★アフェランドラ・ダニア
(魅力)南米原産で約80種ある。光沢のある濃緑の葉には白く鮮やかな葉脈が走り、茎頂に咲く黄色の花(花苞)とのコント
ラストがみごと。
(置き場所)光を好むが強い直射日光はだめ。盛夏にはレースのカーテンで遮光を。冬には窓際に。
(水やり)生育温度は20〜25度で、生育期は鉢土が乾いたらたっぷりやる。しかし鉢内の過湿を嫌い空中湿度を好むので、
夏の高温期には葉水の回数を多くする。
(肥料)生育期の前期に化成肥料を置肥し、生育中はハイポネックス1000倍液を月に3〜4回施置して肥培する。
(植え替え)5〜8月の花後が適期で、用土は赤玉土4、川砂2、腐葉土2、ピートモス2の混合土。
(病虫害対策)ハダニやカイガラムシが発生したら、ケルセン2000倍液を散布して駆除。
★エスキナンサス
(魅力)熱帯アジア原産のつる性か半つる性の植物。横に広がる性質があるので、吊り鉢仕立てに空間を飾るのに適す。
6〜7月には垂れぎみの葉頂に、筒状で細長い黄橙色の美しい花を上向きにつける。
(置き場所)日当たりのよい窓際が最適だが、強い直射日光にあたると葉焼けする。
(水やり)生育温度は20〜25度で、生育期でも鉢内の多湿は嫌う。
(肥料)4月に化成肥料を置肥し、生育期にはハイポネックス1000倍液を月に1回施肥する。
(植え替え)5〜6月が適期で、用土は水ゴケ単用か赤玉4、腐葉土3、パーライト3の混合土。
(病虫害対策)アブラムシのつくことがあるので、発生期に月1回、オルトラン粒剤を表土にまいて予防。
★クロトンノキ
(魅力)マレーシアや太平洋諸島が原産。葉形は広葉、細葉、らせん葉などがあり、色はピンク、赤、オレンジ、茶、黄、
緑などで100種以上の園芸品種がある。
(置き場所)直射日光を好むので、1年中日光にあてる。夏は戸外、冬は窓際。日光不足になると葉が痛む。
(水やり)生育適温は30度以上。生育期は多湿を好むので、水やりするときは葉水も兼ね、葉の上からざぶざぶかける。
(肥料)生育期に月に2回、ハイポネックス1000倍液を施肥する。
(植え替え)4〜5月が適期で、用土は赤玉土4、ピートモス4、バーミキュライト2の混合土。
(病虫害対策)カイガラムシが発生したら幼虫時にスミチオン1000倍液を散布する。
★ゲッキツ
(魅力)日本南部から台湾、中国南部が原産で、サンゴ礁が風化した石灰岩地に多く自生。幹は白く葉は光沢のある濃緑
色で、7〜8月にはミカンに似た芳香の強い白花が咲き、卵形の実は熟すと赤くなる。
(置き場所)日光を好む、秋から室内に入れ、ガラス越しで日光浴。
(水やり)生育期は用土が乾いたらたっぷり与え、秋から控えめにする。冬は鉢内が表土から2センチくらい内部まで乾い
てから与え、乾かしぎみに管理する。
(肥料)生育期の3〜8月に、年3〜4回緩効性の化成肥料を5号鉢で茶さじ2杯ぐらいずつ鉢ぎわに与える。
(植え替え)3月下旬〜4月上旬が適期。用土は赤玉土みじん大5、小粒2、腐葉土3の混合土。元肥として化成肥料を茶さ
じ1〜2杯入れておく。
(病虫害対策)カイガラムシが発生したら、幼虫時にスミチオン1000倍液を散布し駆除。成虫になると薬剤はあまり効果がな
いので、布かブラシでそっと拭きとる。またアブラムシが発生したらマラソン1000倍液を散布し、ビニール袋を鉢全体にす
っぽりかぶせ、2〜3日戸外の日陰に置いて管理する。
★ゴールドクレスト
(魅力)常緑小低木または低木に分類される園芸品種。葉色は黄金緑色で整枝やせん定をしなくても形のよい円錐形に育ち、
スギの仲間とは思えないほど優美な樹形。
(置き場所)日光を好む。日光不足になると葉の緑が強くなり、黄金色が失われる。
