竿が折れる話 PART2


さて、愛しのダイレクトパワーチヌを折って(PART1参照)から1〜2週間後、割と近所の釣具屋へ竿を見に行きました。
現在でこそ車で10〜30分以内の場所に大型の釣具店が何軒もありますが、当時は広島市内まで行かないと、大型チェーンの釣具店は有りませんでした。
私が訪れたK釣具店はその頃近辺では結構大きな方でした。

そこでその竿に出会いました。
MF磯1号というD社の竿です。(今回はメーカ名,製品名を一応控えます。)
この竿は1号とは言っても相当太くて堅い穂先を持っており、全体的に張りのある竿でした。振ったときのブレも少なく、他の竿とちょっと違う感じがしたので、「これがいいかなぁ」と思って見ていると、店のおじさんが、「いいでしょ。この竿は良いですよ。」というようなことを確かに言ったのです。
3万2千円の値札が付いていました。
自分が考えていたものより少し高かったため、「少しまけて下さいよぉ」とお願いして、3万円まで値引きしてもらい、この竿を購入しました。

使ってみると、前使っていた竿より値段が倍するだけあってそれなりにいい。
ちょっと重いけど、全体がシャキッっとしていて、トラブルも少なかった。仕掛けもよく飛ぶ。
結構気に入りました。

・・・・・この時は数年後に起こる悲劇など知る由もなかったのです。それが、D社の製品とK釣具店に不信を抱くようになる原因になろうとは...


それこそ、MF磯をもってまた毎週のようにチヌやグレを釣りに岩国港や周防大島に出掛けていました。
あれはMF磯を購入してから3年くらいたった頃だったでしょうか。

その日、ダイレクトパワーチヌを折った因縁のポイントでチヌを釣っていました。
流れていく浮きがジワっと沈みました。沈み具合から見て根掛かりのようだったので、軽く竿を煽ってみるとやはり値掛かりです。
「外れないかなぁ...」という気持ちで、本当にゆっくりと、しかも軽く竿を煽り上げました。
誰しも根掛かりすれば、軽く竿を煽って外そうと試みますよね。その程度の力です。決して無理矢理引っ張った訳では有りません。

バギッツ!!!!

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私は何が起きたのか、しばらく理解できませんでした。

4番、つまり元竿の上の節の中間あたりで竿が真っ二つに折れているではありませんか。

「・・・俺が何をしたっていうんだ?」

これが私が最初に考えたことでした。
冷静になるにつれ、段々腹が立ってきました。
悲しいとか虚しいとかではなく、とにかく腹が立って仕方有りませんでした。


その当時、予備竿が1本あったので、しばらくはそれを使っていました。
なんとか、お金を貯めつつ、次の竿を物色していました。

ある日、MF磯を購入したK釣具店に行きました。
MF磯をその店で買ったことは言わないで、先に竿が折れた話を店のおじさんにしました。
すると...
「あ〜、あの竿は煽り折れするんですよ。メッシュのようにカーボンが入っているでしょ。あれは駄目。」
ですって。
更に、
「私が竿を勧めるんなら、絶対あんな竿は買わさなかったのに。」
ですって。

もしも〜し、あの竿が良いって言って私に売ったのはですかぁ〜。

私は金持ちじゃないんですよ。この竿が折れるってことを体験するために金を払う余裕なんてないんですよ。

まったく呆れてしまって、それ以上何も言う気にも、何を聞く気にもなれなかった。


それ以降、D社製品不信になり、当然のことですが、K釣具店では高価な買い物は一切していません。
D社の竿や製品は竹下さんの「黒鯛団子釣り名人への道」でも取り上げられていましたね。あれを読んだときは全く同感しました。

D社の製品はやっぱり何点か持っていますが、竿だけは2度と買うことはないでしょう。
軽量を謳い文句にしているインラインロッドも、「軽いと言うことは肉厚が薄いんだろうな。どうせすぐ折れるに決まっている。」と自分の中で結論付けて全く興味の対象になっていません。
新規に購入する道具も、なんとなくD社製品を避けるようになっています。

K釣具店さん、D社さん、ユーザーが一度失った信頼は滅多なことでは戻りませんよ。

そういえば、去年渓流解禁の頃、時間がなくてK釣具店に餌のイクラを探しにいったら置いてありました。蓋がさび付いた何年前のものか解らないようなイクラが。
当然足を延ばして別の釣具店へ行ったのは言うまでもありません。
今のご時世、こんな商売通用しませんよ。

少なくとも、私はお宅では何も買いませんけどね。

以上、とっても腹立たしいお話でした。

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