夏は団子の入門期


これからチヌ釣りを始めようと思っておられる方に是非挑戦していただきたいのが団子(紀州)釣りです。
チヌというのは厄介な奴で、それなりのステップを踏んでやらないとなかなか思うように釣れてくれません。
特にこの夏場〜秋の時期は餌取りが多く、フカセをいきなりやったりすると、ボウズ続きでイヤになる...なんてことになりかねません。
そこで是非、最初は団子を握ってみて戴きたいのです。
当然コツは有ったりしますが、チヌの若魚をもっとも簡単に釣ることができる釣法なのです。
時々思いも寄らぬ大型に出逢ったり...ということもあります。
チヌは狙って釣れる魚なんだ!という概念を自分に植え付けるいいチャンスなのです。

釣れるハズ、と思ってやる釣りと、どうせ釣れない、と思ってやる釣り。この両者は釣果にも歴然と現れてきます。この夏の間に自分に実績と自信をつけるのです。

ここではこれから団子釣り(紀州)を始めようと思われている方や、トライしたけど上手くいかなかったという方をイメージして、もっともチヌ(小型中心になりますが)を釣り易い夏場の団子釣りを説明します。

1.ポイント
2.刺し餌
3.団子
4.手返し
5.棚取り
6.仕掛け
7.竿の扱い
8.座らない
9.団子の投入


1.ポイント

護岸か波止ですね。
水深はさほど深くない方が簡単です。深いほど団子の調整が難しくなります。
干潮時で2〜3mもあれば十分です。
底は砂底に所々にゴロ石が散在するくらいのイメージでいいですが、さほど拘らなくてもいいです。但し、底に岩や海草等が多すぎる場所だと、底に刺し餌を沈める団子釣りでは苦労します。当然根掛かりです。
潮流は緩やかな方が簡単です。

条件をまとめると漁港の内向きなんかはいいですね。

釣り座によって釣果も少し左右されます。当然チヌが集まりやすいところというものがあるわけで、海底の”窪み”だとか”かけ上がり”など変化のある場所が掴めればそこを狙います。
あとは基本的には崩れた団子が溜まりやすい場所を探すということですね。地形からくる潮流の変化は読み易いと思います。波止がL字等に折れ曲がっていれば、折れ曲がった内側は解り易いポイントになります。


2.刺し餌

この時期はさほど拘りません。団子は手返しが命です。餌持ちのいい餌をつけてもさほどメリットはありません。具体的にはオキアミ生でいいと思いますが、好みによっては生ミック等でもいいと思います。
この他、気持ち悪くない人はフナムシなんかいい餌です。団子に数匹混ぜてやれば効果覿面のはずです。


3.団子

一般的なヌカ団子でいいと思います。集魚力をそんなに上げる必要はありません。
ヌカ,砂,荒挽きサナギ,押し麦の標準配合です。
問題は割れの調整です。
一気に水を入れずに、少しずつ水をいれ、ギュ〜っと握りこんで団子になり、かつ投入して着底後すぐ〜10秒ほどで割れるように調整します。
割れにくいときは砂を増やすのも手です。砂が多いほど団子の沈みは速くなりますから、団子が割れずに着底できる限界まで砂を入れた方が効率的です。ただし入れすぎると団子がまとまらなくなりますから、このときはヌカを足して再調整して下さい。
押し麦も量を増やせば割れを促進します。また押し麦の集魚力は見逃せません。
団子が沈むときに団子から剥がれて舞い落ちる押し麦はルアー効果があり、チヌの興味を惹きつけます。
団子の割れ調整は、慣れれば握り加減だけでも割れ時間に幅を持たせることが可能になります。それまでは、団子作りに30分掛けてでも扱いやすい団子を作るようにした方がいいのではないでしょうか。団子作りは焦らないことが一番です。じっくり、ゆっくり作りたいものです。
ヌカに水分が馴染むまでに少し時間が掛かります。団子がまとまらないと思って水を入れすぎないように気を付けないといけません。
また夏場は団子がすぐに乾燥してきます。こんなときも一度に沢山の水を入れてしまうことの無いようにじっくり、ゆっくり調整しましょう。

