花ことばいろいろ
●天国と宇宙論
[あ行]
- あさがお:恋愛の喜び。薄命。夢のような運命。
- あじさい:高ぶっている。高慢である。(白)うつり気。気迷い。(桃)乙女の夢。処女の幻想
- あやめ:よきおとずれ、敬意をもつ。
- アネモネ:(赤)私はあなたを愛する。(白)真心がある。誠心誠意。(黄)病気。見捨てられる。
- いちじく:論争する。口あらそい。
- 梅:高潔。気高い。
- おじぎそう:鋭敏な感覚。意気地がない。
- おどぎりそう:迷信である。
- オリーブ:平和の表象。栄誉をたたえる。充実の表象。
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[か行]
- カーネーション:(桃)あなたを愛する。(白)口が上手である。(黄)あなたを軽蔑する。
- かき:まっくら、暗黒、暗い心。
- かすみそう:(白)清い心。(赤)切なる喜び。
- カトレア:主婦らしい品容がある。
- ききょう:君にささげる愛と誠は永久に変わらない。
- 菊:(白)誠実である。貞操。(赤)あなたを愛する。(黄)失望する。失恋する。
- きんもくせい:淡いねたみ。かるいやきもち。
- 虞美人草:もろい愛。実らない恋。
- グラジオラス:アベック。愛をうける。堅固である。
- けし:たやすい。時を示す。(白)朝。(赤その他)夕。
- 月桂樹:栄誉。変わらぬ愛。
- コスモス:乙女の真心。(白)純潔である。やさしみがある。(赤)愛情。真心。
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[さ行]
- 桜:清廉潔白。華美。いさぎよい。
- さざんか:はかない喜び。つかの間の喜び。
- サフラン:歓楽。よろこびたのしむ。
- サルビア:(白)精力が絶倫である。勢力をもっている。(赤)燃える思い。(紫)知恵。知識。
- シクラメン:うたがいをもつ。嫉妬。(白)やさしい人である。(紅)不合理である。
- しゃくなげ:危険な野心。あぶないたくらみ。
- しゃくやく:恥じらい。怒りをいだく。
- しろゆり:純麗である。純なる美しさがある。
- スイートピー:よろこび。やさしい。思い出。離別。
- 水仙:(白)神秘。好意。(黄)私の愛情にこたえて、忘れないでください。(全体)尊敬する。自惚れる。
- すいれん:淡白である。無頓着である。淡々としている。
- すずらん:幸福の約束。処女のほこり。
- すもも:困難である。苦労する。心配である。
- すみれ:貞淑である。私のことも考えてください。
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[た行]
- 大根:野心をもつ。野心家である。
- ダリア:移り気。(白)あなたの親切に感謝します。(赤)あなたは私を幸福にしてくださるでしょう。
- たんぽぽ:宣言する。純潔である。
- チューリップ:(赤)愛の告白。(紫)永遠の愛情。(黄)むなしい愛。(白)失恋。かなわない恋。
- 月見草:沈黙の愛。美女。浴後の佳人。
- つつじ:節制する。欲望をおさえる。
- つばき:誇りをもつ。誇る。
- とりかぶと:あなたを敵視する。人間嫌い。
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[な行]
- 梨:友情。友人間の温かい情。
- なでしこ:注意する。警戒する。
- 野薔薇:優美である。用心深い。
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[は行]
- 蓮:君子である。雄弁である。能弁である。
- はなびしそう:私を拒まないで。私の希望を入れてください。
- はぼたん:もうけ。利益。
- 薔薇:愛情をもつ。美しい。(赤)貞節。熱愛。(白)潔白である。父の恩に感謝する。(黄)うすれゆく恋。
- ヒヤシンス:勝負。(白)謙譲な愛。(青)あなたとなら幸福になれましょう。(紫)悲しみ。嫉妬。
- 藤:美しい誕生。よろこんで迎える。
- ほうせんか:私にさわらないでください。
- ほおずき:うそである。だます。
- ぼたん:富貴である。天才である。(幹)好奇心。ものずき。
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[ま行]
- マーガレット:予言。恋の占い。
- 松:なさけ深い。あわれみをもつ。剛毅である。力強い。
- まんじゅさげ:天上の花の意。
- みかん:君は愛すべき人。あなたは愛する人である。
- 木蓮:壮麗である。りっぱで美しい。
- もみじ:向上する。(葉)真実の友情。