(水やり)生育期には用土が乾いたらたっぷりやる。水不足になるとすぐ傷むが、やや控えめに管理すると葉がしまり、本来
の美しさを保つ。
(肥料)生育期(4〜10月上旬)に年に3回緩効性の化成肥料を5〜6粒与える。また玉肥を2個置肥しておくと、葉色の美しい
株になる。
(植え替え)3月下旬か9月中〜下旬が適期で、用土は赤玉7、腐葉土3の水はけのよい混合土。植え替えを嫌う部類に入るの
で丁寧に扱い、根はできるだけ切らないようにする。
★パキラ
(魅力)熱帯アメリカ原産の小高木で、現地では樹高10メートルに達するが、観葉植物としては実生1〜2年の苗木を鑑賞用と
して利用する。緑葉の縁が5〜7に深く裂け、手のひら状に開いている。
(置き場所)日光を好むが、盛夏の直射日光は強すぎて葉を傷めるので20〜30%遮光する。また、乾燥には強く過湿には弱
いので、通風のよい場所を選ぶ。
(水やり)生育適温は20〜30度で、生育期には用土が乾くとたっぷりやるが、過湿は嫌う。
(肥料)5〜9月にハイポネックス1000倍液を、水やり後に月に1回与える。
(植え替え)5〜7月が適期で、用土は赤玉土6、腐葉土2、川砂2の混合土。根まわりは遅い方だが、2〜3年に1回を目安にし
て、鉢穴から根が見えてきたら行う。
(病虫害対策)ハダニが発生したらケルセン2000倍液を10日ごとに2〜3回散布する。
★パンダヌス
(魅力)幼苗を鑑賞するが、先のとがった細長い葉を四方に広げる。中鉢で楽しむのには、緑葉で縁が白いベッチー(フイリタ
コノキ)などが適している。
(置き場所)日光を好むが鑑賞用は幼苗期なので、盛夏は20〜30%遮光する。
(水やり)生育適温は20〜30度で、生育期には用土が乾いたら頭から株全体にたっぷりやる。しかし本来は乾燥には強く、過
湿を嫌うので、いつも湿っている状態は避け、冬は乾かしぎみに管理して耐寒性を高める。
(肥料)生育期に化成肥料を月1回置肥。
(植え替え)6〜8月が適期。底に鉢ガラを3分の1入れ、その上に粗い天神川砂を3分の1入れ、上3分の1は細かい砂を入れる。
また、植え替えるときは、古土を全部落とし、古葉も少し切りつめる。
(病虫害対策)カイガラムシが発生したら幼虫時に、スミチオン1000倍液を10日おきに2〜3回散布して駆除する。
★オリヅルラン
(魅力)ランナーが伸びてその先につける小苗の形が、折り紙のツルに似ている。南アフリカ原産のユリ科の植物。
(置き場所)日光の強い時期は戸外の半日陰か、室内ならレースのカーテン越しの場所に置く。
(水やり)生育適温は20〜30度で、生育期には用土が乾いたらたっぷりやる。根が多肉質なので乾燥には強い。水不足にな
ると葉色が悪くなるが、過湿は根腐れの原因になる。
(肥料)生育期前期に化成肥料を置肥し、生育期はハイポネックス2000倍液を月3回与える。
(植え替え)5〜6月が適期で、用土は赤玉土5、腐葉土3、川砂2の混合土。根は多肉質で鉢の中ではもつれ合っているので
切らないように注意する。また古株はこのとき同時に株分けすることもできる。
(病虫害対策)まれにネコナカイガラムシがつく。発生したらエカチンTD剤を鉢土に混入して駆除する。
★センネンボク
(魅力)東アジア原産の常緑低木。新葉の縁に赤桃色の線が走り、斜め上向きに四方へ広げる。
(置き場所)耐陰性が最もあり強光を嫌うが、日光が不足すると葉色があせる。5月には梅雨明けまでは十分日光にあて、夏
の直射日光は30〜40%遮光。秋口からまた日光に十分あててやる。
(水やり)生育適温は20〜30度で、生育期は高温多湿を好む。受け皿の水をためておくと根腐れを起こすので、水やり後は
必ずあけておく。冬は乾かしぎみに管理する。
(肥料)生育期に緩効性の化成肥料を月1回置肥。生育のよい株のときは、2ヶ月に1回でよい。
