、むかし日本が中国東北部を占領してつくった国、満州国の首都、長春(当
時の新京)に行きました。ここには満州国の皇帝となった清朝最後の皇帝でもある溥
儀の住んでいた宮殿が残っており、ベルトリッチの「ラストエンペラー」のロケにも
使われたところで、映画に出てきた玄関やホール、階段などはそのままでした。
長春には満州国時代にもと軍人の甘粕正彦(関東大震災のドサクサまぎれに社会主義
者大杉栄一家を虐殺した人、「ラストエンペラー」にも出てきた)が中心となって設
立された、満州映画協会=「満映」の撮影所があり、現在も撮影所として使われてい
ます。この撮影所は戦後も中国映画界の中心的撮影所となり、「中国映画揺籃の地」
とよばれているということです。ここは現在、京都の「映画村」みたいなかたちで一
般に公開されています(映画村よりはかなり小規模ですが)。
その中には撮影所の歴 史についての資料館もありました。1949年の中華人民共和国成立後、ここでつく
られたたくさんの映画、俳優、スタッフについて展示されているのですが、いかにも
社会主義国らしい革命ものや抗日戦争ものがほとんどで、最近の作品を見ても私が
知っている作品、人名はひとつもありませんでした。「満映」時代についての説明も
全くありませんでした。最後に外国映画についての展示もありましたが、そのほとん
どはソ連や東ヨーロッパの社会主義国の、やはり私の知らない映画ばかりで、数少な
いイギリス映画も「天堂里的笑声」「人間地獄」、ドイツ映画「墨林城保」など、原
題の想像もつかないものばかりでした。唯一の日本映画は「幕府風伝」とこれもよく
わかりません。ただアメリカ映画の中に「舞台人生」(「ライムライト」)「摩登時
代」(「モダンタイムス」)と、チャプリンの作品がありました。もうひとつ「胡蝶
夢」というのもチャプリン作品らしいのですが、これは写真からだけでは原題が何な
のかよくわかりませんでした。
旅行の最後にはテレビで日本のWOWOWが見れるけっこういいホテルに泊まりまし
た(中国の一般家庭では外国の衛星放送を見ることは禁止されているそうですが)。
さっそくスピルバーグの「ロストワールド」、ディズニーアニメの「美女と野獣」、
ジョージ・キューカーの「素晴らしき休日」と映画を見まくってしまいました。WO
WOWは危険です。もし私の家のテレビにWOWOWが入っていたら、一日中テレビ
にくぎづけになってしまいそうです。