【出エジプト記】
〜モーセの発見〜
††ヨセフの功績は忘れられ、エジプトの人々はイスラエル人が増えるのを好ましく思わなくなった。
そこでエジプト王は、「彼らに男子が誕生したら殺せ」と命令した。
生まれたモーセの母は葦で編んだ籠の中に赤ん坊のモーセを入れ、それを川に流した。
籠は水遊びをしていたエジプト王の娘と待女たちに発見され、王の娘は乳母を探すよう待女に命じたが、
乳母として連れて来られたのは、モーセの母親だった。
〜燃える柴〜
††王宮で立派な若者に成長したモーセは、1人のイスラエル人を奴隷のように虐待していたエジプト人を、
ある日怒りのあまり殺してしまう。事件は知れ渡り、彼はミデヤンに逃れて羊飼いとなった。
そのときなかなか燃え尽きない柴を目にし、近づくモーセに神は履物を脱ぐように命じ語りかける。
「モーセよ、私はイスラエル人を救い出し、カナンの地に連れ戻したい。行って人々を導くがよい」
〜紅海渡渉〜
††モーセのイスラエル人解放の要求が、エジプト王に拒否されると、蛙や蝿の異常発生や、飢饉が起きた。
最後に神が死の天使を遣わすと、王はしぶしぶ応諾し、モーセの一行はエジプトを去る。
しかし王は軍を率いて彼らを紅海手前に追い込んだ。
モーセが手を海の上に差し伸べると、海は真っ二つに分かれ、一行は無事に海を渡ったが、
一方エジプト軍には海水が襲いかかり、全滅した。
〜マナの収集〜
††カナンの地への苦難の旅路、「エジプトにいた方が良かった」という不平の声が神に届いた。
ある朝、宿営の周りに露が降り、乾くと薄い霜のようなものが残った。
「これこそ主が下さったパンだ。必要なだけ集めるがよい」とモーセが言う。
マナと呼ばれたこの白い食べ物は、蜜の入ったウエハースのような味がした。
〜十戒の授受〜
††エジプトを出て3ヶ月、一行はかつてモーセが神の声を聞いたシナイ山に到着した。
そこでモーセは山に登り、神から戒律を授かった。
一方、人々は黄金の子牛を作り、別の神として礼拝した。神への裏切りを目の当たりにしたモーセは、
授かった石板を叩き付けて怒り、牛の像をこなごなにした。
神はもう一度モーセに石板を2枚用意させ、前と同様の言葉を記して彼に与えた。
【民数紀略】
〜青銅の蛇〜
††カナンへの旅も辛さを増し、再び不平の声が上がる。神は炎の蛇を遣わし、多くの人が噛まれて死んだ。
罪を悔いた人々は「どうか私たちから蛇を取り除いてください」とモーセに頼む。
「蛇の像をつくり、旗竿の先に掲げよ。蛇に噛まれても、それを見上げれば治癒する」との指示を、
神から受けたモーセは、青銅で蛇の像を造った。蛇に噛まれても、これを仰げば命が助かった。
【ヨシュア記】
〜エリコの陥落〜
††カナンを目前にモーセは死ぬ。後継者ヨシュアは神に守られてカナンに攻め入る。
石板を入れた契約の箱を担ぐ祭司たちがヨルダン川を渡り始めると、水が壁のように止まったという。
しかしカナンの入口にあるエリコの町は、厳重な警戒がなされていた。
彼らは神の指示に従い、契約の箱を担いだ7人の祭司を先頭に、城壁の周りを7日間巡り、
最後に牡羊の角のラッパを吹き鳴らし鬨の声を上げると、堅固な城壁はあっけなく崩れた。
※エリコ攻略に先立ち、ヨシュアは2人のスパイを派遣した。彼らはラハブという遊女の家に泊まったが、
侵入がばれて追手が迫る。ラハブは2人を城壁の外に綱で吊り下ろして救ったので、
町の陥落に際しても彼女の一家は救われた。
【士師記】
〜マノアの燔祭〜
††カナン奪回は成ったが、周囲にはぺリシテ人など敵も多く、勇敢な指導者“士師”の存在は不可欠だった。
中でもサムソンの名はよく知られている。
ぺリシテ人による支配の時代、マノアのいう男のところに天使が現れ、不妊の妻に、
「ぺリシテ人からイスラエルを解放する救いの先駆者となる」子が生まれることを告げる。
マノアが子山羊を祭壇で焼いて犠牲にすると、天使は炎とともに天にのぼった。
〜サムソンとデリラ〜
††マノアと妻の子サムソンは乱暴な若者に育った。敵のぺリシテ人の娘に恋をした彼は、
娘の家に行く途中、自分を襲ったライオンを素手で引き裂いたという。
怪力の士師サムソンはある時、ぺリシテ人の女デリラの術策にはまり、
彼の怪力の秘密が頭髪にあることを喋ってしまう。デリラに頭を剃られたサムソンは、
敵の捕虜となり、目をえぐられ粉引きの労役につかされた。ついで神殿でなぶりものにされるが、
神に力添えを頼むと、伸びた髪とともに怪力が戻り、神殿の柱を押し倒すと、
ぺリシテ人もろともその下敷きになって息絶えた。
【ルツ記】
〜田園のルツ〜
††ベツレヘムで妻ナオミと裕福に暮らしていたエリメレクは、飢饉で全財産を失い、
別の地で巻き返しをはかるが過労で死に、2人の息子も妻たちと母を残して世を去る。
落胆のナオミとベツレヘムへ戻ったルツは、ナオミの親類ボアズの畑で一日中落ち穂を拾い、
パンを焼いて姑の世話をした。その様子がボアズの心をとらえ、
ナオミの願い通り、彼はルツを妻として幸せに暮らした。