2001年の旅行報告

小笠原(2001年2月)
地球の裏側のブラジルでさえ東京から飛行機で24時間で行けるのに、飛行場のない 小笠原には船で25時間かかり、「世界でいちばん遠い島」という呼び名もあるそうです。船は週に一往復で、2月だけに定員1000人に200人あまりの乗客でし た。
ここは定期船の船上からもたくさんの鯨が見れるところで、江戸時代末、日本人の定 住以前に捕鯨船の避難港となり、欧米人やハワイ人が定住します。やがて日本が領有 を宣言し、欧米系の人々も日本国籍となりますが、戦争で住民は強制的に本土に疎開 させられ、そのまま故郷を失ってしまいます。要塞化された島には現在も砲台やトー チカなどの跡が無数に残っています。アメリカ軍の上陸戦はなかったものの、空襲と 飢餓で多くの人が死んだそうです。 戦後は1969年までアメリカ軍の占領下に置かれ、欧米系の住民だけが帰還を許さ れました。子どもたちはアメリカ式の教育を受け、グアムの高校に進学したそうで す。戦前に7000人いた住民は現在父島2000人、母島400人で、1000人 以上が住んでいた硫黄島は今も基地の島で住民はいません。その現在の住民の半分以 上は新たにやってきた「新住民」で、ここは日本でいちばん新しい歴史を持つ場所な のです。 島に伝わる「民謡」は、ドイツ語、英語、ミクロネシア語などが入り混じった、ほと んど意味不明のものなのでした。
一度も大陸と陸続きになったことのない「東洋のガラパゴス」とよばれる島で、植物 のほとんどはこにしかない固有の種類だそうです。

<インドネシア(2001年12月)>
周囲からは、政治が不安定なイスラム教の国で、このテロの時期に行くのはあぶない と、さんざん文句を言われましたが、もちろん行ってみれば、実際にはまったくどう ということもないのでした。
しかし首都ジャカルタやジャワ島の古都ジョグジャカルタなどでは、ほとんど日本人 観光客は見ませんでした。白人の観光客もかなり少ないようです。それでもジャワ島 のとなりのバリ島に行くと日本人観光客がゾロゾロといて、両替所や商店でも日本語 のカタコトが通じました。それでも例年にくらべると観光客の数は半分くらいなのだ そうです。とくにやはりアメリカ人は非常に少なくなっているということでした。
インドネシアはイスラム教国の中では人口、面積ともに最大です。しかしこの地域が イスラム教化したのは15世紀ごろで、それまでは仏教やヒンズー教の勢力が強かっ たのです。その代表的なものが、有名なボロブドゥール遺跡なのですが、これがつく られたのが日本で奈良の大仏がつくられたのと同じ時代であり、レリーフの唐草模様 や仏像の表情など、奈良時代の文化と共通点があるように感じました。これはもう少 しあとの時代ですが、中国産や日本産の陶器、そして中国産の貨幣などもたくさん出 土したものが展示してありました。 このように中国やインドの文化の影響が強かった地域に、遠くアラビア起源のイスラ ム教が入ってきて、それまでの宗教地図を大きく塗り替えてしまったのは、非常に不 思議なのですが、それだけアラビア商人たちの力が強かったということなのでしょ う。
しかしインドネシアは世界最大で世界最新のイスラム教国であると同時に、世界 で一番いいかげんなイスラム教国であるようなのです。一日五回のお祈りの時間に、 モスクからお経が流れるのですが、ほとんどの人はふつうに生活していますし、スー パーではビールもワインも平気で売っていました。こうしたいいかげんさが、アラビ アのイスラム教徒たちからはバカにされることもあるのだそうです。
バリ島はイスラム教の影響を受けず、独特のヒンズー教文化の島として有名なので、 非常に観光化されています。中でも伝統芸能の村として有名なウブドというところに 泊まったのですが、ここは外国人観光客がゾロゾロと歩き、英語や日本語の看板であ ふれています。たとえばもっと日本が貧しかった時代に、飛騨の高山などが日本文化 のよく残る街として非常に有名となり、圧倒的に金持ちな外国人がわんさか押し寄せ てきて、街の主役は外国人になってしまい、看板もみんな英語になり、街の人々は外 国人相手に伝統的な踊りをみせて生活するようなる、といった感じでしょうか。現地 の人々は本当のところ、どう思っているのでしょう。
インドネシアは数年前に深刻な経済危機におちいり、現在も景気はよくないのです が、それでも全体としてはインドや中国、ベトナムなどとくらべれば、ずっと発展し ているように感じました。タイなどに次ぐくらいでしょうか。その経済発展を大きく 支えてきたのが、最大の援助国日本なのですが、スハルト独裁政権下では、私たちの 税金によるインドネシア援助のかなりの部分が、スハルト一家やその周辺の人々個人 の収入になってしまっていたのだそうです。


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