源氏物語の作者紫式部は、978年ごろ、藤原為時の娘として生まれました。
父為時は一流の儒学者で、文名が高く、叔父為頼も歌人でした。
また母方の親戚にも「蜻蛉日記」の作者(右大将道綱の母)や、
「更級日記」の作者の母(菅原孝標の妻)など、当時の代表的な女流日記文学の作者がおり、
このような環境が、式部の文学的才能を生み出し、
さらに伸ばしたであろうことは、まず疑い得ないところでしょう。
長保元年(999)ごろ、式部22歳のころに、右衛門権佐の藤原宣孝にとつぎますが、
長保3年には宣孝が山城の守で病没、30歳足らずで寡婦生活に入りました。
「源氏物語」は、この寂しさや悩みを紛らわせるために書かれた、といわれています。
寛弘2、3年(1005、6)ごろ、式部は宮仕えに出て、上東門院(藤原道長の娘)に仕えました。
紫式部は、その女房名なのです。
このころすでに、「源氏物語」の一部が評判になっていて、
その物語の「紫の上」にちなんだものかといわれています。
以後の彼女の消息は明らかでなく、宮仕えを退いたのは、
長和2年(1013)から万寿3年(1026)の間といわれますが、
「栄華物語」万寿3年上東門院御出家のおり、従った女房の中に彼女の名前が見えないのは、
その時すでに宮仕えをやめていたか、死去していたかである、ともいえあれています。
彼女の作品には「源氏物語」の他に、「紫式部日記」と家集「紫式部集」があり、
また「後拾遺集」以下12の勅撰集に計58首の歌が収められています。
表題でお断りした通り、ここには理系な人以外には耐え難いくらい、計算式が出てきます。
理系な彼女がいるとか、よっぽどな好奇心を寄せられたとかではない方には、苦痛でしかないでしょう。
僕にとってもそうですから。
宇宙は、「ハッブル定数」にしたがって膨張しているとされています。
ハッブル定数Hは、銀河がわれわれから遠ざかる後退速度vを、
銀河までの距離dで割った宇宙膨張の係数として求められます。
@H=v/d
現在のハッブル定数Hoは、100万パーセク(1パーセク=3.26光年=約30兆キロメートル)あたり、
秒速50キロから100キロメートルとされています。
ハッブル定数の逆数(v/d)は「ハッブル時間」とよばれ、宇宙の年齢を算出するのに使用されます。
宇宙の密度が臨界密度(50センチ立方に水素原子が1個存在)に等しい場合は、
宇宙の年齢tは
@t::2/3・1/H
で与えられます。宇宙の密度が臨界密度より大きい場合は、
@0<t<2/3・1/H
小さい場合は、
@2/3・1/H<t<1/H
で、それぞれ与えられます。
現在の宇宙密度が臨界密度に近いと仮定して、現在のハッブル定数Hoを50
(100万パーセクあたり秒速50キロ)とすると、tは、
@t::2*3*10の19乗/3*50::4*10の17乗(秒)::1.3*10の10乗(年)
で、およそ130億年となり、
現在発見されている、もっとも古い球状星団の年齢(約150億年)と、いちおう一致します。
しかしHo=100だと、宇宙年齢はおよそ60億年、Ho=75でも約80億年で、
宇宙の方が銀河よりもはるかに若いという矛盾が起きてしまうのです。
ハッブル定数Hoは、あくまで現在の値であり、
宇宙はビッグバン以来、重力によってその膨張速度を鈍らせてきています。
その減速パラメーターqoは、宇宙の臨界密度soと、宇宙の実際の平均密度sと
@qo=1/2・s/so
という関係にあり、qoが0.5よりも小さいと、膨張は永遠に続き、宇宙は無限の広がりをもちます。
ところが現時点では、ハッブル定数Hoは50から100の間と、
とても実質的に使える正確さはもっていませんし、
減速パラメーターqoの値も。観測的にはまったくもって不確定でしかありません。
ビッグバンはどれくらい前の事件なのか、宇宙は有限なのか無限なのか、
その答えが出る日を待ちましょう。
最近の住居ではバスタブや洗面ユニットなどにFRPと呼ばれる複合材料が大量に使われている。FRPは、
熱硬化性(熱をかけると融けずに固まるタイプ)のプラスチックとガラス繊維の複合材料である。
FRPは1940年代の初めに実用化されたプラスチック複合材料の老舗的存在であり、FRPという言葉は、
熱硬化性プラスチックと強化繊維の複合材料という広い意味で使われることもある。その場合、ガラス繊維を
強化繊維とする複合材料はGFRPと呼ばれている。
ガラス繊維は、融かしたガラスを引っ張りながら繊維にしたものである。1935年に米国オーエンス・コーニン
グ・ファイバグラス社によって工業生産が開始され、このガラス繊維の工業化がFRPの実用化につながった。
ガラス繊維は連続繊維として使う場合、これをある程度(数十cm程度)に切ったものを織って布状(クロス)に
したものを使う場合、短く(数mmから数cm程度に)切って使う場合の3通りがある。
バスタブや洗面ユニットに用いられるFRPは、ガラス繊維のクロスを不飽和ポリエステル樹脂という熱硬化性
プラスチックで固めた複合材料である。
バスタブや洗面ユニットは、ガラス繊維のクロスに、液状の不飽和ポリエステル樹脂の原料をしみ込ませた
シートを、加熱した金型の間に入れて形にする、SMCという方法で作られる。
FRPの実用化にはガラス繊維の実用化のほかに、低い圧力で硬化する不飽和ポリエステルの登場が、もう
1つのきっかけになった。
FRPでは、相性の悪いプラスチックの界面をなじませることがとても重要である。このために、通常はガラス
繊維の表面をシランカップリング剤で表面処理して、プラスチックへのなじみを向上させている。未処理のガラ
ス繊維を用いたものは、破壊面でガラス繊維がすっぽり抜けてしまうが、シランカップリング剤で表面処理をし
たガラス繊維を用いたものは、ガラス繊維の表面がプラスチックで前面的に覆われるのである。
FRPでは、剛性、強度などの構造材としての機械的な性質はもっぱらガラス繊維が担い、プラスチックの方
は賦形性と表面の外観を担うという分担になっている。