もちろん、普通、世間一般に使われていることわざではなく、
聞いたことがなく(僕が)、また意味を推し量ることもできないものを集めてみました。
◎鬼も十八、番茶も出花
(意味)醜く恐ろしい鬼も年頃にはそれなりに美しく見え、番茶もいれたては美味しいことから、
どんな醜い女も、年頃になればそれ相応に美しくなるとの意。
◎男心と秋の空
(意味)秋の空が変わりやすいように、男の女に対する愛情が変わりやすいこと。
「女心と秋の空」は、この句に対して後から出来た言い方。
◎大賢は愚なるが如し
(意味)非常に賢い人は、知識を表に出さないので、一見愚かな人のように見える。
◎小人閑居して不善を為す
(意味)小人物は暇でいると、とかくよくないことをしでかす。
◎天網恢恢疎にして漏らさず
(意味)天の網の目はあらいようだが、悪人を漏らすことなく捕らえる。
悪事をなしたものは早晩必ず天罰を受けるということ。
◎寸鉄人を殺す
(意味)短いけれど奇抜で適切な言葉によって、相手の急所を就くことのたとえ。
◎益者三友、損者三友
(意味)交際して益を得る三種の友と、損を受ける三種の友。
前者は直言、誠実、博学の友であり、後者は不正直、不誠実、巧言の友。
◎人を呪わば穴二つ
(意味)他人を呪って殺そうと墓穴を掘る者は、その報いで、自分の埋められる墓穴も掘ることになる。
人に害を与えれば、自分もまた害を受けるようになるということ。
◎青は藍より出でて藍より青し
(意味)青色の染料は藍から取るが、原料の藍より青いことから、
教えを受けた人が、教えた人より優れることをいう。
◎生酔い本性違わず
(意味)たとえ酒に酔っていても、その人の本来の性質は変わらないということ。
◎武士は食わねど高楊枝
(意味)武士は、たとえ貧しくても、十分食べ足りているようなふりをして楊枝を使う。
武士の誇りの高いことをたとえていう。
◎門前の小僧、習わぬ経を読む
(意味)寺の門前に住む子供は、朝夕読経を聞くので、習わなくても経を自然に読むようになる。
環境の影響が強いことのたとえ。
◎狐死して兎悲しむ
(意味)同類の死を見て、その禍が自分の身に及ぶことを憂えること。
◎ごまめの歯ぎしり
(意味)力の足りない者がいたずらにいきりたつことのたとえ。
◎十日の菊、六日の菖蒲
(意味)9月9日は菊の節句、5月5日は端午の節句。
時期に遅れてしまって、間に合わないことや役に立たないことのたとえ。
◎蟹は甲に似せて穴を掘る
(意味)蟹は自分の甲羅に相当した住まいの穴を掘る。
人は自分の力量、身分に応じた言動をするものだということ。
◎鳥なき里の蝙蝠
(意味)優れた者がいないところでは、つまらない者が幅をきかすというたとえ。
◎月に叢雲花に風
(意味)月が出ると厚い雲が覆い隠し、花が咲くと風が散らすように、
好事にはとかく故障が起こりやすいということ。
(意味)無理を押し通すこと。理不尽なことをする。
【あ行】
◇赤字:簿記などで不足額を記すのに赤インキを用いたことから。
◇あとのまつり:祭りのすんだ翌日に見物に行っても遅い・祭りのすんだあとに山車が出てきても意味がない。
◇アリバイ:ラテン語のアリウス(他の)とウビ(場所)とを結び合わせたアリウビから転じた英語。
◇イカサマ:「如何様」(どのように)が転じて、いかにもそうだと思わせるようなこと。
◇板につく:「板」は芝居の舞台、「いたつき」といえば芝居の幕が開いた時、すでに舞台に立っている役者のこと。
◇浮足:取引相場で、値が変動して定まらないこと。
◇有頂天:仏教の三界、欲界、色界、無色界のうちの色界にある最高の天。
◇うやむや:「有耶無耶」と書き、「耶」は漢語で疑問・反語・感嘆などの意を表す副詞。
◇おいらん:江戸吉原の禿(かぶろ)たちが、自分の姉女郎たちのことを「おいらの(姉女郎)」といったことから。
◇おてんば:オランダ語のontembaar(馴らすことができない、負けん気)からできた語といわれる。
【か行】
◇かしこ:形容詞「かしこし(畏)」の語幹からできた。おそれ多いこと、かたじけなくもったいないという気持ちを表す。
◇がらくた:「がら」は物が触れ合う音、「くた」は芥(ゴミの意)の略とも「朽ち」のなまりともいう。
