¢大化の改新¢

BACK

ローヤルゼリー

 大化の改新の研究史として、個性的な三つの研究史が存在する。

 まず第一としては、坂本太郎氏の「大化の改新の研究」(至文堂〔1938〕)がある。坂本氏は、近世までの研究と近代に入って

からの研究を、「基礎事実の再検討」として整理した。内容としては、記紀批判にもとづく津田左右吉氏への批判におかれ、

「研究の資料」の研究を通して、改新を皇権の回復のために皇室が主導して行った政治改革であり、改革の趣旨は律令制度

の採用にあったとした。

 以上の坂本氏の研究史は、現在にいたるまで通説としての地位を占めている。

                                                     

 井上光貞氏の研究史は、「大化改新研究史論」『井上光貞著作集』4(岩波書店〔1985〕)に描かれている。

 内容は、主として昭和以後の研究史を政治史だけでなく、部民制・土地制度などの研究の成果などについても、「大化の改

新」との関わりで検討している。

 井上氏の研究史も、坂本氏のものと同様に、その後の研究に大きな影響を与えたが、叙述方法が各研究の意図や方法より

も、結論に重点が置かれ、その結論が井上氏の整理の枠内で描かれている所に問題点がある。

 また、この中では、「大化の改新」への疑問は展開されなかった。

                                                       

 門脇禎ニ氏の研究史は、『「大化改新」論』(徳間書店〔1969〕)に描かれている。門脇氏は、坂本・井上両氏に対して、批判的

に研究史を総括し、これをさらに詳細に論じている。

 この中では、大化の改新の研究がどのような意識の中で展開されていったかということを近代史学史の中で位置づけ、その

実証性と共に、視点や方法についても検討し、資料批判が単なる技術的な問題でなく、それぞれの歴史意識の問題であると論

じた。

 特に「大化の改新」の研究が明治維新の王政復古論と密接な関連で進められてきたことに注目し、津田左右吉氏の記紀批

判を近代合理主義にもとづく史料批判ととらえ、それを批判的に継承して『日本書紀』の史料批判を徹底し、新たな律令国家成

立史を見据え、従来の『日本書紀』の呪縛から解放された真に科学的な「改新」像を樹立することの必要性を主張した。

★★★★★★★★★★★★★★

 大化の改新を語る上で最もポピュラーなものといえば、改新の詔の評価に関する問題である。詔は、公地公民制地方制度

戸籍計帳班田収授法と税制という構成で計四条から成り立っている。

 この詔における論点は、大きく内容上の問題点と形式上の問題点の二つに分けられる。

 まず内容的な問題からみていきたい。詔の基本は、第一条の公地公民制の実行の有無にある。この実行なしには、戸籍・計

帳・班田収授法の施行や税制の実施は不可能だからである。

 しかし、詔は全体的に律令制の内容ときわめて類似している。最近の研究では、「改新の詔」にある諸政策が主として天武天

皇の時に行われたとみられている。そうすると、詔はどのような意図をもって記事にされたのだろうか。

                                                             

