子どもの権利条約採択10周年記念 市民・NGO大集会に行ってきました
(1998年12月)
1 “子どもの権利条約”という国際的なきまりがありまして、1989年の「国際児童年」に国連総会で採択(さいたく=きめる)されました。
2 日本政府はこの条約に1994年5月、世界に約193の国があるうちの158番目に批准(ひじゅん=「自分の国でも守ります」と宣言すること)しました。
(現在はソマリア、アメリカ合衆国以外の191カ国が批准しています)
3 “子どもの権利条約”をまもっていくために、国連の中に“子どもの権利委員会”がつくられています。“子どもの権利条約”を批准した国は、国連の“子どもの権利委員会”に対して、自分の国が“子どもの権利条約”のきまりをきちんと実行しているか、どんな問題点があるか、などを報告しなければなりません
4 国連“子どもの権利委員会”は同時にその国のふつうの市民からも情報をあつめています。とくに「民間の人たちがつくる団体(NGO=非政府組織)と政府が協力して、
その国の子どもたちのようすを報告してほしい」と言っています。
5 国連“子どもの権利委員会”はその国の政府と、市民からの報告を審査して、その国の政府に対して「もっとこういう点を改善しなさい」という勧告を出します。政府はその勧告を聞いて、5年後には「こういうふうに改善しました」とまた報告をしなければならないのです。
6 「子どもの権利をまもろう」という国際的な民間組織=NGOに、DCI(Defence
for Children International)があります。DCIでは、世界のそれぞれの国で“子どもの権利条約”がどのように実行されているかを、国連“子どもの権利委員会”に報告する活動もしています。今回の国連審査にはDCI日本支部が中心となってくわしい報告書をつくりました。また子どもたち自身による“子ども21世紀委員会”がつくられ、子どもたちの声も国連にとどけられました。
(私の授業をうけた生徒たちが書いた意見も、国連にとどけられました)
7 日本政府の最初の報告書の審査が、今年(1998年)5月にスイスのジュネーブでおこなわれました。この審査には、日本の子どもたちも参加して、自分の意見をのべました。
8 審査の結果、国連“子どもの権利委員会”は6月、日本政府に対してとてもきびしい
勧告を出しました。(その内容はDCIホームページでどうぞ)
9 DCI日本支部は、日本政府に対して国連勧告をきちんと実行するようにせまっています。その活動の一部として、今回の集会がひらかれたのです。
さて、12月6日(日)に東京・目黒でひらかれた集会の参加者は500人ほど。国連
“子どもの権利委員会”の議長をつとめたジュディス・カープさん(イスラエル出身)も
参加して、記念講演がありました。 その日の夜はカープさんをかこんで交流会があったのですが、ここでいろいろな人と話
をすることができました。
7日(月)の午前中にはDCIのメンバーが分担して、政府のいろいろな役所に行き、
「今回の国連勧告をどう実行していくつもりなのか」と聞きました。私は文部省に行きた
かったのですが、希望者が多すぎたので、総務庁に行きました。
勧告の中には「子どもの権利に関係することを、政府の各役所がバラバラにやるのでは
なくて、全体をまとめる組織が必要だ」という部分があり、「これを実行することになったら総務庁の権限を強くするかもしれない」というので、総務庁の役人の人はとても熱心に話を聞いてく
れ、「今後もみなさんと協力していきたい」と言っていました。
しかし役所によってはほとんどまともに話を聞いてもらえないような所もあったそうで
す。とくに「文部省の役人がいちばん頭がかたい」という話でした。
7日の午後は衆議院議員会館で、国会の各政党の代表と、政府の各役所の代表、そして
DCIのメンバー60人ほどと、カープさんも参加して、懇談会がひらかれました。ここ
でもいろいろな意見が、政府の代表に対して出されていましたが、国連勧告が出たからと
いって、そうかんたんにはものごとはかわらないようです(当然のことですが)。
文部省は以前“子どもの権利条約”を批准した時に、「この条約を批准しても、学校の
しくみや教育内容はいっさい変える必要はない」という通達をわざわざ出しています。今
回の国連勧告をうけて、「あの通達はひっこめるべきじゃないのか」という意見がだされ
たのですが、文部省の代表の人は「そんなことはまったく考えておりません」と言って、
参加者に大文句を言われていました。
私は中学校の社会科の教師であり、“子どもの権利条約”の内容や、国連、国会、政府
のしくみなどを授業で教えているのですが、じっさいのところは自分でもよくわかってい
ないことが多いものです。今回の体験で、そうしたよくわからなかったことがわかってき
たりして、なかなかおもしろかったです。
次回の国連審査は5年後です。5年後にはインターネットなどの発達により、国連審査
の内容ももっとかんたんに知ることができるようになるでしょう
。