(植え替え)5月ごろが適期で、用土は赤玉土6、腐葉土2、川砂2の混合土。2年に1回が目安で、下葉が落ちて形の乱れた
株は、根元から15センチくらいで切り戻し、新芽を発生させて更新する。
(病虫害対策)ハダニがつきやすいので葉水を多くして予防し、発生したらケルセン2000倍液を散布して駆除する。
★テーブルヤシ
(魅力)メキシコ原産の小型ヤシ。生長しても2メートル以内で、鉢植えなら小さな幼苗のうちから楽しめる。
(置き場所)ヤシ類の管理は、夏は戸外、冬は室内が原則だが、テーブルヤシは葉焼けを起こしやすいので、夏の戸外なら
50%の遮光が必要。
(水やり)生育適温は20〜30度で、生育期は用土が乾いたらたっぷりやる。とくに夏は頭から株全体にかけてやるが、受け
皿は外しておき、水が抜けてから受け皿へ戻す。
(肥料)生育期に緩効性の化成肥料を月1〜2回与えれば十分。
(植え替え)5〜6月が適期で、用土は赤玉土4、腐葉土4、川砂2の混合土にする。鉢から抜いたら、古土を半分くらい落と
して根をほぐす。傷んだ根を切り取り、根先も少し切りすめて新しい用土に植え込む。
(病虫害対策)カイガラムシがつきやすいので、葉水を多くして予防。発生したらスミチオン1000倍液を散布して駆除。
★クロッサンドラ
(魅力)インド原産の常緑低木。夏には茎頂から長い花穂を直立し、緑色のさや状の苞から径3センチぐらいの赤色の花を
咲かせる。花を漏斗状で基部が筒状をしており、先が一方に開き五裂している。
(置き場所)日光を好むが、夏の強い直射日光は葉焼けを起こすので、戸外に出すときは20%ぐらい遮光する。
(水やり)生育適温は20〜30度で、葉水の回数も多くして乾かさないようにする。冬は乾かしぎみに。
(肥料)生育期には緩効性の化成肥料を月に1回、少量ずつ与える。
(植え替え)根が大きく育つのですぐ根づまりし、小鉢のうちは毎年植え替えが必要。4〜6月が適期で、用土は赤玉土5、
腐葉土3、川砂2の混合土。
★スパティフィラム
(魅力)葉は長楕円形で先が鋭く、花に見える仏淡苞は純白で、開花期には甘い芳香がある。
(置き場所)耐陰性が強く、一年中日の差し込まない室内でも育つ。冬はガラス越しの直射日光にあててがっしりした株に
する。
(水やり)高温多湿を好むので、生育期には用土が乾いたらたっぷりやり、葉水の回数も多くする。
(肥料)生育期に緩効性の化成肥料を2ヶ月に1回くらい置肥する。
(植え替え)5〜6月が適期で、毎年行う。用土は赤玉土4、腐葉土3、川砂3の混合土。鉢から抜いたら古土は3分の1くら
い落とし、傷んだ根は切り取って新しい用土に植え込む。
★ブライダルベール
(魅力)中南米原産のつる性常緑多年草で、細い茎はジグザグに伸びて横に広がる性質がある。花は5〜6ミリの白い小花
だが、茎頂に数多くつくので満開時にはその名の通り、花嫁の白いベールを思わせる。
(置き場所)耐陰性はあるが、日光不足になると徒長しやすく花もつきにくい。通風は必要だが、強い風にあたると茎や葉が
傷むので、戸外に出すときは注意する。
(水やり)生育温度は20〜30度で、生育期にはたっぷり、冬は用土がカラカラにならない程度。また、冬に葉水をやるとかえ
って傷めるので鉢土だけにする。
(肥料)生育期に緩効性の化成肥料を月1回与える。
(植え替え)5〜6月が適期で、用土は赤玉土4、腐葉土3、川砂3。
(病虫害対策)ハダニがつくことがあるので、夏の発生期には葉水の回数を多くして予防し、発生したらケルニン2000倍液。
★グズマニア・マグニフィカ
(魅力)南米北西部が原産。葉は表面がなめらかで光沢があり、ロゼット状に密生する。中央部から花茎を伸ばし、先端に
星形の赤い花苞をつける。