とにかく、慣れるまでは団子はじっくり、ゆっくり扱った方がよいと思います。

もう一点。団子の大きさですが、最初は若干大きめでもいいですが、私の場合は、チヌが寄ってきたらゴルフボールより少し大きいくらいの小さめの団子で、手返しを多くします


4.手返し

団子は手返しが命です。
投入した団子の数に比例して釣果に差が出ると言ってもいいかも知れません。
落とし込みは足で釣れといいますが、団子釣りはとにかく手返しで釣れ!です。

先に述べたように着底後すぐ〜10秒ほどで割れるように調整します。
団子が割れて仕掛けが浮き上がって浮きが馴染んでから、頭の中で3〜5くらい数えたら仕掛けを巻き上げたいものです。
この時期は餌取りが多いので、長々と仕掛けを流しても餌が取られるか、餌取りが釣れる確率の方が高いのです。
とにかく団子を沢山投入して、チヌを団子に惹きつけてしまうと、後はチヌが直接団子をつつきに来ますし、アタリも団子が割れた直後に出ることの方が多くなります。

団子にチヌを寄せる作業が大事ですから、開始から1時間はチヌを寄せる作業だと思ってとにかく手返しに専念して下さい。


5.棚取り

団子釣りで重要なものの一つに棚取りがあります。
釣り始める前にちゃんと水深を測らないといけません。

私は丸錘の1〜2号とゴム管を2cmくらいに切ったものを道糸に通し、道糸で輪を作るようにギュッと結びます。
安上がりな棚取りボールですね。

ゴム管に鈎を刺して仕掛けを投入し、浮きのトップが水面下ギリギリになるように、丁寧に浮き下を調整します。
後は実際に釣りながらの微調整です。
チヌの活性が高くなってきたら、浮きのトップが更に10〜20cmくらい沈んだ状態でもいいです。これだと浮きが浮き上がる途中でアタリがでることが多くなります。
当歳魚〜2年もののチヌが多いこの時期は、刺し餌を底に這わせると飲み込み易くなりますので、小ベタを無意味に殺してしまうことになりかねません。それなりのポイントで大型を狙うのであれば話は別ですが、大抵の場合は、底を切るような棚取りをした方が良いように思います。

当然のことですが、海には満ち引きがあります。瀬戸内海は干満の差が大きいため、浮き下の調整はこまめに行っていかないといけません。底を30cm以上切ったりすれば、ボラばかり釣ることになりますし、逆に底に這わせれば根掛かりやチヌに飲み込まれる原因となります。
何れにしても、棚を外せばチヌの喰いは確実に落ちますので、面倒臭がらずにこまめこまめ浮き下調整を心掛けるべきだと思います。


6.仕掛け

私の好みもありますが、仕掛けはシンプルにするに限ります。
1号くらいの大きな錘をつけて釣られている方をよく見かけますが、どんなものでしょう。
水深が深い場合はアタリが出やすい等のメリットもありますが、比較的浅い釣り場ではメリットは無いと思います。
私は自作の0〜Bくらいまでの自立小型棒浮き(環付き)を使っています。
流れがある場合はBを使い、流れがなければ0号がベストです。
但し、浮力調整は確実にしないといけません。十分に浮きの浮力を殺すようにジンタン錘の7号〜5号くらいで調整します。十分に浮力を殺せば、団子が割れたとき浮きはゆっくり浮き上がってきます。これが重要です。
ゆっくりフワァ〜っと浮き上がらせると、この浮き上がりの途中でアタリが出やすくなります。
団子釣りというものは、団子のお陰で刺し餌と浮きを一直線に張った状態から釣り始めることができる釣法です。
団子が割れた後、一直線に張った状態で仕掛けが浮き上がりますので、軽い仕掛けでも浮きにアタリはストレートに現れます。途中に大きな錘を付ければ、その分チヌが違和感を感じて食い込みが悪くなるだけです。可能な限り仕掛けはシンプルにしたいものです。