◇がんもどき:「雁擬」などと書き、雁の肉にモドキ(似ている・擬)たるものの意。
◇きざ:気にさわる意の「気障り」という語の上の部分をとったもの。
◇キセル:カンボジア語のkhsierクシェル(管の意)からできた外来語。
◇銀行:英語Bankの翻訳。明治30年までは銀本位であったため、金行とはならなかった。
◇けち:「怪(け)し」「怪事(けじ)」のなまったものといわれる。
◇ケリがつく:古来、和歌・俳句などの終わりに「けり」の文字を使ったものが多いことから。
◇こけんにかかわる:「沽券」は、土地や家屋などを売買する際に、売主から買主に渡す証文のこと。
【さ行】
◇左遷:中国では、右を尊び左を卑しんだことから。
◇サバを読む:魚市場で、箱へ投げ込まれた鯖や鰯などの小魚は、あとで数え直すとその数が合っていたためしがないことから。
◇邪魔:仏教語で、仏道の修行をさまたげる悪魔の意。
◇十八番:江戸時代末、七代目市川団十郎が、先祖からの当たり芸十八番を選定してお家芸としたところから。
◇処女:「処」は居るの意で、元来は結婚前のまだ家にいる女のこと。
◇すけべ:「助平」「助兵衛」。「好く」を洒落て人名のように呼んだ「好兵衛」が変化。
◇図星:矢の的の中心にある黒点のこと。
◇反が合わぬ:刀の峰の反った部分が、鞘に合わないというところから。
【た行】
◇醍醐味:「醍醐」とは仏教語で、牛や羊の乳を精製して作った非常においしい食べ物のこと。
◇ダフ屋:「ダフ」とはフダ(札)をさかさまにした隠語。
◇駄目:囲碁で、双方の石の境にあって、どちらの所有ともつかない目のこと。
◇ちんぴら:大阪方言で、子供を卑しんでいう「ちんぺら」がなまって一般化されたものとされる。
◇辻褄があう:「辻」は裁縫の縫目が十文字に合うところ。「褄」は着物の裾の左右が合うところ。
◇丁寧:昔、中国の軍隊で、警報や注意のために鳴らしたドラのような楽器を「丁寧」といった。
◇てんぷら:原語はポルトガル語のTemperoで、調理の意。
◇堂々巡り:元来は僧侶や信徒が、祈願の儀式の一つとして、仏像・仏堂のまわりを巡ること。
◇どさまわり:「どさ」は遠い佐渡ということで、田舎を意味する。
【な行】
◇ないしょ:「内証」が変化した語で、仏教の真理を心の中で得ること。
◇奈落:梵語のnaraka(地獄)からできた語。
◇にやける:男が女っぽい態度をするという意味の「若気(にやけ)」を動詞活用させた言葉。
◇猫ばば:ばばは「糞」。猫は糞をしたあと、足で砂をかけて隠すことから。
【は行】
◇白状:「白」は申す意で、隠さないですべてを申し述べる意。
◇はったり:サイコロ賭博の「さあ、張った、張った」という呼びかけの言葉からできたといわれる。
◇はめを外す:「ハメ」は轡で馬が口に咥える部分。ここを外すと、馬は勝手に動き出し、いうことをきかなくなることから。
◇ひょっとこ:火男のなまったもので、火吹竹を吹くときの顔つきから出た語といわれる。
◇方便:元来仏教語で、衆生を真の教えに導くため、その前段階としてとる便宜的な手段の意。
◇保障:「保」は小城、「障」は砦の意。
【ま行】
◇麻雀:牌をかき混ぜる音が、雀のさえずりに似ているところからきたといわれる。
◇眉唾:眉に唾をつけると狐などに化かされないという俗信から。
◇ミイラ:ポルトガル語のmirra、あるいはオランダ語のmirreからできた語で、元来は防腐剤の名。
◇めど:「目処」とも書き、目で見ることのできる処、目ざすところの意から。
【や行】
◇やくざ:カブ賭博の三枚ガルタで、八、九、三の札がくると、ブタのうちでも最悪の手になるところから。
◇やたら:雅楽の「夜多羅拍子」から。ニ拍子と三拍子の混合拍子で、無秩序な曲に感じられる。
◇野暮:古くは遊里の事情にうとい人をさした。
◇夜なべ:昼を夜に延べることから、「よのべ」が変化してできた語といわれる。
【ら行】
◇落書:古く、権力者に対する批判や社会風刺を紙に書いて、人目にふれやすい場所に落としたりしたことから。
◇らちがあかない:「埒(らち)」は、馬場の周囲に設けた柵のこと。
◇リンチ:英語のlynchから。アメリカの白人が黒人に対して加えた残酷な私的制裁をいった。
◇露骨:戦死して骨を戦場にさらすという意味。