(置き場所)光に弱いので、戸外に出すときはやや暗い半日陰で、風通しのよい涼しい場所を選ぶ。
(水やり)生育適温は20〜25度で、生育期は用土が乾いたらたっぷりやるが、着生種なので葉や葉筒から吸収させることが
大切。冬は葉筒の水を抜き、鉢土だけにやる。
(肥料)生育期にハイポネックス2000倍液を月に3回与え、葉筒の中へも入れてやる。
(植え替え)5〜7月が適期で、用土は水ゴケ。開花後に子株が発生するので7〜8葉になったら、親株の短縮茎と子株の基
部を切り離し、子株分けをする。1〜1ヶ月半くらいで発根し、1〜2年で葉数20〜25枚に育ち開花する。
<歴史>
インドの染織品の歴史はいまから5000年前にさかのぼる。紀元前3000年から紀元前1800年頃に栄えたインダス河流域
文化は、エジプトやメソポタミヤの文化とほぼ時を同じくする。エジプトでは主に麻とラミーでできたリンネル(亜麻製品の総
称)が用いられていたが、当時のインダス河流域の人たちは、木綿の織物をよく用いていたと思われる。
モヘンジョダロの遺跡から発見された多くの紡ぎ機、紡ぎ車、青銅の針、それに銀の壷の底から染色された木綿裂の断片
などが発見されていることからみて、古代インドにおいて染色と機織り、刺繍の技術が広くいきわたっていたことがわかる。
それに、この木綿裂に残っていた赤紫色の染料は、茜から採ったものであり、その付近には染料壷らしきものも発掘され
ていることから、染料技術はかなり発達していたと想像できる。
また、刺繍の技術がこの頃から発達していたというのは、青銅の針からわかる。というのは、インダス河流域(現在のシンド、
パンジャブ、北ウッタルプラデシュ、西北グジャラート地区に相当する)の気候は、現在とほぼ相違なかったと考えられること
から、そして、インドの着衣も布を体に巻きつけるという、ほとんど縫う必要のない様式を持っていることから、針は織物の装
飾をする刺繍用のみに使われていたと仮定できるからである。
染色の技法上からみると、ろう防染、板締め、絞りなどは材料さえあれば、すぐにでも考え出せる染法なので、もっとも古く
から知られていた技法であると考えられる。しかし、媒染剤(鉄塩やみょうばんなど)を使用することによって、染料を定着さ
せ、色を発色させる方法は、天然染料、天然繊維の特質を見事に応用したものであり、化学的でやや複雑な工程を要する
ため、ろう防染や板締めより遅れて発生したと考えられる。この媒染によるインド更紗がはっきりと歴史上にあらわれるのは、
15世紀以降の航海術の発達によって、中国、東南アジア、日本、インド、ヨーロッパの相互の交流が盛んになってからのこと
である。
一方、インド以外の国々では、その頃はまだ媒染剤が使われていなかったので、媒染によって微妙な色合いをかもし出す
植物染料で染められたインド更紗をはじめて目にした人々は、そのあでやかな染色品に魅せられていった。このインド更紗の
デザインは、ヨーロッパ人の異国情緒に富む趣味として大いに歓迎され、チンツ(インドのヒンディー語の多彩色という意味の
“チント”が訛ったもの)・ブームを巻き起こし、近代の服飾流行のさきがけになったといわれている。このような現象が各国に
独特の更紗(イギリス更紗、オランダ更紗、ロシア更紗……など)を生み出す結果となったのである。
<影響>
さらに歴史的な面からみてみると、仏教全盛の時代、ヒンドゥー教全盛の時代、イスラム教全盛の時代、イギリスの支配下に
入った時代と、それぞれの時代の反映が、ヒンドゥー教を底流としながらもインド更紗のデザイン上に見られる。
たとえばデザインのモチーフについていえば、仏教全盛の頃は唐草やメダイヨン(円盤状の中にデザイン構成したもの)、