その他、鈎は好みで。一般には1〜3号くらいでしょうか。刺し餌の大きさに合わせて決めます。一般には小鈎の方が食い込みがいいですが、この時期の若いチヌは飲み込みがちになるので、チヌの喰いを見ながら号柄を決めていけばいいと思います。
ハリスもこの時期、あまり気にしなくてもいいと思いますが、団子釣りではハリスが団子の中の砂で痛みがちですので、1.2〜1.5号くらいが良いように思います。
道糸は細いに越したことはありませんが、細い糸ほど絡み等のトラブルが多くなりますので、2号〜3号くらいにしておいた方が楽だと思います。団子釣りでは、団子を握っている間に道糸が弛んでしまうことが多いので、この時に穂先に絡まったりというトラブルが発生し易いものです。

絡み防止という観点だと、リールを両軸受けリールにするのも手です。私も団子中心にやっていたときはルアー用のベイトキャスティングリールを愛用していました。
ポイントが(竿の長さ)×2以内くらいの時はとても重宝します。スピニングリールは糸が横方向にねじれてクセが付きますが、両軸受けリールだと縦方向にクセが付くので穂先に絡みにくいのです。


7.竿の扱い

これはフカセの時も役に立ちます。
例えば団子を握るとき、鈎を結ぶとき、餌を付けるとき、一々竿を竿受け等に置くのは面倒です。
両膝を曲げて座って下さい。
片方の足の上(当然膝より上)に竿のリールシートの下辺りを置いて、反対の膝の裏側で竿の下端を挟むのです。海に向かって斜めに座れば、竿先を海に突きだしたまま竿を足で保持することが可能になります。


8.座らない

座らないこと。これは団子釣りをする際の心構えに結びつくものです。
団子はゆっくり出来る釣りではありません。私は決してイスやクーラの上などに座らないタイプです。団子を握るときに上述したような姿勢を取るだけです。
座らないことで精神的にもアクティブになれます。それが手返しの増加にも結びつきます。
団子は常に攻撃的な気持ちが重要なのです。


9.団子の投入

一般的には、リールをフリーにして団子を手や撒き餌杓で投入するようです。
が、私は違います。
一般的なやり方だと、道糸が出ていかずに団子だけ飛んでいく、なんてことになった方もおられるのでは?

私の場合、まず道糸をあらかじめ十分に引き出します。例えば浮きを持って引っ張ると道糸が出ますよね。そのまま浮きを海に落として、鈎を掴んで下さい。
これで道糸はかなり出た状態になっています。このまま団子を握って、アンダースローで投入します。
慌てないで団子の着水を確認するくらいの気持ちで、それから竿先を団子の着水点に向けて下から上に軽く煽り、浮きを単体で飛ばしてやります。浮きのコントロールは慣れれば簡単に出来るようになります。
あらかじめ道糸を出しておく量は、この動作をやってみて調整して下さい。

では、何故これを勧めるのか説明します。
このやり方にはちょっと条件があって、団子の投入ポイントが遠すぎると難しくなります。
出来るだけ手前にポイントを作らないと行けません。竿2本沖くらいが理想です。
団子で浮きを引っ張るように投入すると、浮きは団子の真上近くにしかコントロールできません。
流れがなければ問題ありませんが、流れがあると、団子が割れる間に浮きが潮下に流れてしまい、浮きが設定した棚以上に沈んでしまいます。この状態だと、思うように棚取りできないばかりか、チヌが餌をくわえた瞬間に浮きに掛かる潮流の押し力までが抵抗となってしまい、食い込みが悪くなります。
ですから、潮流を計算して潮上に浮きを飛ばしてやることが必要となってくるのです。
私のやり方だと、浮きは団子とは別に飛ばしてコントロールしますから、これは自由自在です。

是非、一度試してみて戴きたい団子の投入方法です。



ぐだぐだと書きましたが、内容的にはそんなに難しいことはないと思います。
悪くても2〜3回釣行すれば何かしらの結果が得られるのではないかと思います。

説明が悪くて伝わらない部分もあるかと思います。もし不明な点があればメール等戴ければ、お答えできると思います。

この夏は、是非団子をマスターして、私と一緒にチヌ釣りにハマリましょう!!


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