 第二の問題は、詔の形式の問題である。詔は、「主文」とそれを説明した「凡条」といわれる部分から成り立っているが、特に

「凡条」が律令条文とよく似ており、すべてではないが明らかに後世に依拠している。「主文」は、従来疑われることがなかった

が、考察するときわめてこれも律令的要素が強い。

 以上のように、改新の詔自身は、「主文」においても疑問を抱かせるように、現在においてはもう従来のような評価で捉えるこ

とはできない。

★★★★★★★★★★★★★★

 前項では、改新の詔の評価についてみたが、本項では「大化の改新否定論」そのものについて見る。

 「大化の改新否定論」は、より確実な改新の内容の確定律令国家成立史上への位置づけというものを最大の課題として唱

えられたものであって、「大化の改新」像そのものを否定するものではない。

 つまり、従来における「大化の改新」理解の通説や観念を一度排除してみることで、より正確な史実を再構築しようとしたもの

である。

 七世紀中葉には、地方行政に関わる制度の変化がみられた。評などの制度の変化や、律令制とは原理が異なるが官制も成

立した。しかし、ここで注意しなければならないのは、七世紀がたとえ政治史上のエポックであったとしても、それは従来から言

われてきた「大化の改新」像とは別次元のものであるということだ。

 つまり、聖徳太子の新制をうけて公地公民制を始めとした諸政策をうちだし、天皇を中心とした中央集権国家を形成しようと

した一大政治改革が大化の改新なのではなく、次世代に向けての政治理念の標榜であったのである。



☆ローヤルゼリー☆

BACK

 蜜蜂の90%を占める働き蜂は、生後1ヶ月くらいまでは内勤蜂、それ以後は外勤蜂と役割を分担している。外勤蜂は花々を

飛び回り、蜜を集める。これを胃袋にあたる蜜嚢に貯めて、巣に運ぶのである。蜜嚢をいっぱいにするには500以上の花から

蜜を集めなければならず、その時の重さは50mgと、蜂にとっては相当な荷物だ。

 飛行中に外勤蜂の蜜嚢で消化酵素の作用を受けた花蜜は、巣で待っていた内勤蜂に口移しで与えられる。こうして消化さ

れ、濃縮されたのが蜂蜜で、これは巣の中に貯えられて蜂たちの食料となる。

 ところで働き蜂は、蜜と一緒に花粉も集める。集めた花粉は蜜で練って団子状にいし、後肢に付着させて巣に持ち帰る。これ

を内勤蜂が受け取り、腐らないように蜜を加えて保存する。それを生後10日までの若い内勤蜂が食べて、腸の中で吸収し、頭

部にある下咽頭腺からローヤルゼリーとして分泌するのである。

 若い蜂の体をひとめぐりして分泌された乳白色のとろっとしたローヤルゼリーは、味はぴりっとした酸味を帯びている。蜂蜜

がすべての蜂の食料となるのに対して、ローヤルゼリーは女王蜂だけの食べ物である。

★★★★★★★★★★★★

 花粉はいうまでもなく植物の繁殖を司るものである。花粉には普通の細胞の何倍もの糖やアミノ酸、ビタミン、ミネラル、蛋白

質、脂質、酵素等が含まれている。

 ビタミンはA,B1、B2、B6、C、D、E、葉酸(ビタミンM)、パントテン酸、ニコチンカルシウム、ピチオン、ピリドキシンなど

が含まれていて、総合ビタミン剤に優るとも劣らない。カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、銅、鉄、マンガン、珪

素、燐、硫黄、塩素と豊富なミネラルは、体質をアルカリ性にする働きがある。アルカリ性食品といえば大豆類、野菜類、くだも

の類、海藻類、牛乳などが知られているが、体を弱アルカリ性に保つことは健康の秘訣でもある。

 ローヤルゼリーの成分は、水分50〜67%、タンパク質9〜19%、糖質8〜17%、脂質2〜9%となっている。そのほか微

量ではあるが、多くの種類のビタミン類、ミネラル、アミノ酸が含まれている。

 ビタミン類では、糖質をエネルギーに変えるB1、脂質を代謝するB2、肌を美しくするB6、B12、銅や鉄と結合して増血作用

を有する葉酸、成長促進・老化防止に役立つパントテン酸、ニコチン酸、ピチオン、イノシトール。ミネラルはカルシウム、カリ

ウム、ナトリウム、マグネシウム、銅、鉄、亜鉛など。

★★★★★★★★★★★★

 特に注目すべきなのはアミノ酸の種類の多さである。グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチニオン、セリ

ン、スレオニン、リジン、オキシリジン、シスチン、プロリン、オキシピロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、ベータ−アラニ

ン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ガンマ−アミノ酪酸、アルギニン、タウリン、キヌレニン、アデノシンと数え切れないほど。グ

ルタミン酸は脳の新陳代謝に不可欠なアミノ酸で、ナトリウムと結合すると知能向上に役立つといわれる。メチニオンは肝臓の

働きを助ける。

 アミノ酸は種類によって働きが異なるが、数種のアミノ酸の混合物は単独での働きとはまた違った特殊な効用をもつようにな

る。ひとつひとつの量は少なくとも、種類が多いほど相乗効果が高丸のである。これはビタミンについてもいえる。

 人間の精液にも多数のアミノ酸が含まれている。そこに含まれる成分はだいたい共通しているが、ローヤルゼリーのアミノ酸

のほうが精液に含まれているものよりも9種類も多い。

 ローヤルゼリーには、このほか10ハイドロオキシ2デセン酸、パロチン様物質、ビオプテリン、アセチルコリンも含まれてい

る。アセチルコリンは、神経という電線を流れる電流のようなもので、生体にとってきわめて重要なものである。蜜蜂の馬力や

神経の活動力の源は、アセチルコリンにある。

★★★★★★★★★★★★

 発ガン物質の中でもっともよく知られているニトロソアミン。これは天然食品に含まれる二級アミンと亜硝酸が体内で反応して

でき、タバコのニコチンやニコチナアルカロイドがからだに吸収される過程で生じるほか、ハムなどに発色剤として使われてい

る亜硝酸塩が肉に含まれるアミンと反応してつくられるケースもある。

 ただし亜硝酸塩には、アミンよりも先に、タンパク質と結合しやすいという特徴があり、タンパク質と結合すると人体に無害な

窒素ガスになってしまう。ローヤルゼリーにはタンパク質の原料となる遊離アミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン酸な

ど)が豊富に含まれているので、体内に亜硝酸塩が取り込まれても、ニトロソアミンが合成される危険性が少なくなる。

 また、ガンには大別すると、胃腸や肺、肝臓、皮膚、乳腺、膵臓、膀胱など上皮性組織にできる「ガン腫」と、血管や筋肉、骨

髄などの非上皮性組織にできる「肉腫」とがあるが、発生率ではガン腫が圧倒的多数を占めている。そしてガン腫には、まず

上皮細胞という臓器の表面にガンが発生し、次第に深く浸潤していくという共通点がある。

 その場合、上皮細胞が何らかの理由で傷ついていると、正常なときよりも発ガンの可能性が高まることはいうまでもないだろ

う。日本人に胃ガンが多いのは漬物など塩分の多い食事を好み、そのため胃の粘膜が荒れがちだからである。その証拠に、

食生活が欧米化するにつれ、胃ガンの発生率は大きく低下している。

 ローヤルゼリーには、この上皮組織を再生する力がある。ローヤルゼリーに含まれるパロチン様物質はたんぱくホルモンの

一種で、皮膚や筋肉組織の再生を促進すると考えられている。