ヒンドゥー教全盛の頃は、ヒンドゥー教の諸神やヒンドゥー教の神話のデザイン、イスラム教全盛の頃は、生命の木、幾何文様
が出現する。
上記以外にイスラム教全盛の頃のデザインの影響として、祈祷用の更紗が盛んにつくられた。本来はモスクを配したデザイ
ンだったが、ヒンドゥー教徒たちにとっては、宗教的意味を離れ、近代になるとだんだんこの構図をデザインの構成法としてとら
えるようになった。
イギリスの支配下に入った時代はペーズリー(インドではマンゴーシェイプといわれている)のデザインといったように、インド
更紗も、一般に芸術というものがそうであるように、その時代その時代の現実的な美意識の結実として創造されたのである。
<デザイン要素>
インドの装飾芸術――インド更紗、アルポナ(地面や床面に描くインド独特の宗教的絵画、壁画)など――全般に共通して
いることだが、これらのデザインを分析していくと、必ず次の5つの要素になる。それは仏教でいう<土・水・火・空気(風)・
空>と同じ要素なのである。
自然の形態(はすの花、マンゴーの実など)も、究極的には、この5つの要素に帰せられるということである。
@土(Earth)
:このシンボルは立方体であり、二次元的に見ると正方形になる。この“土”の形は、この形に接するものによって変わるもので
はなく、それ自体で存在するものであり、したがって、立方体(正方形)の形によって、より的確に表現されるものである。
彫刻において、アラベスクとか、いろいろなパターンが立方体の上に彫られたり、立方体を基礎に石の上に彫られているの
は、永久・堅固の象徴としての立方体が、流動性のある物(対象物)の表現に必要な骨組みを与えるからである。
A水(Water)
:水のシンボルは球である。二次元的には円で表現される。
水は支えられていないと球形の滴になりがちである。水は容器によって存在したり、あるいは、その形によって反撥したりす
るが、土や石などの接触によって、その形はまるい渦になる。また空気との衝突によって水は波の形を生じる。
質量のある液体なので、運動の方向は下方に向きがちである。水のすべての形は渦形のデザインとしてあらわされる。
B火(Fire)
:シンボルは円錐、または三角形である。しっかりとした土台をもち、上を向き、立つ形である。これは静かな炎の表現。
空気との相互作用によって波と渦の形で表現されるが、火は水と違って重さを欠いているので、その形態の動きは上を向く
傾向にある。
C空気−風−(Air)
:シンボルは三日月である。この三日月は土と水との相互作用によって生じる形であり、それは流動体であるが視界に入らず、
その動きは砂の上や、ほこり、水、湯気、蒸気、煙霧によってはじめて明白になる形である。
その渦と波の形は、とくに顕著に雲の形によって見ることができる。立ちのぼる渦巻きは、光によっていっそうはっきりとした
ものになる。
D空(Sky)
:シンボルは、土(地球)の方向に飛びはねられる玉子のからの形である。空気は空間そのものであり、それ自体では形をも
っていない。空気は、ちょうど空所になっている円天井によって象徴されているといっていいだろう。
空間はデザインの外側の輪郭のまわりや、あるいは、形態の中でその形態を形態たらしめるために必要の要素なのである。
これらの空間によって、われわれはその原型と存在を知ることができる。
<デザイン構成>
@スクウェア(Square)の組織による構成
:インドのブロック・プリント(木版更紗)の基礎になる代表的なデザインの構成方法。
基本的には、正方形や長方形による網状組織としてとらえることができるが、これらの形(正方形、長方形)は垂直線と水平
