◇宝石の成因◇

ワヤンとラコンは↓

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地球上には3000種類以上の鉱物が存在し、そのうち約50種が宝石として使われている。

鉱物質の宝石は、岩石中、あるいはその岩石に由来する礫でできている漂砂鉱床中に産する。

岩石は1種類から数種類の鉱物の集合体で、主に3つのタイプがある。

★★★★★★★★★★

火成岩

:地表深部に由来する溶けた岩石(マグマ)が固まってできたもの。

火山からの噴出である溶岩や火山弾、火山灰で出来たものは“噴出岩”、地下で固まったものは“貫入岩”。

このような岩石の冷え方や固まり方がゆっくりなほど、結晶が大きくなり、宝石ができやすい。

変成岩

:火成岩や堆積岩が、地球内部で高熱や高圧を受けて変成してできた岩石。

ガーネットは、泥岩や粘土が変成作用を受けてできる雲母片岩中で産する。

ルビーは、石灰岩の変成によりできる大理石に含まれることがある。

堆積岩

:風化でできた岩石の破片が集積し、固まったもの。

ふつう層状に重なるので、装飾用として加工した石にその模様があらわれる。

オーストラリア産のオパールの大部分は、堆積岩中に産する。

トルコ石は主に、堆積岩の頁岩などの中に脈状で産する。

★★★★★★★★★★

このような岩石中に存在する宝石質の鉱物は、地球表面にあることもあるし、

地底深く掘削しなければ採掘できない場合もある。

また、侵食作用で母岩から分離し、川の流れで海や湖に運ばれたものもある。



ワヤンとラコン

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 ワヤンとは、インドネシアに独自の芸術の形態である。

 ワヤンとは本来、牛の皮を切り、これに彩色をした透し細工の人形を操って行われる影絵劇のことをさす。

この他に、人形にかえて人間自身が演ずるワヤン・オラン、木製人形を用い西ジャワ地方で特に人気のあ

るワヤン・ゴレックなども、本来のワヤンから分岐したもので同じくワヤンの内に含まれている。なお、ワヤン

とは影の意味である。

 ワヤンはジャワ島とバリ島、また移住したジャワ人が多く住んでいるインドネシア列島の各地における代表

的な芸能である。ワヤンは純粋にジャワ起源のものであるといわれ、すでに907年の碑文中にワヤンの上演

についての記載が見出される。偏平にして手足の長い人形はジャワ人の現身の影であり、この影が白い布

に投影され、この「影の影」を通じて人間と霊との宗教的交感が行われるところに、その本来の機能があった

と考えられている。

★★★★★★★★★★★

 ワヤンは夕方から始まり夜を徹して行われて明け方に終わる。太いバナナの幹に左右に分けられて差し込

まれてある400にも達する人形を自在に操り、白い幅5メートル高さ2メートルほどの布にその影絵を映し出し

ながら、ジャワ語、古ジャワ語で語りを続ける人はダーランと呼ばれる。この語りに17種類の楽器からなるガメ

ラン音楽と十数人の歌声とが和す。旋律は重い。それは、ジャワの夜の闇の地を這うように響く、といわれた

り、人間の感性と情念の原基をゆさぶるように響く、といわれたるする。

 観客は白いスクリーンの後方に映し出される影の精妙きわまる形と動きを見ることもできるし、前方に座って

ダーランの人形を操るさまやガメラン楽器の演奏されるさまを見ることもできる。ただ現在、観客席は通常前方

にしつらえられている。

★★★★★★★★★★★

 ワヤンの上演で中心になるのは、先に述べたダーランである。彼は地語りによって状況を設定し、また各登場

人物の音声を巧みに使い分けることによって物語を展開していく。ダーランが展開するさまざまな物語の演目

ラコンと呼ばれる。このラコンは物語の宝庫である。ラコンは多岐にわたり、また同一のラコンでも各々のダーラン

によって筋の展開や挿話が微妙に差異をみせる。ダーランは語りの伝統を引き継ぐことによって神々と物語の世

界を再現する者であり、普通の人々とは別の神秘な世界を通じて神秘な力を持つ者であると考えられている。

 ラコンはその内容にしたがって次のように大別される。

@ワヤン・プルオ(古典劇)

:これはラコンの中心を構成するもので、次の四つの物語群からなる。第一に、ジャワ古来の神話や説話の上演。

第二は、ラーマ・ヤナおよびマハ・バラータのインド起源の二大叙事詩に登場する数多の登場人物についてのジャ

ワ化された独立演目で、英雄たちの出生と修行にまつわる物語や二大叙事詩の間の関連づけを行う上演、第三

は、ラーマ・ヤナ物語(ラーマ王子とシンタ王女をめぐる物語群)。そして第四は、マハ・バラータ物語(プンドオ王

国とクーロオ王国の王子たちの葛藤と相克をめぐる物語群)である。

Aワヤン・ゲドック

:これは東ジャワとバリ島でとくにさかんに行われるもので、かつて東ジャワに栄えたジェンゴロ王国のパンジ王子

をめぐる物語群である。15世紀頃に成立したといわれ、パンジ王子とその婚約者であるクディリ王国のチョンドロ・

キロノ姫とが、数奇な運命にもてあそばれ、別離し後に再会するまでの物語である。この物語の舞台は、東ジャワか

らバリ島にまでおよび、今日ではワヤン・トペン(仮面劇)として上演される場合が一般的である。

Bワヤン・マディオ

:これは19世紀末にソロ王家で活躍した宮廷詩人(ブジャンガ)ロンゴワルシトの作品を上演するもので、クディリ

王国のジョヨボヨ王の神秘な予言にまつわる物語群である。

 ラコンは上の膨大な物語群のほかに、時の権力者の要請によってさまざまな王朝創生物語や英雄物語が創作さ

れ、また、時代の変化にともなって、ある場合にはイスラム教やキリスト教の布教に用いられ、別の場合には共和国

の教育活動に用いられて、ワヤン・パンチャシラと呼ばれるワヤンが作られたりする。