- 桃:気質も容貌もくらべるものがないほどよい。
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[や行]
- やぐるまそう:幸福である。雅美である。望みのままに。悲恋である。片思い。
- 山桜:高尚である。気品がある。
- 山吹:崇高である。気高い。
- 山百合:荘厳である。いかめしい。
- ゆうがお:よろこび。夜の意。情熱ゆたか。
- 百合:純潔である。温和である。温順である。
- よもぎ:幸福である。平和である。再会。
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[ら、わ行]
- ライラック:友情。初恋の情緒。(紫)初恋。若き日の思い出。(白)美しい契り。
- らっぱすいせん:報いられない恋愛。
- りんご:選択する。誘惑する。
- りんどう:正義である。確実である。
- レモン:純な愛。清い愛。
- れんげそう:君あって僕は幸福である。
- わすれなぐさ:真実の愛情。忘れないでください。
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天国と宇宙論
千年王国が地上につくられることでは、キリスト教徒の意見は一致している。しかし、天国の所在地については、
見解が一致したことはない。ある者は、最後の審判後に神が創造する新しい地上のどこかに、その国ができるもの
と信じ、ある者は霊的な世界に神の国は築かれると信じた。
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教会を、いわば神の国の物質的反映と見なす道を歩んだカトリックでは、現世を肯定する立場上、神の国を、
すでにどこかの次元でできあがっている霊的な王国と見なし、その天界で、人はアダムとイブのように裸体のまま、
いかなる苦役や悩みからも解放されて、無垢の至福生活を送ると想像した。
天国がすでに存在しているとすれば、現世界との空間関係はどうなっているかという疑問が当然湧いてくる。これ
については、教会は基本的にはギリシアのモデルを受け入れた。すなわち、球状の地球が宇宙の中心にある。その
内部には地獄があり、外は惑星の空間領域、さらにその外郭に恒星天がへばりつき、その向こうに不可知の神の領
域が広がるという同心円宇宙モデル(主にアリストテレスに基づく)がそれである。
このモデルをもとに、12世紀以降のスコラ学者たちは、神の領域についての神学的説明を行なった。神界は地上を
構成する4元素(土・水・空気・火)とは別の「第五元素」でできた光り輝く2層から成り、第一が「至高天」、第二が「三位
一体の天界」と呼ばれる。第二層は究極の天界で、信者や聖人はもとより、マリアや天使すら入ることがかなわない。
人間その他が入りうる最高の天界は、第一の至高天だと考えられていたのである。
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こうしたモデルを、より精密に描いてみせたのが、永遠の恋人ベアトリーチェとともに、地獄・煉獄・天国を遍歴する
という壮大なドラマを描いたダンテであった。
彼の宇宙論では、宇宙の中心に地球がある。地球の陥没部分は「地獄」(リンボ界はその最初の層に置かれる)、
突出した山状の部分が、中世キリスト教の発明にかかる「煉獄」で、死後、罪を清めるために霊魂がおもむく。ここは
地獄のような永遠の牢獄ではなく、“懲役刑”者用の監獄である。また、天は10層にわかれ、その上に「宇宙のバラ」
が浮かんでいる。そこは「三位一体の天界」のすぐ下にある聖域であり、ここで人は、至福の「見神」体験に浴するの
である。
こうした宇宙論は、その後も改編を経たが、とくに重要なのは、死後生活についての考え方の変化だった。中世に
おいては、死後の霊魂の仕事は、ほとんど神を称えることに費やされると信じられており、司祭によっては、霊魂は、
最後の審判までは、死んだようにまどろんでいると説く者もいた。しかし、スウェーデンボルグ(1688〜1772年)に
代表される神秘家は、死後も学問や修行、結婚など−つまり現世の延長の“生活”があると説いた。この説が、19世紀
以降の心霊主義(スピリチュアリズム)に受け入れられ、霊界のより精緻な構造(基本構造は現界・幽界・霊界・神界)
と、そこの暮らしぶりが言い立てられるようになると、天国・地獄のイメージはいっそう拡大した。と同時に、現実世界と
の著しい接近という俗化も進み、今日に至っているのである。
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