線によってできていることから考えて、単に垂直線と水平線の交差としての、またそれらの縞の交差によってできる組織である
ともいえる。
この組織の中へ同一のパターンを置いていくことによって、連続模様がうまれることもある。パターンのまわりに何も置かない
でまわりの空間を生かすこともできる。また、正方形のすみからすみに対角線を引き、分割された中に、いろいろなモチーフを
織り込むことができる。この正方形や長方形の中を複雑にすればするほど、全体のデザインも複雑になってくる。
Aブリック(Brick)の組織による構成
:ブリック組織はその名前が示すように、レンガをつみかさねていくような水平線の交互によって生じる組織である。
応用として、水平線を少し波うたせてみると、柔らかい感じのデザインになる。
Bハーフ・ドロップ(Half-drop)の組織による構成
:これは垂直線のたがいちがいによって生じるデザインの構成法である。そのたがいちがいになるところがもとのデザインの
ちょうど半分の地点であるところからこの名称がある。実際にこの組織を使ってデザインを考えるときは、ブリックの組織でも
そうだが、モチーフを組織に入れたとき対角線や斜線の方向を感じさせるようにすると、デザインが実際以上にのびのびと
広がった感じになる。
Cダイアモンド(Diamond)の組織による構成
:正確なダイアモンドの形は、水平線から45度回転させた正方形でその角の先端で立っている状態のものだが、一般にダイ
アモンドというときには、菱形や、斜方六面体におきかえられても、とらえられている。
ブロック・プリントにおいては、もっとも使用しやすいデザインの構成単位で、その中にどのようなモチーフを入れても、全体
によく調和する。また、ダイアモンド形の格子の交点を中心とする円を想像してデザインを考えると、その円の中に描かれた
モチーフはちょうど、ハーフ・ステップの組織によって構成されたデザインと同じになる。
Dトライアングル(Triangle)の組織による構成
:厳密にいえばこの組織は、ダイアモンドの組織を少し細かく分割したものであるといえる。本来、創造されたデザインは、ど
のような組織によって、あるいは、リピートによって生み出されたのかということを意識させないのが本当だが、このトライアン
グルのデザインの組織においては、トライアングル(三角形)の形が、とくに視覚的、構築的に安定した形であるがために、あ
えて、この三角形の単位(組織の中の)を強調し、組み合わせによって大胆に交錯したような感じや、鏡のようなイメージを出
すことができる。
Eオウジー(Ogee)の組織による構成
:優雅なオウジー(葱花線)はダイアモンド組織から引き出された、S字形のカーブ(曲線)の凹形と凸形の輪郭の両方を組み
合わせた組織である。この波状形の外形は、曲線の美化されたデザインともいえるだろう。
この組織の中に入れるパターンに角のある形を入れることも可能だが、せっかくの美しい外形の曲線に対しては不釣り合い
だし、お互いの形の美しさを消すことになるので、この中には昔から、植物のやわらかな曲線をよりいっそう表現できる、まき
ひげや茎のつるなどを置いてデザイン化してきた。
Fスケイル(Scale)の組織による構成
:スケイルとは文字どおり、うろこ状のデザインである。鳥の首のあたりの羽のはえ方や、魚のうろこなど、動物学上の観察か
ら、芸術的感動が生じてできたデザインといえるだろう。
この組織のまま、その中にモチーフを入れていく方法もあるが、このうろこの形態を一つとって、この形態をさまざまに配列
することによってデザインを生み出すこともできる。
インド更紗においては、この組織を布地いっぱいに用いるより、一部において、これを土の表現として用いている例が多いよ
うである。