団子釣りの本質 vol.1



団子釣りの命は団子と棚取りにあるといっていい。

ここで団子について少し屁理屈をこねてみる。

僕のやっている団子釣りは、「広島湾のチヌ釣り」高橋さんや、「団子釣り名人への道」竹下さんと同じ、いわゆる紀州釣りと言われるものだ。

紀州釣りでは、団子のベースに米糠を使い、通常これに粗挽きサナギ粉,押し麦,海砂を混ぜて作ることが多い。

団子の作用は、
1.濁りによる集魚
2.においによる集魚

3.チヌを一点のポイントに留める
4.刺し餌を底まで餌取りからガードする
5.団子が割れて刺し餌が飛び出すときに反射食いさせる


というのが基本的なところだろう。

ここで重要なのは”団子の割れ”にある。
上記3〜5に特に係る部分であるが、少なくとも底まで団子は割れてはいけない。

かといって、団子が底についてから20秒も30秒も割れずにいたのでは、これまたいけない。
僕が求める理想の割れは、底についたら一呼吸おいて直ぐ割れる団子、であり、10秒以上も割れないようだと面白くない。

団子釣りでは団子の打ち返しの多さが重要になる。
あくまでチヌのリズムで食わせるのではなく、釣り手側のリズムにチヌを載せるのが数釣りのポイントだ。

団子が長いこと割れないということは、すなわち手返しが減るということになるのである。

また手返しという意味では、団子が割れた後、長時間仕掛けを流していてもいけない。長時間流して釣るということはチヌのリズムに釣り手側が合せているということになる。

あくまで、団子釣りでは、団子が割れた瞬間から、刺し餌が浮き上がり、潮に馴染むまでが勝負である。
このため活性期であれば、団子が割れて浮きが浮き上がってから3秒も流せば十分であろう。これ以上流しても餌取りに餌を奪われる可能性が高くなるだけである。

チヌの活性が高くなれば、団子から飛び出す刺し餌に機敏に反応するし、この飛び出す回数を増やしてやれば釣果が伸びるのは当然である。

但し、これはチヌの活性がそこそこ高い場合の話である。
活性が落ちる厳寒期に団子でチヌを狙う場合は少し状況が変わってくる。

すなわち刺し餌に対する反応が鈍くなる訳であり、こんな状況では刺し餌は自然に流してやることが重要になる。
つまり非活性期では、上記1,2の方のウエイトが高くなる訳である。

この時期は刺し餌を底にはわせた方が良い。団子釣りをするようなポイントだと潮流がさほど速くないところが多いのであるから、餌が底に沈んでいるのは至極当然のことなのである。
ただし、チヌの注意を引くためには、誘いを掛ける必要はある。また手返しが減るわけであるから、これを補うために、一流しする間に団子を余分に投入する、また団子に集魚剤や、オキアミ、地アミ等を混入するといった工夫も必要となる。

イメージとしては、フカセで、底に撒き餌を直接送り込んで、はわせ釣りをしていると思えばいい。


以上、あくまで一つの考え方であって、チヌの活性、水温や水深等を含めたポイントの状況、魚影の濃さ等様々な要因で釣り方は変わってくるので、一つの考え方にとらわれすぎるのは危険である。



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