£哲学・論理用語辞典A£

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サ行

サイバネティクス

:N.ウィーナが提唱した、新しい制御と通信の理論。精巧な機械の動きから、人間の心理、

生理現象にわたる広汎な領域に対し有効で統一的な、数学理論の体系。

三段論法

:演繹推理の一種、というより伝統論理学ではほとんどそのもの。(1)AはBなり、

(2)BはCなり、(3)ゆえにAはCなり、の形式をもつ。(1)と(2)を前提、(3)を結論という。

三位一体

:キリスト教における「神」のあり方を示す言葉。神は本源的に一であるが、その姿(位格)としては、

父(なる神)、子(なるキリスト)、精霊の三であるとする。

この説は@唯一の神だけが本当の神だ、Aキリストも精霊も神性をもつ、という二つの主張を満足させるため

プラトン哲学の考え方にのっとり、中世キリスト教神学者が考え出したもの。

自然弁証法

:発展として、また歴史として自然を見る見方。つまり、自然もまた人間社会の歴史と同じく、

弁証法的に発展する、という見解に立つ自然観のこと。

実存主義

:実存は本質に先立つという考え方。この考えをもとに発達した哲学、文学、芸術上の流派。

シネキズム

:「連続主義」。一切の物事は、それら物事の完全な相互依存性と相互間形(つまり連続)で説明できる。

プラグマティズムの創始者パースが主張したもので、彼によれば、哲学において「連続」という観念を、

第一義的に重要なものとして強調、特に真の連続を含む仮説が必要。

純粋理性

(カント哲学)経験的要素の混じってない、人間が先天的にもっている理性のこと。

@経験から独立した先天的理性一般のこと。先天的認識能力と先天的意志能力を含む。

A理論理性のうちから、感性の後天的感覚を除いたもの。

B悟性、判断力、理性(最狭義)を含む認識能力。

C推論能力。

スコラ哲学

:西洋中世の学校(スコラ)で教えられた、アリストテレス哲学を基本としキリスト教神学の下ウケをした哲学。

今日、非常にややこしい、言葉遊び的な実りの少ない理論を「スコラ的理論」と俗用する。

絶対主義

(形而上学)絶対者についての理論。

(認識論)知識のうちには、個人によって違いのあるもの(相対的知識)の他に、人間から独立した、

個人個人によって左右されない客観的、絶対的な知識がある、という考え方。

(価値論)価値(道徳や美についての)判断の基準は、客観的、絶対的なものだとする考え方。

(政治)支配者が無制限の絶対的権限をもつ政治体制。または、それをよしとする政治思想。

存在論

:哲学の一分野。個々のモノの特殊な性質ではなく、それらに共通なモノとしての性質を研究する。

“存在としての存在、つまり存在一般について研究する学問”のこと。形而上学に同じ。

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タ行

第一性質

:物体に固有の性質。本源的性質ともいい、モノの「固さ、延長(空間的広がり)、形、静止、数」をさす。

つまり、その物体から引き離すことができない、恒常的と考えられる性質。

大衆路線

(現代中国哲学)社会革命や大衆思想運動の進め方の一つ。知識人が大衆に結びつき、大衆に学びながら

各職場を基礎に、これを組織化し、みんな一緒になって革命や思想運動を進めること。

タブラ・ラサ

:“空白なる石板”、現代風には「白紙」の意味。ジョン・ロックが人間の心と知識の関係を言うとき、

生まれたばかりの人間の心を喩えて。人間の心はもともと白紙であって、すべての知識は、

経験によって外から得られる。生得観念なんて存在しない、というのがロックの主張。

超自我

(フロイト)自己の行動を無意識的に抑圧コントロールする、もう一つの自我。「道徳的良心」など。

ディオニュソス的

(ニーチェ)芸術的衝動の一つ。アポロン的に対す。陶酔的、動的な、生命に満ち溢れたものを、

表現しようとする芸術運動。生命と力に溢れた激情的なものを意図する。

ディレンマ

(俗用)二つの相反する事柄の板挟みにあって、どちらとも決めかねる状態、そうしたことを表す命題。

(論理学)「両刀論法」。前提のうちに、“あれかこれか”の形の命題が入っている推理。

伝統的論理学

:昔から伝えられてきたままの形式論理学。すなわち、“アリストテレスが初めて組織化し、古代中世を通じて

実質上何らの変化、進歩もせず近代に伝えられて来た形式論理学“の総称。その特徴は、

(1)概念がすべての考案の出発点となり、研究の基本単位とされる。

@すべての命題は主語と述語(ともに概念)の関係において分析、考案される。

A推理の研究にあたっても、直接推理にせよ間接推理にせよ、

すべてその推理の各命題を概念の関係において吟味する。

(2)推理の公準として、いわゆる基本原則(同一原理、矛盾原理、排中原理)をとる。

:人間の身にそなわった、他人に対して多少とも影響力あるいは優越性をもたらす精神的傾向。

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ナ行

内在

(中世スコラ)人間の「動き」や「成長」の原因と結果は、人間のうちにある。“原因は内在する”。

(カント・認識論的)経験のうちにあること。エベレスト山頂の雪は、そこに登れば見たり触れたりできる。

よってこれは「内在する」。神はこうはできない「超越的」。

(近世哲学・神学)“欠けている”の反対で、“そこにあらわれている”こと。

二元論

:根本となるものが二つあって、それらを中心に展開される理論。

(形而上学)二つの全く互いに関係のない独立したものを認める理論。

プラトン(感性界と叡智界)、デカルト(思惟と延長)、ライプニッツ(現実界と可能界)、

カント(本体界と現象界)なども、それぞれ二元論をとった。

認識

:何かあることについて“知るハタラキ”。またそうして得られた事柄。

「知識」が理性のみに頼り、かつ客観的な万人共通なものであるのに対し、「認識」は理性のハタラキのうち、

もっと主観的な感情、意志などによる理性の能力、またはそれによって得られた内容。

ノエシス

(フッサール)意識の作用面。フッサールの現象学では、意識をたんに人間の精神状態、または作用として

だけには考えず、必ず“対象と心的作用の結びついたもの”に考える。

このとき、こうした意識の対象的側面をノエマ、機能的側面をノエシスという。

(ギリシャ哲学)ヌース(精神)の作用、機能。つまり知的把握や直観的思考。