【ア行】
■アカデミー
:アテナイの郊外に、プラトンが哲学教授の目的で、B.C.387年に建てた学校。
後、プラトン学派の別名として、「アカデミー」が用いられるようになった。
■アナーキズム
:ある社会の中で、そこにはたらく政治的な支配力をとり除こうとする思想、考え、立場。
■アンタゴニズム
(カント哲学)「反対」。論理的な矛盾ではなく、モノ(実在)として対立しているものの間の対立関係。
「快・不快」「資本・負債」「引力・斥力」など。
(唯物弁証法)「敵対」。矛盾闘争の一形態で、その極限的段階。
事物全体の変革を要求するような、矛盾のもつ、はげしい対立関係。
■意識
:何か物事に気がついている心。「無意識」や「下意識」に対立して用いる。
意識を問題にするときには、次の三つが要点となる。
@その作用と内容。
Aその作用、または側面。これは普通、認識的、感情的、意志的の三つに分けられる。
B意識の主体。
■一元論
:ある一つのものだけが真実の根本的なものだとする考え方。
(1)観念論的一元論:ヘーゲルなどのように、この実在を絶対的理念や神など、精神的なものと考える。
(2)唯物論的一元論:マルクスのように、物質を一切の根元的実在とし、
意識つまり精神は最高の物質の運動の一形式とみる立場。
(3)中立的一元論:究極的実在はただ一つであるが、それは精神でも物質でもない。
■イデア
(ソクラテス以前)「形」「姿」「みえるもの」の意。ピタゴラス学派では、幾何学の「図形」の意。
(プラトン)存在物の原形となる、理想的な形をもった、時間的に不変の絶対的存在。
同種のもの一つについて一つあり、ヒエラルキーをなし、最高のイデアは善のイデアとされる。
(ストア学派)人間の心のうちにある集合概念。「机」「人間」など、それら一つ一つのものに共通な概念。
■永遠
(1)無限につづく時間の広がり。一切の事物が、そのうちにおいて、ある時は未来、
他の時は現在、また他の時には過去であるようなモノ。
(2)“時間的に左右されぬ”“時間によって変化を生じない”“時間性を超越している”こと。
■エピスメーテー
(一般的)専門的、職業的な知識または技術。
(プラトン)学問的知識、学問。感覚の助けをかりず、真実在(イデア、オン)を直接認識する能力。
(アリストテレス)他の仕方ではあり得ないモノ(必然的永遠的なモノ)を認識する能力。
■オッカムの剃刀
:唯名論の格言。存在(コトバ)は、必要もなく増加してはならないということ。
【カ行】
■懐疑論
:“何かについて疑いをもつ態度、また考え方”。また、こうした考えそのもの。
何事についても、決定的な判断や意見を下さないのがその特徴。
■蓋然性
(1)数学的蓋然性:確率。その度合いが数学的に出るもの。
(2)信用可能度:数学的に計算することができない蓋然性。このような蓋然性を裏付けるものは、
それまでに起こっているそれらについての出来事や、物理的因果関係などである。
■カオス
:混沌。“秩序なき状態”。秩序ある世界コスモスに対する。
■価値論
(1)価値の性質:価値とは。欲望の満足、あるいは快楽、関心の満足、人格を統一した、という感じなど。
(2)価値の形態:価値の形。モノにもともとついているのか、人間が他から付け加えるのか、
人間の行為の結果、目標としてあらわれるのか。
(3)価値の形而上学的位置:価値と自然的事物とはどんな関係にあるのか。
人間の価値経験と世界はどんな関係にあるのか、など。
■記号論
:記号に関する科学。もっとも広い意味での論理学にあたる。
(1)統辞論:記号と記号の間の法則をとりあつかう。
(2)意味論:記号と記号の意味をとりあつかう。
(3)実践論:記号とそれを用いる人間との関係をとりあつかう。
■帰納
:「演繹」に対する推理法。同種のものだと考えられるいくつかのモノをみて、
そこに共通にみられる事柄(性質)が、その同種のモノすべてに共通だ、と考える推理法。
■共産主義
:社会主義の達成後に来ることを、マルクス主義によって予定されている社会形態。
そこでは生産手段は完全に個人の私有ではなく、階級による搾取は存在せず、したがって階級闘争もない。
国家の強制力発動の必要なく、社会主義的生産の成果を人々が広く享受できる状態。
■グノーシス
:もと「知識」の意。後、“キリストや神に関する高度の神秘的知識”、
“神秘的、直観的に神の啓示を体験したときの体験内容”。
■君主主義
:ニーチェの主張した“超人の道徳”。弱者としての一般民衆、つまりドレイの道徳(キリスト教道徳)に対して
支配者の道徳。そこでは普通、善悪の価値は転換され、一切の世俗的価値に惑わされず、
“権力意志”を体現し、「超人」として強者となることが最高の道徳とされる。
■形而上学的唯物論
:ギリシャ初期の唯物論(ターレスからヘラクレイトスまで)とマルクス主義の弁証法的唯物論を除いた、
残りすべての唯物論。自然現象を単純な機械的運動と考え、「発展」という考えをもたず、
社会現象を自然現象に還元して考える。フランス唯物論、フォイエルバッハの唯物論などがこれ。
■現象学
:フッサールの始めた、心理的な哲学上の方法。心に思いつくことを、その正誤、思いつく理由などは
抜きにしてそのまま記していき、こうして得られた資料を分析分類する方法。
■コギト論証
:デカルトが自我の存在を証明するのに用いたような形式の論証。
彼は一切のものを疑わしいとしてしりぞけた(方法的懐疑)が、疑うことができるということは、疑っている者、
つまり「私」が存在することだ、として“我おもう、故に我あり”と主張した。
■悟性
(一般的)物事を理解する能力。思慮分別。“理屈、あるいは理論に対する理解力”。
(カント哲学)感性に与えられた表象(感覚内容)を自己の形式(カテゴリ)のしたがって整理し、
その対象をつくり上げる能力。